第4話 学校生活は前世とかなり違う
新入学生は30人程で、ほとんどがエレメンタリースクールの同級生だ。
俺は、先のマークやエリスと仲が良かったらしく、二人は俺と一緒に居てくれた。
一通り、入学の式典が終わると学生だけ教室に移動し、親は先に帰って行った。
教室は前世の教室に似てはいるが、さすがに科学が発達しているだけあって、机と椅子は近代的だ。
席に着いて待っていると、女性の教師が入ってきて教壇の位置に座った。
前世の学校では教師は立っていたが、ここでは教師も椅子に座る。そして、その教師の前には様々な装置がある。
「私は『マルガレッタ・キルスン』です。私がこのクラスの担任になりますので、これからよろしくね」
歳の頃は25,6歳と言う頃か。意外と若い女性が担任だ。
「これから、この訓練校のルールを説明しますので、よく覚えておいて下さい。アームバイアスでも確認できるので、疑問に思ったら、アームデバイスに確認してね」
そこから、担任から一通り、学校についての説明があった。
それが終わると今度は別の場所に移動する。そこには、エアロパイロットが整然と並んでいる。
「これから各自にエアロパイロットを配布します。指示があるまで勝手に動かさないように」
担任が一人一人名前を呼び、エアロパイロットが渡されていく。
「アルディ・モーディスター」
俺の名前が呼ばれ前に出る。
「君のエアロパイロットはこれね」
一台の機械装置のついた椅子を担任が指差す。
俺はその椅子に座った。
「勝手に動かしたらだめよ」
そして、全員にエアロパイロットが行き渡ったら操縦の説明に入る。
「まず言っておきたいのは、あなたたちに渡したエアロパイロットですが、これはこらから生活していく上で、このエアロパイロットは君たちの手となり脚となる大事な物です。
心がけて大事に使うように。
故障した際の修理費用等は、全て個人負担となるので注意する事。
それから、15歳までは無料で使えますが、15歳を過ぎると使用料という名目の税金を支払う事になります。
それは、この星から出て行っても同じです。別の星に移住したとしても、その星で登録しなければ、ネットワークに接続できずに動作しなくなるで、注意が必要です。
登録と納税はその星のギルドで出来るから心得て置く事」
今、何と言った? ギルドだと?
この世界には、ギルドがあるのか。
ライトノベルではギルドって、冒険者の要となる要所だったが、ここではどうなんだろう?
「では、操縦について説明しますが、言われたように動かす事。勝手に動かすと暴走したりしますから絶対に勝手に動かさないように」
講師の言葉に生徒全員が頷く。
「まずは、エアロパイロットの説明からです。右手にある大きな黒いカップはエアロパイロットの前進、後進、右折、左折を行う装置で、マウスといいます。
右にあるのが右マウス、左にあるのが左マウスです」
椅子に腰掛けアームレフトに手を置くと、右手の所に前世にあったパソコンのマウスのような物がある。
それをマウスを扱うのと同様に右手で包み込む。
「今はまだ起動していないので、試しに動かしみます。前、後ろ、右、左」
講師の言葉通りにその右マウスを動かす。手を離すとその右マウスは自動的にセンター位置に戻るようになっている。
「真ん中がニュートラル位置になります。その位置にマウスがあるとエアロパイロットは停止します。
では実際に動かしてみましょう。左マウスの下にある赤いボタンを押して下さい」
左アームレフトにも右と同じ形のマウスがあり、手元側に大きな赤いボタンがある。そのボタンを押すと色が赤から青に替わり、エアロパイロットが10cm程浮いた。
「そのボタンは緊急停止ボタンにもなっていますから、動いている途中に押すとエアロパイロットが停止します。
では、右マウスをゆっくりと前に押して下さい。いいですか、急に押すと暴走しますからゆっくりですよ」
生徒全員が右マウスを前へ押すと浮いたエアロパイロットが前進する。
「はい、いいですね。手を離して」
右マウスから手を離すとマウスが中央に戻りエアロパイロットが停止した。
「今度は後進します。右マウスをゆっくりと後方に動かして下さい」
言われたようにすると今度はエアロパイロットはバックした。
「今度は右折、左折をします。右マウスを前に押したまま右側に傾けて下さい」
言われた通りにするとエアロパイロットは右折した。左折も同じようにする。
一通りの動かし方の説明が終わったところで、走行練習に入る。
講師が手元のアームデバイスを操作すると、広い講堂の中に光のラインで造られた道路を現れた。
「これから、この光のライン上を走行して貰います。最初はゆっくりと走行させて下さい。では、順番にやっていきましょう」
光で造られた道路に従って、エアロパイロットを走行させてみる。5周ぐらいすると大体の操作に慣れて来た。
「それでは、スピードを上げていきます。マウスを前に押すのを深くして下さい」
右マウスをより前方へ押すとエアロパイロットの速度が上がる。
そうして一通り動かす事が出来たら、今度は左マウスの説明になった。
「左マウスはエアロパイロットの高度と回転を操作します。そのままで左マウスを前方へ押して下さい」
左マウスを前方へ押すと、エアロパイロットの高度が上がる。
「はい、手を離して」
左マウスから手を離すとエアロパイロットがその位置で停止した。下を見ると5mぐらいの高さがある。
「今度は左マウスを手前に引いて」
言われた通りにするとエアロパイロットが降りて行き、最初の高度10cmぐらいの位置で停止する。
それらは目の前に出て来たフォログラムインジケーターにグラフィック表示される。高さは左手にバーで表され、速度は右手に円グラフで表示される。
文字が無いので全てグラフィックになっている。
「次に左マウスを右に倒して下さい」
言われた通りにするとエアロパイロットが、その場で右回転し始めた。左に回すと左回転だ。
「えーと、あまり回し過ぎると目が回るので注意するように」
俺は前世で遊園地にあったコーヒーカップの遊具を思い出した。子供の時、あれを全速で回転させていたら目が回った事がある。
「先生、マウスの下にあるボタンは何ですか?」
クラスメイトのマークが質問した。
「それらのボタンはアグリコンバインやコンストバインにドッキングするためのボタンです。今回は使用しないので割愛しましたが、今後の授業で説明していきますから、詳細はその時にお話しします。
良いですか? 今からエアロパイロット操縦試験を行います。高度と速度はエアロパイロットのフォログラムインジケータに青で表示される操作を行って下さい。
それでは、準備を行います」
試験と言っても簡単だ。先程の光のラインを指定された高度と速度で通行すれば良い。高度は1mぐらいになると、高度バー表示が青に変わり、速度も指定された速度になるとこちらも同様に円グラフが青に変わった。
そして、そのまま光のラインを進む。
「アルディ、合格です」
講師がアームデバイスを操作すると、俺のアームデバイスにエアロパイロットのアイコンが表示される。
どうやらこのアイコンが免許のようだ。
そして初日の授業が終わるとそのまま自宅に帰る事になるが、母親たちは入学式が終わった時点で既に帰宅しているため、エアロパイロットに乗車して生徒たちは別々で帰る事になる。
「アルディ、またな」
マークは挨拶して自分のエアロパイロットを操作して校門から出て行った。
「アルディ、また明日」
女性の声がするのでそちらを見ると、エリスが同じようにエアロパイロットを操縦して学校を出て行く。
他の同級生たちも同様に帰宅するのを見て、自分も同じようにエアロパイロットを発進させた。




