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第6話 合体ロボ出現

 そんな学生生活が3か月程続き、エアロパイロットの操縦にも慣れた頃、アグリコンバインを使用した農業実技の授業に移った。

 教師は「エリック・ベルトモ」と言う35歳の農業教師だ。

「今日は、アグリコンバインとのドッキング練習を行う。まずはドッキングの映像を見てくれ」

 教師がアームデバイスを操作すると、前方にある大きなディスプレイにアエロパイロットとアグリコンバインのドッキングの映像が流れ始めた。

 映像と共に音声も流れる。

「左マウスの下側にある4つのボタンを使用してアグリコンバインとのテイクインを行います。

 まず、乗っているエアロパイロットをアグリコンバインの上部に持って行きます」

 映像では、操縦者が操作して乗っているエアロパイロットをアグリコンバインの上部に持って来た。

「次にここにあるテイクインのボタンを押します」

 指示されたのは、左マウスの下側ある前世の車にあった4つのパワーウンドスイッチのようなものの右上にあるボタンで、ドッキングを意味するイラストがある。

 それを左手の人差し指で押すと、アグリコンバインの上部キャノピーが開き、ゆっくりとエアロパイロットがその中に下降して行った。

 そして映像が切り替わりアグリコンバインの中の映像になるが、教師はここで映像を止めた。

「えー、エアロパイロットとドッキングする作業は専門用語ではテイクインと言うので覚えておくように。切り離しはオープンだ」

 教師はそれだけ言うと映像の続きを始める。

「アグルコンバインからのオープンは、もう一度同じボタンを押します」

 映像ではテイクインのボタンが赤色に変わっており、それに伴ってイラストもオープンのイラストに変わっている。

 映像では、オープンの映像が流れるが、テイクインとは反対にアグリコンバインのキャノピーが開き、エアロパイロットが上部に上昇して行く。

 ある程度の高度で停止したら、操縦者が操作して地上に戻って来た。

「今日はテイクインとオープンの練習から始める。各自指示されたアグリコンバインの位置につけ」

 教師は全員がアグリコンバテンの横に着いた事を確認すると、テイクインの操作を指示する。

「まずはエアロバイロットをアグリコンバインの上部に持って行く事」

 既にエアロパイロットの操作に慣れて来た生徒にとって、その操作はそれ程難しいものではない。

「ではテイクイン開始」

 俺は左アームレフトにある4つのボタンのうちテイクインのボタンを押した。

 すると、エアロパイロットのフォログラムインジケータにアグリコンバインのアイコンが追加され、下にあるアグリコンバインのキャノピーが開いて行く。

 キャノピーが開き終わるとエアロパイロットはゆっくりと下降していき、アグリコンバインの操縦席に納まった。

 納まると同時にコックピット内が明るくなり、目の前にある大きなディスプレイに外の映像が映し出され、その下部にある小さなディスプレイには色々なアイコンも表示されたが、その全てが青色表示だ。

 この青色と言うのは恐らく何も問題が無いと言う事だろう。

 逆に異常があると赤色表示に変わるのではないか。俺は前世の経験からそう思った。

 それ以外にもエアロパイロットの左右のアームレフトの間に専用のコントローラがせり出してきた。

 これはまるで、テレビで見たロボットアニメのコックピットのようだ。

 そのコントローラには2つのレバーといくつかのボタンがある。

 そのレバーに手を延ばそうとした時にコックピット内に教師の声が響いた。

「レバーに触るんじゃないぞ。アグリコンバインが動いてしまうからな。では、今度はオープンの練習を行う。

 さっきのボタンをもう一度押すんだ」

 俺は伸ばしていた手を引っ込めとテイクインで押したボタンを押した。

 すると、せり出していたコントローラーは元の位置に戻り、上部のキャノピーが開いて俺が乗ったエアロパイロットは上昇を開始する。

 完全に上部に出るとアグリコンバインのキャノピーが閉まった。

「では、地上に降りて来い」

 教師の指示により俺達生徒は地上に降りた。

 このテイクインの操作は他の器具についても同様だ。ただ一番驚いたのはエアロバイクだ。

 バイトと言うからには跨るものだと思っていたが、実際のエアロバイクはスクータのような形状でシートの位置にエアロパイロットがすっぽり収まるようになっている。

 エアロバイクにテイクイン後はエアロパイロットと同様に操縦する事が出来るが、異なるのはその速度と高度だけだ。

 エアロパイロットは速度が自転車並みだがエアロバイクは時速100キル(時速100キロメートル)で走行する事が出来、高度も300メル(300メートル)を飛行する。

 その姿は空飛ぶスクーターと言う所だ。


 そんな学生生活を3年間過ごし、俺も15歳になり進路をどうするかという時期になった。

 進路はこのまま仕事に就きこの星で生活するか、それとも別の選択をするかだ。

 兄は既に農家としてこの星で生活しており、家を出て今では別の場所に住んでいる。

 この星で仕事に就くと自宅は提供されるので、自分の好きな場所に住む事が出来る。

 男爵家の住民としては生活するに何ら困った事はない。

 姉は実家に住み、相変わらず男爵家のメイドとして勤めている。

 姉は実家から出て行くのかは今の所分からない。ただ、男爵家の第二、第三婦人になるのは諦めたようだ。

 リビングでまったりしていると父親が聴いて来た。

「アルディはどうするんだ?」

 将来の事を言っているんだろう。

 父親の後ろには母親も居る。

「実は冒険者訓練校に行こうと思っているんだ」

 その言葉に父親と母親の動きが一瞬停止した。

「冒険者訓練校・・・」

「俺は冒険者になってみたいんだ」

「お前、冒険者ってどういう職業か知っているのか?」

 冒険者については、既にアームデバイスで確認している。

「アームデバイスで確認した」

「危険な仕事だぞ」

「でも、この星から出て色んな星を冒険してみたい」

「そうか・・・」

 父親はそれだけしか言わなかったが、母親は悲しい顔をしている。

 そして週末になると既に家を出ていた兄や姉も揃って、俺の説得になった。

「アルディ、父さんからアルディが冒険者になりたいって言っていると聴いてびっくりしたぞ。

 冒険者って、当たれば大きいが危険な仕事だ。それよりこのヘーデルランドで仕事に就けば平穏な一生が送れるんだぞ。

 なにも危険な冒険者をする必要はないじゃないか」

「そうよ、兄さんの言う通りよ。ここで暮らせば、私のように可愛いお嫁さんを貰って安泰に暮らせるわ。

 それなのに危険な冒険者になるなんて。考え直して」

 まあ、俺も姉は可愛いとは思うが、自分で言うか。

「マークやエリスちゃんだって、この星で暮らす事を決めているわ。アルディだってそうした方が良いわ」

 母親も説得して来るが、親の立場ならそうなのだろう。そこは胸が痛む。

 そこに姉が更に言って来る。

「母さんの言う通りよ。エリスちゃんをお嫁さんにして平穏に暮らせば良いじゃない」

「いや、エリスの気持ちも確認していなのにそれは気が早いよ」

「いえ、あれはアルディに気が有るわ。女の感で分かるもの。もう、明日にでも告白して来て」

 いやいや、それはあまりにも無謀な。

「兎に角、俺は冒険者になりたいんだ」

 俺は四面楚歌になった。だが、そこに助け船を出したのは兄だった。

「俺はアルディの気持ちが固まっているなら、もう反対出来ない」

「うむ、俺もそう思う」

 兄に同意したのは父だ。

「あなた、何を・・・」

「アルディは自分で自分の道を決めたんだ。男としてその気持ちは理解出来るし、生涯それで行くと決めたのであれば精一杯頑張れというのも親の努めだと思う。

 正直、俺も若い時にそういう夢を見た事はあった。だからアルディの気持ちだって理解できる」

「と、父さん・・・」

 俺は、それだけ言うと後の言葉が出て来ない。

 それは母や兄、姉も一緒で次の言葉が無かった。

「それで、アルディは今後どうするつもりだ?」

 父親に聴かれた俺はあらかじめ調べておいた計画を言う。

「帝都に行って冒険者訓練校に入りたいんだ。そして、冒険者訓練校を卒業したらギルドに登録して冒険者になる」

「そうか、そうなると男爵様の許可を貰わないといけないな」

「男爵様の許可?」

 何故、男爵様の許可が必要なのか分からない。

「何だ、そんな事も知らなかったのか。我々ヘーデルランド領民は男爵様の家臣という立場だ。そして、その子もまた家臣ということになる。

 お前は生まれてからこの歳になるまで、エレメンタリースクールや訓練校に通っただろう。

 それにエアロパイロットも支給された。それは男爵様が家臣に与えたものなのだ。

 それを拒否してこの星から出て行くと言う事は、家臣の立場を放棄すると言う事になり、男爵様の許可がいると言う事なんだ」

 父親の言っている事は理解できる。男爵様だって、将来の労働力としての見込みがあるから教育費用やエアロパイロットなどの機材を無償で貸与してくれたのだ。

「それはどうすれば?」

 その許可の得る方法が分からない。

「明日、役場に行って人事庁で家臣取り消しの申請をして、後は許可が降りるのを待つしかない。

 男爵様が許可しないと言ったら、お前は冒険者を諦めるしかない」

 職業選択の自由は無いって事か。

「分かった。明日、役場に行ってみる」


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