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第60話 無免許運転だったなんて

 俺はリゼルロッテ、イリューシャ、シュリー、ジョンを集めて、艦名について相談する事にした。

「現在建造中の船の名前と、俺達がローランド星から乗って来たスペースコミュターの名前を決める必要がある。どのような名前が良いと思う?」

「旦那様の良い様に」

「ご主人様の思う通りに」

「あなたの決めた名前に従います」

「面倒臭いからアルディが決めろよ」

「みんな、俺に面倒事を押し付けているだけだろう」

「「「「ははは」」」」

「俺が考えたのは宇宙艦の方は『アルテミス』でどうだろう?」

「『アルテミス』、良い名だと思います」

 リゼルロッテは賛成してくれた。

「『アルテミス』、良い響きです」

「私も『アルテミス』に賛成です」

「戦艦『アルテミス』か、良いな」

「では、船の方は『アルテミス』に決めよう。次にスペースコミューター010号の方だが、『イカロス』はどうだろう?」

「「「「賛成」」」」

 宇宙艦は「戦艦アルテミス」、スペースコミューター010号は「イカロス」に決まった。

 船の名前とスペースコミューターの名前をチャーリー博士に伝えた所、艦の前方に船の名前「アルテミス」を入れてくれた。

 イカロスも同様に機体の前方に名前が入った。

 俺はフライトシュミレータで「イカロス」の操縦訓練を行っている。宇宙空間での戦闘訓練、地上降下訓練、地上での戦闘訓練と搭載するエアロバイク、アナリスブレイン、アトラスアクターの連携も図る。

 アルテミスの完成より先にイカロスが完成したので、実機を使用して宇宙空間での飛行訓練を行う。


 そんな訓練を行っていた日、チャーリー博士が言って来た。

「アルディ、そう言えば君はスペースコミューターの運転免許って持っていたか?」

「へっ、運転免許? スペースコミューターに運転免許がいるんですか?」

「当たり前だろう。持って無いなら帝都に行って取ってこい」

 シュリーに運転免許の事を言ったら「えっ、無免許だったんですか?」と呆れられた。

 聴いてみたらリゼルロッテとイリューシャも持っていなかったので、俺と一緒に免許証を取得する事になった。

 チェルシーは免許証が居るのかと聴いたところ、ヒューマノイドは製造時に免許の適合を受けているので、免許証は必要無いそうだ。

 俺達はチャルシー以下だった事を思い知った。

 ジョンの場合は、宇宙艦の操縦免許を所有しているので、スペースコミューターの免許は包括されており、改めて取得する必要は無いそうだ。

 エアロバイクやエアロビークル、アトラスアクターも操縦免許が必要だが、冒険者訓練校の卒業で自動的に付与されるので改めて取得する必要はないそうだ。

 その事はシュリーから聴いたが、俺は授業で寝ていて覚えてないのかと言われた。

 なので、シュリーはアナリスブレインの運転免許も持っているそうだ。


 帝都への移動手段が無かったが、宇宙ドックのオーナーのタシューさんが宇宙ドック近くの資源衛星「ビーラン」と帝都を結ぶ資源運搬船に乗せて貰う事を交渉してくれたので、資源運搬船に乗って帝都にやって来た。

 そこで、運転免許センターに行ってスペースコミューターの運転免許の試験を受ける。試験は実技だけ行う。文字が無いので筆記試験は無いそうだ。

 免許証は合格したら、アームデバイスに転送されてくる。

 免許試験はシュミレーターでの実技だけ行い、発進、加速、左右、上下と停止まで出来れば合格となる。

 俺達3人は実機でそれらの操縦は行っていたので、実技は問題無く合格出来た。


 試験終了後は宇宙ドックへの帰りも資源運搬船に乗せて貰うため、帝都宇宙港で待っていた時だ。懐かしい人に出会った。

「アルディじゃないか?」

 顔を上げると、そこにはボブの顔があった。そして、隣にはメラニーの顔もある。

「ボブさんとメラニーさん、お久しぶりです」

「い、いや、お久しぶりじゃない。俺はてっきりアルディは亡くなったものと思っていたが、どうしてこんなところに・・・。

 それより、俺を助けてくれてありがとう。アルディには感謝してもしきれない」

 横に居るメラニーもびっくりした後にボブに続けて言う。

「本当にボブの言う通り。アルディが行方不明になった時は、もうどうして良いか分からなかったのよ。

 怪我とか病気だったら、治癒士として助ける事が出来るけど、ワームホールに吸い込まれたら治癒士でもどうしようもないもの」

「ご心配をかけて申し訳ありません」

「それで、アルディはワームホールに捕まった後、どうしていたんだ」

 俺はホールアウトした後の事を簡単に話すと、二人共驚いた顔をしている。

「それで、その二人は?」

 俺の隣に居るリゼルロッテとイリューシャの事を聴いてきた。

「二人は妻になります」

「つ、妻だと」

 ボブが素っ頓狂な声を出す。メラニーもその横で口を開けて固まっている。

「ところで、お二人は今から出港ですか?」

「いや、実は結婚したんだ」

「ええっ! そっちの方がびっくりですよ。一体どういう成り行きで?」

 それについてはメラニーが話してくれた。

 母艦の修理の際に爆発に巻き込まれたボブは、コックピット内で身体を打ち付けられてかなりの重症を負ったらしい。その後に突発性ワームホールが現れ、俺が遠心力をつけて救出した事でさらに脳障害も患う事になったらしい。

 直ちに治癒カプセルでの治療が始まったが、骨折の復旧とIPS細胞による身体機能の復旧に3か月を要したと言う事だ。

 その後もリハビリを1か月程行い、復帰するのに4か月も要したと言う。

 その4か月間、親身に看病してくれたのが治癒士のメラニーだった。メラニーはアルディを亡くした事で、かなりの負担を感じボブだけでも絶対に元に戻すという意気込みで治療にあたったらしい。

 その甲斐があって、ボブは元の身体に戻り冒険者を続けられるまで回復したが、そんなボブがメラニーに夢中になるのは自然の成り行きであった。

 猛烈なアタックの結果、メラニーの心は陥落しボブと結婚となったようだ。

「では、これから出港ですか?」

「いや、休暇を貰ったので、新婚旅行に行くところなんだ。そんなに遠くには行けないけど、『エルフレッドランド』でリフレッシュしようと思っている」

 エルフレッドランドは自然豊かであり、新婚旅行先として人気が高い。

「メラニーさんは『ヤングブラッド』唯一の治癒士だったじゃないですか? メラニーさんが抜けるとパーティが成り立たないのでは?」

「帝立セントラルホスピタルから治癒士を派遣して貰ったので、不在の間だけ臨時にその子が治癒士をやってくれるの。

 ボブ、そろそろ出港の時間だから行かなきゃ」

「ボブさん、メラニーさん、また連絡を下さい」

 アームデバイスで連絡を取ろうとするが、うまく接続出来ない。

「あれ、おかしいな。上手く接続出来ない」

「アルディのアームデバイスは、ちょっと変わったアームデバイスだな。それって最初から登録しなきゃダメなんじゃないか?」

「そうなんですか。前のアームデバイスのデータを引き継いでくれていると思っていました」

「それはデータ共有化のセッティングをしなきゃだめだぞ。前のアームデバイスはどうした」

「えっと、前の星に置いてきまして」

「仕方ないな。俺達の情報を送るから登録しておいてくれ」

「アームデバイス同士を近づけてデータ登録すると、ボブとメラニーの情報が俺のアームデバイスに送られて来たアナウンスが出た。

「良し、これでokだ。いつでも連絡できるぞ」

「ありがとうございます」

「ついでに『若き血潮』のリーダーの『ジョー・トーマス』と『ヤングブラッド』艦長『アルステッド・ローラー』も登録しておくな」

 俺のアームデバイスに4人の名前が登録された。


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