第14話 宇宙人ってそうなのか
俺、マーガレット、シュリー、ジョンは1年の時はいつも4人で講義を受けていたが、その理由の一つがリザードマンのジョンが他のグループから怖がられていたからだ。
特に猫族や犬族にしてみれば、かなりリザードマンは怖いらしい。
ある日、俺はジョンに聴いたことがある。
「なあジョン、リザードマン族って人族から怖がられているけど、顔が違うからだろう。もっと人柄で判断して貰うべきだと思うがな」
「いや、昔は他の惑星の人類を食べていたというのもあるからじゃないか?」
「ええっ、そうなのか?」
「ああ、帝国の領土に組み込まれる前はそうだったらしい。帝国に組み込まれて、文明開化となり、食料が行き届くようになって食人の風習は無くなったらしい」
「と、言う事はリザードマン族にとって俺達は美味しそうに見えるのか?」
「普通に美味しい食事があれば、そっちの方が美味しそうだよ」
「美味しい食事が無ければ?」
「うーん、場合によると思うけど・・・」
「ちなみに男性と女性と、どっちが美味しそうに見える?」
「男性は筋がありそうなので、女性の方が肉が柔らかそうで美味しそうかな」
ジョンの言葉を聞いたシュリーとマーガレットがドン引きした。
そして、1年が過ぎ俺達は2年に上がる前に専攻する学科を迫られていた。
「アルディは当初の予定どおり惑星冒険科に行くのね」
「うん、マーガレットはどこにするんだ?」
「私は治癒科にしようと思ってる。シュリーは?」
「最初の希望通り、私は鑑定科にするわ」
「ジョンは惑星冒険科だろう」
俺はジョンに聴いた。
「いや、僕は惑星航行科にするよ」
「「「ええっー!」」」
3人が同時に声を出した。
「な、何だよ。僕が惑星航行科にするのは変か? もしかして、僕がリザードマンだから見た目で惑星冒険者になると思ってなかったかい?」
「う、うん、正直そう思ってた」
俺の言葉にマーガレットとシュリーも同意する。
「酷いな。僕に惑星に降下して星獣と戦うなんて無理だよ」
「うーん、そうだなぁ。ジョンって、実技ってあまり得意じゃなかったもんね」
「それに、僕は昔から宇宙艦を動かしてみたかったんだ。あの大きな船が自分の思った通りに動くなんてロマンがあるじゃないか」
「だったら、普通の航海士訓練校に行けば良かったんじゃないか?」
「でも、あそこは費用が掛かるし、それに決められた航路しか運航できないじゃないか。冒険者だと未知の航路開拓もあるから、そっちの方が良かったんだ」
「じゃあ、いつか4人でパーティを組んでみたいね」
マーガレットの言葉に他の3人が頷く。
「アルディ、パーティを立ち上げるなら、その時は呼んでくれよ。その時は所属しているパーティを辞めて駆けつけるからな」
「私もその時はアルディのパーティに入るから」
「私だって」
ジョンの言葉にシュリーとマーガレットが賛同する。
「さあ、それはいつの事なるやら」
実際、パーティを組むとなれば最初に必要なのは宇宙艦だ。それも定められた航路を行き来する宇宙艦では無く、外宇宙まで航海できるアウトサイダーと呼ばれる外宇宙航行船だ。それにはかなりの費用が掛かるから、ある程度実績があり貴族のパトロンが付かないと、とてもパーティを立ち上げるなんて出来ない。
「まあ、夢だな」
俺が言うと、全員が頷いた。
2年に進級すると専攻課程になる。俺は惑星冒険科を専攻したので、覚える事が沢山ある。
まずは、宇宙惑星理論、生物論、植物論、大気概論、水質概論の机上学習から始まり、アトラスアクターの操縦、格闘術の実技とかある。
惑星によっては危険生物や毒を持った生物、植物もあるので、それらの解毒術についても学習する。
そして、俺が一番興味を持ったのはアトラスアクターの操縦だった。
支給された「エアロパイロット」に乗り、「アトラスアクター」の頭部にドッキングする。
ドッキングが完了すると頭部は密閉状態となり、宇宙空間に出ても活動できるし、水の中でも問題無く動ける。
そして、コックピット内には全面ディスブレイと「アトラスアクター」専用の操縦桿が出て来る。
「アトラスアクター」の操縦も慣れて来ると、手足のように動かす事が出来るようになる。
「アトラスアクター」は2足歩行、飛行は30分間、1G環境下でなら高度500メル(500m)まで飛行する事が出来るが、これは惑星降下用コミューターへの乗車・降下を前提とした設計であるため、飛行機のように空を飛ぶ事は出来ない。
惑星冒険者は未知の惑星でどのような生物に出会うが分からないので、徹底的に戦闘訓練を行う。
「アトラスアクター」には、額から出る頭部レーザー砲、両肩から30セル(30cm)ミサイルが3機ずつの計6機、オリハルコン製合金の盾とソニックブレード、両足のガンホルダーにガトリングガン2丁が備え付けられており、これだけみると前世のアニメを思い出す。
ソニックブレードは盾とセットになっており、使用しない時は盾の内側に格納できるのも便利だ。
そして万が一の時は、頭部脱出が可能であり、緊急レバーを引く事で頭部が高度1000メル(1000m)まで飛び出す。そして、エアロパイロットを切り離し、コミューターに回収して貰う事になる。
そんな授業を毎日受けている訳だ。
2年で別々の専攻になった俺達だが、時間が合うと4人で逢って交流を持っていた。お互いの専攻の話や愚痴、悩み事など色々な話をした。
冒険者訓練校での学生生活は俺の人生の中でも充実した期間になった。
そして、18歳になった俺は3年間学んだ冒険者訓練校を卒業する事になるが、その前に所属パーティを決める必要がある。
言わば就職活動だ。
冒険者訓練校にはハローワークの如く、求人募集が来ており校内の求人ディスプレイにその要項が表示されているが、そのほとんどに文字はなく、画像での説明になっている。
これは募集する冒険者も文字を書ける者がいないこともある。
冒険者は基本的に文字の読み書きは出来ない。だが、俺は学校内の記録保管室に行き、時間を見つけては文字の習得を行った。
前世では日本人だった俺である。ひらがな、かたかな、漢字にアルファベットと4種類の文字を操って来た人間だ。
この時代の文字がいくら複雑だろうと、その習得は困難ではなかった。その結果、卒業する頃は問題無く文字の読み書きが出来るようになっていた。
俺たちは4人で集まって、どこのパーティに応募するか話し合っていた。
「『白き頂』って、募集来てないわよね」
マーガレットは「白き頂」が第一候補らしい。
「あそこって、貴族でなければダメらしいわよ。それに募集をするんじゃなくて、『白き頂』自らコンタクトして来るんだって」
「ええっー、それじゃあ、私には無理じゃん」
「もっと現実なところにするべきだわ」
シュリーの答えは最もだろう。
「アルディは決めたの?」
マーガレットが聴いてきた。
「正直、どこでも五十歩百歩だろう。入ってダメなら辞めるしかないよ」
「五十歩百歩って何?」
「えっ?」
前世の言葉が咄嗟に出てしまった。それに対し、俺は答えあぐねてしまう。
「え、えーと、五十歩も百歩も左程違わないと言う諺かな」
「えー、五十歩と百歩じゃ全然違うと思うけど」
「ま、まあ、諺だから・・・」
「アルディって、時々変な事を言うわね」
「アルディは記録保管室に良く出入りしているから、そこで知ったのでは?」
ジョンが助け船を出してくれたので、それに同意する。
「実はそうなんだ。あそこで知ったんだ」
「でも記録って、昔の物は文字で書かれた物もあるんでしょう。アルディって文字が読めるの?」
「う、うん、勉強したんだ」
「ええっー、凄い」
マーガレットに驚かれたが、他の二人もそうだったのかと言う顔をしている。
「確かに文字が読めるのは凄いと思うけど、別に読めなくたって、冒険者としては困らないじゃない」
確かに、情報提供は「アームデバイス」があり、画像で様々な情報提供をしてくれるため、文字が読めなくても困らないのは事実だ。
「でもさ、過去の事を知ると言う事は、未来の事も知る事になるんだ」
「何、その哲学的な物言いようは」
「歴史は繰り返すって事さ」
「もう、言ってる意味が分からない」
マーガレットは根を上げた。




