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第36話 ガス惑星って見た目より怖い

 男達の眼がその金貨に流れた。

「「「アクセプト!」」」

 パワードスーツを着用し、備え付けのガンホルダーからプラスターガンを取り出し、男達に向けて撃つと5人が倒れた。

 銃声に気付いた男達は直ぐにブラスターガンを抜いて俺達に向かって撃って来たが、パワードスーツを着用した俺達には通用しない。俊敏さ一つとっても重力が2倍の星で訓練し、身体強化までされているのだ。

 それにパワードスーツは防御機能だって高い。

 俺はソニックブレードを出すと、ロープで縛られているジョンのロープを切った。

「ジョン、歩けるか? どこかに隠れていてくれ」

 ジョンは、よろよろと歩くとスペースコミューターの後方に隠れた。

「リゼルロッテ、イリューシャ、退け」

 リゼルロッテとイリューシャがこっちに来た。

「てめえ、もう許さねえ。全員でかかるぞ」

 体制を立て直し、全員でこっちに向かって来るようだ。

「サンダーボルト!」

 俺は最大のサンダーボルトを放った。

「「「「「ぐわっっっっ!」」」」

 サンダーボルトの中心に居た50人程が即死し、即死しないまでも感電で立てない状態になっている。

 俺はアームデバイスで生体反応を探し出し、生きている事を確認すると格納庫に置かれていたコンテナに投げ入れていった。

 パワードスーツなら身体強化されているので、屈強な男でも軽々と持つことが出来る。生きている人数は意外と多く、60人も居た。60人をコンテナに入れると3台になった。

 その後は、コーテナーのヒンジ部にキセノン弾薬の爆薬を設置した。これは脱出の際にコーテナーを吹き飛ばす為だ。

 イリューシャが治癒BOXにジョンを連れて行き治療する。

「イリューシャ、治癒BOXの使い方は分かるな」

「はい、ローランド星の船の中で訓練したので」

 リゼルロッテとイリューシャには戦闘以外にも鑑定士と治癒士の訓練も行わせた。

 二人共いつでも冒険者としてやっていける。

 ジョンはイリューシャに任せて、俺たちは艦橋を占拠する。

「全員、手を上げろ。動きが可笑しいヤツは撃つ」

 艦橋に居たクルーが全員手を上げた。その数12人。

「サンダーボルト!」

 俺はここでもサンダーボルトを発するとクルーは手を上げているので、避雷針のようになって全員が感電した。ただし、今度は電圧をかなり抑えているので、死亡しているクルーはいない。

 クルーを殺すと最後のワープが出来ないからだ。

 クルーを機材庫から見つけて来たロープでシートに固定し、更に脱出できないようにキーロックまで行った。

 そうしていると気絶から目覚めた何人かのクルーがこっちを見た。

「な、何だこれは。テメー、こんな事をしてどうなるか分かっているのか?」

 威勢の良いクルーが居るが、俺はそれに対して何も言わないでいるとクルーが騒ぎ出すが、とことん無視する。

 そうこうしているうちにジョンが回復してイリューシャと一緒に艦橋にやって来た。

「ジョン、大丈夫か?」

「アルディ、まずはありがとうと言わせてくれ。聴きたいことは沢山あるが、今はそれどろじゃないだろう」

「その通りだ。それで、航海士のジョンに最後のワープアウトをここに設定してくれ」

 俺が渡した紙のメモを見たジョンはそれを見て顔色を変えた。

「アルディ、ここは・・・」

「今は黙って指示に従って欲しい」

 ジョンは返事をせずに頷いただけだった。


 艦橋に着いて最後のワープインを行う作業に入った。

 ジョンがワープアウトの座標を入力した。

「これよりワープインを行う、各クルーはワープ準備」

 シートに縛られたクルーがワープイン準備を行う。

「準備完了。いつでもワープイン可能です」

「ではワープに入る。ワープイン」

 窓の外の星が消えて黒くなった。ワープインしたと言う事だろう。

 数時間後にワープアウトした前には巨大な木星のような星があった。

「うわっ、何だここは?」

 クルーから声が上がる。

「ここは、『ハッシュハウザー星系』第4惑星の重力圏内だ」

「な、何だと? お前そこにワープアウトすると言う事が、どういう事が分かっているのか?」

「もちろん分かっている。この船は第4惑星の重力に捕まって徐々に高度が落ちて、最後は墜落する」

「そ、それが分かっていながら何故、ワープアウトした?」

「それは君達で考えな」

「お、お前達はどうするつもりだ?」

「スペースコミューターで脱出する」

「スペースコミューターで脱出するにも俺達がコーテナーを開けなければ脱出する事なんて出来ないぞ」

「問題無い。コーテナーを吹き飛ばすからな」

「な、何だと?」

「では達者でな」

 俺たちはスペースコミューターに戻るために格納庫に入った。

 するとコンテナの中から声がする。ボサックの声だ。

「おい、てめーら、俺達にこんな事をして無事でいられると思っているのか。直ぐにここから出せ」

「ボサックさん、まだそんな事を言ってるのか。俺たちはここから脱出する。後は勝手にしろよ」

「な、何? 脱出するってどうやって? コーテナーは艦橋からじゃないと開かないぞ。そうか、ジョンにやらせるつもりだな。あいつは後で殺してやる」

「いや、ジョンは俺達と一緒に来るんだ」

「じゃあ、どうやって脱出するつもりだ?」

「簡単さ。コーテナーを爆薬で吹き飛ばす」

「ちょっと待て、そうするとこの中の物が全て宇宙に放り出されるぞ」

「そうそう、俺達のスペースコミューターもそれで宇宙に出る」

「いや、待て、俺たちはどうなる?」

「お前達も一緒に宇宙に出る。人生の最後に美しい星の輝きを堪能してくれ」

 俺の言葉にボサック以外の男達が騒ぎ出した。

「ま、待ってくれ。助けてくれ。宇宙に放り出さないでくれ」

「た、助けてくれ。俺にはカミさんと小さい子がいるんだ。助けてくれ」

「フン」

 俺は踵を返した。

「お、奥さん、頼む、旦那さんに頼んでくれ。俺だけでも助けてくれ」

「フン」

 リゼルロッテも同じように踵を返した。

「そこの美しい奥さん、旦那さんに頼んでくれないか。助かったら、俺はあんたの下僕にも何でもなる」

「美しい奥さんって私の事?」

「そうそう、あんただ。あんたみたいに美しい女はこの宇宙に2人といない。だから頼む」

「えー、どうしようかな」

「美人の奥さん、頼む」

「そうねぇ、フン」

 イリューシャも踵を返した。


 スペースコミューターのコックピットに戻った俺達は、ジョンに操縦席に座るように勧めた。

 ジョンはそれを快く受けてくれる。

「よし脱出する。ヒンジに取り付けた爆薬を点火」

 リゼルロッテが爆破のスイッチを押すとコーテナーのヒンジが爆破された。

 すると、開口部が宇宙に飛び出し、俺達が乗ったスペースコミューターも加圧された格納庫から真空の宇宙に飛び出た。

 ボサックたちが入ったコンテナも外に飛び出しているが、中に居た人は全員が真空になった時点で死んでいるだろう。

「浮遊物に注意」

「了解」

「第4惑星の軌道からスイングバイで『デューラントエーテル星』に向かう。ジョン、軌道計算と操縦は任せた」

「お、おう」

 俺達のスペースコミューターが軌道上に乗ると、メインエンジンを吹かして機体制御を行い上昇を試みる宇宙艦「ブラックサターン」が見えるが、巨大星の引力に引かれた巨艦はその重力から逃れる事は出来ない。

 反対にスペースコミューターは惑星への降下を前提としているため、反重力コイルの性能が高く、ある程度の重力がある惑星でも脱出する事は可能である。

「ブラックサターン」は船体のエンジンやサイドスラスターを操作していたが、最後には惑星の雲の中に消えて行った。

「アルディ、『ブラックサターン』はどうなるのだろう?」

「この惑星はガス惑星だ。だが、その中心部には重力のある金属水素がある。恐らくそこに達する前にガス圧と摩擦熱で船体は粉々になるだろうな」

 俺の答えにジョンは何も言わなかった。


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