第42話 海賊戦 終戦
「リゼルロッテ、イリューシャ、俺達も出るぞ」
「了解」
「キャロットリーダーに指揮権をお返しします。ユーハブコントロール」
「アイハブコントロール。アルディ殿、見事な指揮であった」
「アルディ、気を付けてね」
シュリーが言うと、リゼルロッテとイリューシャがシュリーを睨んだ。
俺達3人は格納庫に向かう通路でパワードスーツを着用する。
「「「アクセプト!」」」
パワードスーツを着用すると身体能力が上がる。装着した瞬間から走る速度が上がった。
駐機場に到着するとエアロパイロットに乗り、格納庫にある俺達のアトラスアクターにテイクインする。
俺達のアトラスアクターはリニアカタパルトから発出される。
「アルディ機、発射完了。これより、これより海賊艦に向かう」
「リゼルロッテ機、海賊艦に向かう」
「同じく、イリューシャ機、海賊艦に向かう」
俺達は指揮権を持っていると思われる中央の海賊艦に向かった。
海賊艦:
「ドカーン」
「今度は何だ?」
「反重力コイルを破壊されました。重力制御低下中・・・、停止します」
「う、うわっ、無重力になったぞ」
「うっ、うぐっ」
「こらっ、艦橋で吐くな」
「相手艦、アトラスアクターとコスモファイターを出しました。アトラスアクターは恐らく戦闘タイプです」
「こっちもアトラスアクターとコスモファイターを出せ。両弦リニアカタパルトより射出」
「戦闘班、アトラスアクターとコスモファイターで出撃」
「了解」
「ガーン」
「今度は何だ?」
「リニアカタパルトから発射したコスモファイターが先程撒かれた宇宙機雷に当たり炎上しました。リニアカタパルト使用出来ません」
「ヤツらこの為に宇宙機雷を撒いたのか。しかし、出口はそこだけじゃない。ヤツらも甘いな。アトラスアクターを後部格納口から出撃させろ」
「ドガーン」
「今度は何だ?」
「隣の艦と接触しました」
「何をやっているんだ。艦を立て直せ」
「無理です。反重力コイルを破壊されたので、姿勢制御が出来ません」
「サイドスラスターを使え。それで制御するんだ」
「了解」
「アトラスアクターはどうした。まだ、出撃出来んのか?」
「無重力なので、アトラスアクターとのテイクインに手間取っているようです」
「早くしないと、この艦は相手の的にしかならないぞ」
アルディ:
「リニアカタパルトが使えないから、相手のコスモファイターは格納庫から出る事が出来ない。
そうなるとアトラスアクターを上部コーテナーか後部コーテナーからしか出す事が出来ない。しかも無重力なので、良く狙えば外れる事は無い。狙いはアトラスアクターは後部コーテナー、コスモファイターは上部コーテナー」
「「「「「了解」」」」」
それでも、海賊のアトラスアタクーは出て来るが、数はそれ程ではない。こうなると海賊機1に対し、レッドリリィ側は複数で当たるので、海賊側の方が不利だ。
コスモファイター機は上部コーテナーを集中的に狙い、海賊のアトラスアクターを出撃出来ないように封じ込めている。
俺達がアトラスアクターの出口で待っていると分かって、海賊のアトラスアクターは出撃して来なくなった。
だがアトラスアクターやコスモファイターでは簡単に宇宙艦を破壊するまでは出来ない。一部を損傷させるのは可能だが、300メル(300m)の巨体は伊達ではない。
そのうち、前方に撒いた宇宙機雷が、「ミジハロスキー粒子」の収集口に吸い込まれるようになった。
「良し、引き上げるぞ」
俺たちはアトラスアクターとコスモファイターを艦に引き上げた。
「アルディ殿、次はどうする?」
「艦砲射撃をします」
海賊艦はお互いの重量により重力が発生し、今では1か所に固まって浮いているだけだ。こうなると海賊艦は艦砲射撃が出来なくなる。
「向こうは艦砲射撃が出来ません。今は撃ち放題です」
「聴いたか艦砲射撃班、海賊艦目掛けて撃ちまくれ」
「レッドリリィ」からの集中砲撃が始まった。オプティカルレーザー砲に加えてミサイルも発射する。
だが、それでも5艦の巨大艦は破損が拡大するものの、艦の破壊までは至らない。
「そろそろかな」
「アルディ殿、そろそろとは?」
「まあ、見ていて下さい」
俺がそう言った直ぐ後だ。1艦の中央部から赤い爆炎が上がった。するとそれに呼応するように他の艦からも火の手が上がる。
「これは、どうしたんだ? アルディ殿」
キャロットリーダーが俺に聴いて来た。
「宇宙機雷です。艦の前方に撒いた宇宙機雷がミジハロスキー粒子収集口から入ってミジハロスキー粒子タンクに届いたのです。そうなるとどうなりますか?」
「充填されているエネルギーが誘発されて、大爆発」
「その通りです」
「アルディ殿、宇宙機雷を撒いたのはアトラスアクターやコスモファイターを発進させないためでなく、艦を爆破する為だったのか」
「そうです。だから海賊の武力を削ぐと言ったじゃないですか」
「さすがだな」
「キャロットリーダー、くずぐすしていられません。エネルギーの充填まで何時間掛かりますか?」
「艦砲射撃だけなので、1時間もあれば大丈夫だと思うが」
「でしたら、エネルギーを充填してさっさと逃げましょう、次元通信で連絡が取れなくなった海賊共が追い駆けてきますから」
「そ、そうだな。ところで、もう一つ疑問があるんだが」
「何でしょうか?」
「オプティカルレーザー砲の射程距離は2000キル(2000km)だ。しかし、海賊艦までの距離は3000キル(3000km)あった。だから射程外とシュリーも最初不可能と回答したと思っている。
だが、氷山に放ったオプティカルレーザー弾は屈曲して3000キル(3000km)先の海賊艦に当たってしまった。
どうして射程外の海賊艦に当たったんだ?」
「シュリー、説明できるか?」
シュリーは理解していたようなので、説明はシュリーに任せる。
「それでは私が説明します。一言で言えばレンズ効果ですよ」
「レンズ効果?」
「そうです。オプティカルレーザー砲は熱線であり、それは光の集合体です。これを透明度の高い氷山に向けて放てば当然その氷を通過し反射される事になります」
「ああ、それは実際に眼で見たから理解できる」
「ですが、氷山は惑星です。惑星は丸いのです」
「当たり前の事を言うな」
「その当たり前が射程を延ばす事になるのです」
「だから分かるように説明しろ」
「丸い透明な氷があります。これは凸レンズの効果を果たすものです」
「凸レンズ、つまり氷山にオプティカルレーザーを発射したのは屈曲させるのが目的でなく、射程外からオプティカルレーザー弾を増大させ射程外の目標に着弾させる為だったというのか?」
「その通りです」
「何と言う事だ。宇宙機雷の扱いといい、氷山の使い方といい、私はアルディ殿やシュリーに及ばない」
シュリーの説明を艦橋に居た全員が手を止めて、耳を研ぎ澄ませて聴いている。
「この戦闘の成果は、『レッドリリィ』の鑑定士が優秀だった事が一番の戦功です」
俺はシュリーを褒めた。
「では、さっさと逃げる事にしましょう。エネルギー充填後、直ちにワープを行う。各員、エネルギーの充填とワープ準備」




