第43話 休暇を頂きました
俺たちは商船「フォルテウス」に戻った。
「フォルテウス」に戻った俺達はクルーから大歓迎を受けた。ベッチ艦長も俺に抱き着いて褒めてくれた。
「アルディさん、あなたはなんて凄いんだ。1艦で5艦の宇宙艦を破壊したんだ。これは称賛に値する。
ところで、あの海賊艦はどうなるんでしょう?」
「氷山は大きな星です。その重力が及ぼす範囲はかなりの広さです。姿勢制御が出来なくなった海賊艦は氷山に引き寄せられ、そのうち氷山に落下するでしょう」
「中の海賊たちは?」
「生きている者も居るでしょうが、氷山に衝突すれば全員ダメでしょう。
仲間の海賊艦が間に合えば救助もあり得るでしょうが、ある程度の重力圏に入った場合、巨大艦では救助に行けません。
スペースコミュターかライレスボートを使えるなら対応出来るでしょうが、はたしてどこまでやるでしょうか?」
「仲間を救助するか否かは、海賊共の仲間意識によると言う事か?」
「そうですね、一歩間違えば自分達も巻き添えを喰います。果たして、海賊達の仲間意識がどれ位強いかが試されるでしょう」
「アルディさん、あなたって怖い人だ」
それから3週間後、俺達は無事ユーリー辺境伯領の宇宙港に接岸した。
コンテナの積み下ろしに1週間程度必要なため、ユーリー辺境伯星で1週間の休暇になった。
それは冒険者パーティ「紅い百合」も同じだ。
一部の係留時の必要な人数を残し、冒険者パーティ「紅い百合」のメンバーも地上に降りてきている。
もちろん、シュリーもその中の一人だ。
そして、俺達は領都「マイカシティ」のカフェで話をしている。
俺とリゼルロッテ、イリューシャ、シュリー、それにキャロットリーダーの5人だ。
「あのう、何故、『紅い百合』のリーダーキャロットさんがここに居るのでしょうか?」
「いや、何、私にも結婚のチャンスがあるかなと思って。私も一応独身なのでな」
誰と結婚するつもりだよ。
「アルディ、3年前に行方不明になったと聴いてたけど、どうしていたの? それに妻だと言った二人の女性との関係は?」
俺はワームホールに吸い込まれた事、そこで知り合った二人と結婚した事、そして今自分の冒険者パーティを立ち上げるべく、準備中である事を話した。
「アルディが自分の冒険者パーティを立ち上げるんだ。だったら、昔の約束に従って私も参加したいな。
キャロットリーダー、許可して貰えますか?」
「シュリーが居なくなるのは大幅な戦力ダウンだけど、本人の意志が固ければ仕方ない。
ところで、女冒険者は必要ではないだろうか?」
「キャロットリーダー、貴方にはメンバー全員の生活が掛かっているんですよ。簡単に辞める訳にはいかないでしょう」
「私は仕事か家庭かと問われれば、家庭を選ぶ古風な女なんだ。アルディ殿、今ならお買い得よ」
だからあんたは40近くまで独身なんだよ。
「このリーダーの事はほっといて、話を先に進めましょう。この仕事は帝都に帰るまでなので、そこまではこの仕事から離れられないから、帝都に着いたら改めて連絡をするので、その時に指示を頂戴」
「待って下さい。私はこの女をパーティに入れるのは反対です」
「私もリゼルロットと同意見です」
リゼルロッテとイリューシャはシュリーのパーティ参加に反対のようだ。
「だけど、鑑定士としてのシュリーの実力を見ただろう。俺のパーティに必要な人物だと思うが・・・」
「確かに彼女の実力は認めます。しかし、一番の問題は私の夫を狙っている泥棒猫の根性が気に入らないのです」
「そうだ、そうだ」
リゼルロッテの話にイリューシャも賛同した。
「一つ訂正して良いかしら?」
「何でしょう?」
「泥棒猫っておっしゃったわよね?」
「ええ、言いましたが」
「私が猫族に見えて? 私はエルフ族であって猫族ではないわ。どうやったら猫族に見えるの」
「私は例えとして泥棒猫と言っただけで、猫族とは言ってません」
「でも泥棒猫と言った。YES or NO?」
「YES」
「でも私は猫じゃない。YES or NO?」
「YES」
「猫じゃないのに猫と言った。要するにあなたの眼は節穴って事でしょ。だったら、私をパーティに加えて、ちゃんとした眼で判断するべきではないかしら。YES or NO?」
「YES」
「と、言う事で奥様方の許可も貰った事だし、この航海が終わったら、私はアルディのパーティに参加します」
何という納得のさせ方だ。確かにシュリーは昔から口が達者だったが、磨きがかかったんじゃないか。
「イリューシャ、こうなれば旦那様の左右の腕は決して美しいだけのエルフの乳デカ女に取られてはなりません」
「はい、リゼルロッテ。分かっております」
「いいですか、取られたら負けです」
「取られたら負け」
「「取られたら負け! おおっー」」
おまえらテンション高くて良いな。俺は疲れたよ。
1週間の休暇は領都のホテルに宿泊する。そしてシュリーは毎日俺達のホテルに来て一緒に街を散策した。
翌日は出港という日、俺たちは夕食に行った。もちろんシュリーも一緒だ。
この街は辺境領なので、ここから先の未開の惑星探索のために冒険者が多い。そうなると、タチの悪い冒険者も多い。
それに食事をする場所も帝都のような綺麗なレストランではなく、それこそ異世界アニメに出て来る酒場の飲食店というような店だ。
そこで、美人なリゼルロッテ、イリューシャ、美人エルフのシュリーが居るとなれば、当然こんな事が起こる。
「なあ、そこのお姉さんたち、今夜は俺達と飲み明かさないか?」
俺と言う男がいるのに、こんな声を掛けて来るが、リゼルロッテがその男に答える。
「あなた、一人?」
「いや、向こうで5人が待っているんだ。どうだろう?」
見ると奥のテーブルに人相の悪い5人が酒杯を持って、こっちを見てニヤニヤしている。
「分かったわ。全員相手にしてやるから外に出なさい」
「何?」
「私たちより弱い男に興味ないの。お分かり?」
「ほう、俺達とやるって言うのかい。俺たちはA4ランクの冒険者だ。女だてらに負ける訳はない。
なんなら、そっちの男でも良いぜ」
えっ、俺か。手加減出来るかな。
「旦那様の手を煩わせる必要はありません。こんな男達なら私とイリューシャで十分です。同じ冒険者ですし」
「ほう、お姉さんも冒険者なのかい? だったら話が早い。負けたら俺達と付き合うって事で良いな。
試しにランクを聴いておこうか」
「A1ランクだけど」
「A1ランク! はっはっはっ、A1ランクでA4ランクの俺達と勝負するだと」
奥の5人もゲラゲラと笑っている。
「決まりね。外に出なさい」
「オーケーだ。確認するが、冒険者同士の争いだ。例え死んでも罪にならないってのが、このユーリー星のルールって事は知っているな」
「ほう、それは好都合ですね」
リゼルロッテとイリューシャが外に出て行くと、俺達に声を掛けて来た男と奥の5人の合わせて6人が外に出て行った。
「アルディ、助けに行かなきゃ」
「心配無い。リゼルロッテとイリューシャに任せて置けば大丈夫だ」
「そんな、私だけでも助けに行くから」
シュリーが慌てて外に出て行った。




