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第41話 海賊戦 初戦

 艦橋に着くと、いきなり女性が俺に向かって走って来た。

「アルディ!」

 その女性は俺に抱き着く。

「えっと、もしかしてシュリー?」

 長い耳が特徴のエルフ女性だ。

「そうだよ。行方不明になったと聴いていたから心配していたんだよ、えーん」

 シュリーは俺の胸の中で泣き出した。

 俺は首を回して後ろを見ると、そこには顔を真っ赤にして怒った顔の妻2人が居た。

「あ、あの、シュリー。今は海賊退治の方が先だから・・・」

「そ、そうね、私とした事が、オホホ。って、後ろの女は何者? もしかして下僕?」

 シュリー、止めてくれ。火にガソリンを注がないでくれ。

「あなたこそ何者です?」

 リゼルロッテがシュリーに聴く。

「わ、私、私はアルディと親しい間柄ってやつよ。そう言うあなた達は何よ?」

「「妻です!」」

「へっ、妻? アルディあなた結婚したの?」

「えーと、まあそういう事で」

「えっ、ええっ」

 シュリーは、よろよろとよろけると床にペタンと座り込んでしまった。

「ちょっと、シュリー、ショックを受けているのは分かるけど、仕事に支障は出さないでよね。クルー全員の命が掛かっているのだから」

「私だってプロです。そんな事はしません」

 キャロットリーダーの言葉にシュリーが答えた。

「旦那様、あの女の事は後でお話があります」

「ご主人様、私も後でお話があります」

 ひぇー、出来れば今夜は早めに睡眠カプセルに入りたい。


「シュリー、氷山の右後方重力圏ギリギリの所の座標を頼む。『レッドリリィ』と『フォルテウス』はその位置にワープ」

「座標出ました。X軸85836559030、Y軸37572743472、Z軸19137837747です。座標転送します」

 シュリーは操作を行い「レッドリリィ」と「フォルテウス」に座標が転送された。

「これからはカップリングでの操縦は『レッドリリィ』から行う。指示された座標にワープイン」

 指示された座標に従って、「レッドリリィ」と「フォルテウス」がワープした。そして、ワープアウトした目の前には巨大な白く輝く惑星があった。

「シュリー、惑星の表面の鑑定」

「鑑定済です。表面は氷です。透明度98%」

 透明度98%は、かなり綺麗な水で出来た氷だ。

「これからは『レッドリリィ』での戦闘となります。『フォルテウス』は氷山の陰に隠れていて下さい」

 秘匿通信で「フォルテウス」に伝え、同期操縦をデカップリングすると、了解の符号が来た。

「これより『レッドリリィ』は戦闘に入る。第一級戦闘体制!」

 キャロットリーダーが宣言すると艦内に警報が響き渡り、冒険者たちが戦闘準備のため走り回る。

「戦闘班はコスモファイターで待機。艦砲射撃班は艦砲射撃準備。治癒士は治癒カプセルとライレスボートの準備」

「「「了解」」」

 各クルーが準備につく。

「これよりアルディ殿に指揮権を移譲する。ユーハブコントロール」

「アイハブコントロール」

 キャロットリーダーから指揮権が俺に移譲された。

「アルディが指揮を受け継いだ。まず、このまま2000宇宙ノットで海賊艦の右後方まで移動」

 艦が動きだした。

「シュリー、真ん中の海賊艦のエンジンを狙う」

「無理です。ここからは射程外です」

「分かっている。オプティカルレーザー砲で氷山からの屈曲射撃を行う。屈曲を考慮して座標を導き出してくれ」

「アルディ、正気? 屈曲射撃なんて?」

「もちろん正気さ。シュリーの鑑定座標が正確ならばな」

「くっ、私の鑑定を見せてやるわ」

 しばらくしてシュリーが座標を出した。

「5艦のエンジン位置を出したからデータを送るわ」

「さすが、5艦全部出して来たか。艦砲射撃班、次はお前達だ。指示された座標にオプティカルレーザー砲を打ち込め」

「オプティカルレーザー砲発射準備完了」

「良し、発射!」

「レッドリリィ」から発射された光の熱線は氷の惑星に向かって飛んで行った。

 だが、その光は氷の表面に当たると方向を変えて、海賊艦5艦のエンジンに当たった。

「第二砲、発射」

 第一砲と同じ軌道で光の熱線で発射され、海賊艦のエンジンの同じ位置に着弾し、エンジンを確実に破壊し、5艦全てが航行不能になった。

「よし、宇宙機雷を海賊艦前方に配置する。コンテナに宇宙機雷を詰めてリニアカタパトから発射せよ。配置位置は海賊艦下部からとするので、海賊艦下部方面に2000宇宙ノットで移動」

「了解」


「レッドリリィ」は海賊艦の下部に移動した。砲撃が来るが、下部砲塔は1砲しかないので、狙いを外しつつ移動し宇宙機雷を配置する。

「リニアカタパルト起動、機雷入りコンテナ発射」

 リニアカタパルトから発射されたコンテナは海賊艦の前に行くと開包されて中の宇宙機雷が宇宙空間に散らばった。


 海賊艦の中:

「ドカーン」

「どうした、何があった?」

「エンジンが砲撃されました」

「砲撃だと? どこからだ」

「氷山からです」

「何をふざけた事を言っている。氷山からどうやって砲撃が来るんだ」

「ですが・・・」

「ドカーン」

「また砲撃です。今度は完全にエンジンを破壊されました」

「また、氷山からだと言うのか?」

「そうです」

「エンジンが動かないと艦を動かせん。直ちに修理を急げ」

「再び砲撃があるかもしれません。収まってからの方が良いのでは?」

「よし、レーダー感度を上げ、敵艦の発見に努めよ」

「敵艦発見、下に言います」

「何、直ちに砲撃」

「砲撃開始」

「敵艦、コンテナを発射しました。本艦の前に来ます」

「全員耐ショック用意」

「コンテナ開包しました。中から出て来たのは宇宙機雷です。本艦の前方に宇宙機雷が撒かれました」

「宇宙機雷を艦の前に撒いただと。目的は何だ?」

「さ、さあ?」


 レッドリリィ艦橋:

「下部より反重力コイルを破壊する。オプティカルレーザーを反重力コイルに集中して攻撃」

「レッドリリィ」は5艦の反重力コイルを破壊した。相手はメインエンジンを破壊された動かない艦なのだ。こちらから見れば単なる的でしかない。

 反重力コイルを破壊されると、艦内の重力制御と艦の姿勢制御が出来なくなる。

 今頃、艦橋では海賊たちが無重力と格闘しているだろう。中には宇宙酔いになっているヤツも居るかもしれない。

 しかし、問題はそれだけでは無かった。姿勢制御を失った艦は隣の艦との距離を保つことが出来なくなり、衝突する艦も出て来た。

「ドカーン」

 宇宙には空気が無いので実際は音は聴こえないが、画面に映る映像ではそんな音が出ていると思われる画像が表示されている。

「良し、アトラスアクターとコスモファイターを出す。コスモファイター隊、リニアカタパルトから射出。

 アクラスアクター隊は上部コーテナーから出撃」

 右舷と左舷にあるリニアカタパルトからコスモファイターが射出されていく。その数20機だ。

 上部コーテナーからはアトラスアタクー20機も出撃した。


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