↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/62

第56話 クエスト受領しました

 この世界では既に宗教は無いので、教会とか神社といった物が無い。そのため、結婚式などは地区に建てられた集会場で行う。

 この集会場は結構大きな建物で、結婚式以外にも葬式や祭りなども行えるようになっている。

 なので、結婚式を集会場で行う事は、この世界で特に変わった事ではない。

「アルディ、今日は泊まっていくでしょう」

 母が聴いて来た。

「でもベッドが・・・」

 妻達のベッドが無い。

「それなら僕が集会場から借りて来るよ。簡易ベッドで良いのだろう。クワイデルも一緒に来てくれ」

 マイクが助け船を出してくれた。

 マイクと兄のクワイデルが出て行ったら、母と姉がシチューを作ると言う。

「私達も何かお手伝いします」

 リゼルロッテが声を上げた。

「いえ、お客さんにそんな事をさせる訳にはいかないから」

「私達は嫁ですから、他人ではありません。どうぞ、遠慮なく言って下さい」

「だったら、食材を洗うのと切るのをお願い出来るかしら」

 母は野菜庫から、じゃがいもとにんじんを出した。

 その瞬間、リゼルロッテの顔色が変わった。

「あの、このオレンジは何と言う物でしょうか?」

「えっ? えっ、にんじんだけど」

 姉もにんじんを聞かれて戸惑ったのだろう。ちょっとビックリした顔で言う。

「にんじんって言うのですか。すみませんが、試食しても良いでしょうか?」

「にんじんは沢山あるから良いけど・・・」

「では頂きます」

 リゼルロッテは生のにんじんに齧り付いた。

「ええっ! ちょっと、にんじんは生よ」

 姉が言うが、リゼルロッテはお構いなしだ。

「うわー、このにんじんっていう食べ物、もの凄く美味しい」

 さすがうさぎ人、そこはブレないんだな。

「このにんじんって、どうやって調理するんですか?」

「えっと、シチューに入れて煮るのだけど・・・」

「えっー、生で凄く美味しいのに態々煮るんですか?」

「生だととても食べれないから・・・」

「勿体ない。生で十分なのに」

「母さん、うさぎ人なので暖かい眼で見てやってくれ」

「そ、そうね」

 その後、皆で夕食になってシチューを食べたが、リゼルロッテだけはにんじんは生の方が美味しいのにと言っていた。

 夕食の後は父と兄、それに姉の婚約者のマイクと酒の席になった。

 兄やマイクは海賊団との対決を聴きたがったので、俺やリゼルロッテ達が話をすると酒の量も増え、深夜まで盛り上がった。


 翌朝、キッチンに行くと既に母と姉それにリゼルロッテ達が朝食の準備をしていた。

「あら、アルディ起きて来たの? 出港は明日なんでしょう。今日はゆっくりして行くと良いわ」

 俺に気付いた母が言う。

「じゃあ、そうしようかな。リゼルロッテ、イリューシャ、シュリー朝食を食べた後にこの家の周辺を散歩しようか?」

「旦那様、お願いします」

 そんな話をしていると父と兄、結局、我が家に泊まったマイクが起きて来た。

 今朝も皆で朝食を食べると自然と今日の話になった。

 父と兄、それにマイクは仕事らしい。3人とも仕事は農業であり、育成プラントで働いているので、同じ時間に家を出るらしい。

 姉は既に仕事を辞めており、今はアグリ集会場でアルバイトのような事をしているので、今はかなり自由が利くと言う事だ。

「アルディ、今日はゆっくり出来るんでしょう。どうするの?」

 母が聴いて来たので、散歩する事を伝える。

「リゼルロッテ達に、この周辺を案内しようかと思って。今日はミジン湖の方にでも行ってみようかと思っている」

「良いわね、私も一緒に行こうかしら。結婚前にアルディと歩けるのって、最後になるかもしれないから。それにアルディも美女5人に囲まれるって気分が良いでしょうし」

 美女が一人増えているんですけど。姉も男爵邸にメイドとして勤めていたぐらいだから容姿は決して悪くない。

「ミジン湖に行くのか?」

 父が聴いて来た。

 ミジン湖は家から歩いて15分程で行ける湖で、子供の頃はよく遊びに行ったものだ。

「あそこには今、外来魚が住み着いて、人が襲われるから気を付けた方が良い」

「外来魚ってどんな魚?」

「大きさが5mぐらいあって、するどい歯があり人が何人か襲われている。名前が『ブルーシャーク』という魚らしい」

「5mもあったら、それは星獣じゃないか」

「最初は小さかったんだ。それが、あれよあれよという間に大きくなってしまったんだ」

「そのブルーシャークって何匹ぐらいいるの?」

「1匹だ」

「1匹?」

「そうだ。最初はもっと多かったんだが、共食いして最後は一番強いのが残った。

 かなり狂暴なので、警察でも手を拱いている」

「じゃあ、ついでにそいつを退治しよう」

 リゼルロッテ、イリューシャ、シュリーそれにチェルシーと作戦を練る。

「湖が小さいなら俺が雷力で気絶させれば良いのだけど、湖は広いから遠くに居たらそれはちょっと無理だな。

 氷力で水を凍らすのも考えたけど、これも広い場所には使えない。何か餌で引き付けるか」

「だったら私が泳ぎます。どうせ他の魚がいないのですよね。だったら私が水に入れば絶対追って来ます」

「するとイリューシャ用の水着が必要だな」

 これは、またイリューシャのビキニが見れるぞ。

「いえ、冒険者用のユニフォームがあれば十分です」

 あっ、そう。

「ならば、外宇宙港に停めてあるフォルテウス号に取りに行かないと」

「いえ、持って来ていますから大丈夫です」

「私も持って来ています」

「私も持って来ています」

「私も持って来ています」

「全員、冒険者用ユニフォームを持って来ているのか?」

「「「「はい」」」」

「実は俺もだ」

「「「「「はははは」」」」」

「だったら、冒険者ギルドにクエストが出ていると思うから、アームデバイスでクエスト受領の登録をしておくか」

 アームデバイスで操作すると確かにクエストが出ていたので、クエスト受領の申請をする。

「では着替えて行くか」

 2階の部屋で着替える。女性はミニスカートにブラジャーそれに上着といった格好で、男性はランニングシャツに短パン、同じく上着だ。

 姉がその姿を見て

「私もミニスカートで行こうかしら」

 なんて、言ってる。

 いや、姉よ。もう直ぐ結婚するのだから、いたずらに若作りとかやめてくれ。

 この格好で家の近所を歩くのは、ちょっと恥ずかしいが、冒険者クエスト中だと言う事が分かる。

 歩いて15分程でミジン湖の畔に到着した。昔と変わらず美しい景色が広がる素敵な湖である。

 だが、外来魚が居るためか、湖の周りには人がいない。

「イリューシャ、頼めるか」

「任せておいて」

 イリューシャは冒険者ユニフォームのまま湖の中に飛び込んだ。

 それから、時々湖の上にジャンプしたりしていたが、それを3回繰り返したら、アームデバイスに赤い点が点灯した。

 どうやりイリューシャという餌に喰いついたようだ。

 イリューシャがジャンプした後に、イリューシャに続いて外来魚がジャンプしたが、あれは前世で見たホホジロ鮫そっくりだ。しかも、開けた口がかなり大きい。

「チェルシー頼むぞ」

「目標確認、照準ロック済です」

 イリューシャが再びジャンプすると、その後を追って外来魚もジャンプする。

 その時だった。チェルシーの両眼から出たレーザー光線が外来魚の身体を貫き、そのまま真っ二つにした。

「ドーン」

 外来魚の巨大な身体が水に落ちた。水面には外来魚の身体から出た血が広がって行く。

「ちょっと、アルディ、チェルシーって何よ。眼からビームがバーンと出ていったわ」

 いや、だからチェルシーはヒューマノイドなんだって。

 姉は興奮して騒いでいるが、嫁達は至って冷静だ。

 俺はギルドに、クエスト完了の報告をする。

 アームデバイスからの報告と証拠映像を提出すると、確認後に俺の口座に報奨金が振り込まれる事になる。

「あの外来魚って食べられるのかな?」

 前世日本人の俺は、ついそんな事を考えてしまう。

「ちょっと待ってて下さい。食べてみます」

 イリューシャがまっぷつになった外来魚の所に行って、その魚肉を摘まんで食べてみた。

「イリューシャ、どうだ?」

「今一ですね」

 それを聴いて、そのままにして帰って来た。その死骸は別の冒険者がまた依頼を受けて処理する事になるだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。