第12話 人族以外って宇宙人
「アルディ、まったく、どこを見ているのよ」
「そう言うマーガレットだって」
「ははは、まあ見惚れるのは仕方ない。最初は誰でもそうだからね」
エリーさんは俺達を見て笑った。
俺とマーガレットは人族以外の種別を初めて見たが、エルフ族以外にも沢山の種族が居るとなると逢うのが楽しみだ。
乗船した乗客は案内ロボットに案内されて、それぞれ自分の部屋に向かうのは俺達と同じだ。
後から分かった事だが、この案内ロボットはかなり優秀で、船内清掃とかも行う。また、いつも船内を動いており、アームデバイスに代って情報提供もしてくれる。
たが、その案内ロボットがあっても迷子になるヤツは居る。俺たちの目の前で、キョロキョロしている金髪の美しい女性エルフがそうだ。
何か困っていると思った俺は声を掛けてみた。
「何かお困りですか?
声を掛けられた女性エルフは一瞬びっくりしたようだが、俺の方を見て言った。
「あの、部屋が分からなくて・・・。案内ロボットが迷子になっちゃって」
いやいや、迷子になったのはあなたの方だから。
「身分証はありますか?」
俺の問いにエルフの女性は身分証カードを差し出した。俺は近くに居た案内ロボットを捕まえると身分証カードをそのロボットに近づけた。
すると、ディスブレイに部屋番号が表示された。
「10324号室ですね。私の部屋が10320号室なので案内しますよ」
「私の部屋の隣だわ」
マーガッレトが言う。
「えっ、お隣ですか。よろしくお願い致します」
俺達はエリーさんに断ると女性エルフを部屋に案内する。まずは荷物を置いてすっきりしたいだろう。
部屋へ行く途中でエルフ女性が聴いて来た。
「お二人は恋人なんでしょうか?」
俺とマーガレットは思わず顔を見合わせる。
「いや、あなたと同じでたまたま部屋が近くだったので、親しくなっただけです。俺は『アルディ・モーディスター』15歳、こちらは『マーガレット・カスペリアス』年齢は・・・」
「18歳よ」
「私は『シュリー・ホワイト』同じ18歳です。お二人の出身は?」
「二人共ヘーデルランド出身なんだ」
「そうですか。私はエルフレッドランド出身です」
いや、そこから乗船した来たから分かってるよ。もしかしたらこの「シュリー・ホワイト」って人、天然かもしれない。
このシュリーは女性なのに身長が高く、170cm(170セル)ある俺とほとんど変わらない。反対に、マーガレットは150cmで女性でも低い方になる。
なので、マーガレットと二人並ぶとマーガレットは俺の肩の高さまでしかない。
前に
「マーガレットって俺より3つ年上なのに背が低い」
と言ったら、
「身長と年齢は本人の努力ではどうにもならないのよ」
って言って、半分キレられた事がある。
なので、マーガレットと話をする時は俺は下を向いて、マーガレットは俺を見上げて話をするが、シュリーとは同じ目線で話ができる。
どうやら、マーガレットはそれが不満の様だが、どうする事も出来ない。
そして、シュリーも帝都へ行く目的は俺達と同じように冒険者訓練校に入るためらしい。
「シュリーは冒険者訓練校では何を専攻するの?」
マーガレットが聴くと、シュリーが答えてくれた。
「私は、鑑定科を専攻しようと思っています。私って、他の人から天然だとかトロいとか言われて自分でもそう思う事が多くて。
だから惑星冒険者や宇宙航行者は無理だろうと思って。
反対に機械操作や調査分析は凄い興味があるので、そちらの方が良いかなと思うんです」
やっぱり、天然の人なんだ。
エルフレッドランドを出港した船の中では、エリーさんを含めた4人で話をする事が多くなった。
そして、ヘーデルランドを出港して3日後、俺たちは帝都ペテルメギウス宇宙港に到着した。
「エリーさん、船の中では色々とありがとうございました。不慣れな俺たちに教えて頂いた事は感謝しています。
お気をつけてお仕事をして下さい」
「アルディ君には私の認識番号を教えておこう。これは君にあげるから持って行ってくれ」
そう言うとエリーさんはノートに自分の認識番号を書いて、筆記具と一緒に俺に渡してくれた。
「いいんですか? 貰っても」
「そう高くないものだから良いよ。冒険者訓練校に入学したら、新しいアームデバイスが支給されると思うから、何かあったらそれから連絡をくれれば良い。
また、冒険者になったら、一緒に仕事をする事があるかもしれない。連絡先を渡すと言う事は君達に対して先行投資の意味もあるんだよ。
新しい資源惑星を見つけたら、是非とも連絡をくれないか」
「分かりました。そういう事なら頂いておきます。でも、新しい資源惑星を見つけるまでは、かなりの時間がかかると思いますよ」
「ははは、のんびり待つとしよう」
俺達は軌道エレベータで地上に降りた後、地上宇宙港の入国審査の所で別れた。さすがに帝都はコミューターではなく、軌道エレベータが設置されている。
俺達は入国審査後に冒険者訓練校行きのトレインを待つ待合室に案内されたが、広い室内に既に1000人程の人が居る。
人種も様々で人族以外にも猫族、犬族、翼族、リザードマン族、鬼族と思われる人が居る。
猫族は見れば分かるが、犬族は色々な種別がいる。これは人族でも白人、黒人、黄色人があるのと同じで、柴犬のような人、プードルのような人もいる。
翼人は背中に翼があるが、この翼も白だったり、黒だったりと色々な翼がある。
リザードマン族は首が長く、身長が2m50cmぐらいで顔は爬虫類のようで怖い。
鬼族と言われる人は肌が岩の様であり、頭に角が1本ある人と2本ある人が居る。こちらも身長は2mぐらいある。
反対に猫族、犬族は身長が低く、160cmぐらいだ。
椅子に座って待っているとアナウンスが入る。
「お待たせしました。冒険者訓練校行きのトレインが到着しましたので、指示に従ってお進み下さい」
そう言うと、外に向かう扉が開く。開いた扉の向こうにはシルバーの車体に緑のラインの列車が停まっている。
これは前世の通勤列車のようだ。
荷物を持ち、列車に乗り込むと直ぐに列車は出発した。
10分程で到着すると、そこはいくつものビルが建っている。ビルは全てが白い建物で、それが光を反射して神々しく見える。
俺たちは広い講堂に案内され、そこでオリエンテーションと学生寮への入寮手続きがあった。
男子寮と女子寮は別々なので、俺はマーガレットとシュリーと別れ男子寮へ向かう。
男子寮は個室となっており、広さは大体6畳ぐらいで、そこにベッドと机がある。部屋にはトイレとシャワーがあるのは、船の個室と同じだ。
服用のロッカーはあるが、本棚は無い。それは文字が無いから本棚があっても仕方無いのだろう。
服用のロッカーには制服が置いてあった。オリエンテーションの時の話では翌日は、この制服を着て入校式に出席する事になる。
だが、机があるのはどういう訳だろうと思ったが、どうやらこれは勉強する為の物では無く、どちらかと言うと食事の為の机のようだ。
翌日、目を覚まし学生寮の食堂に行くと既に何人かが朝食を摂っていた。朝食はバイキング方式であり、自分の好きな物を取ってくれば良いが、種族が様々なので、食材も色々ある。中には誰が食べるんだというような肉もあったが、リザードマン族が好んで取っていたので、趣向の違いを知った。




