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ティレリエン・メア 〜学館の陽は暮れて〜  作者: 西羅晴彦
銀のオスティアリウム
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敵討ち2

「……なんで?」

別に怖じ気づいた訳では無い。独力で何事も遂行してきたレオンハルトが他人を頼るということが想像出来なかっただけだ。

「君の力量は理解しているつもりだ。おそらく、優秀な高等生にも引けは取るまい」

「そ、そうかな」

「それに君は、俺という人間を理解している数少ない人間でもある。共に戦ってもらうには、これほど心強い存在はない」

なんか、おだてられてるな。とユーナは思った。

「これは、兄様の本心よ」とルツィアが真顔で付け加える。

「付き合うのは、あたしだけ?」

「わたしも行きます」とルツィア。

「つまり、あんたとルツィアとランティエさんとあたしの4人、てこと?」

「そのつもりだ」とレオンハルト。

「うーん」

ユーナは唸った。

討伐隊は、たいてい10人位で構成される。通常2人組の呪猟士を返り討ちにした魔物が相手なのだから、確実を期すために、そのくらいの陣容が用意される。

それを4人、しかもその内3人が館生という構成で遂行しようというのだ。

「どう考えても、無謀だと思うんだけど」

ユーナは本心を告げた。

「それは判っている」

「正規の呪猟士を雇わないのは、どうして?」

リッツジェルド家の財力を考えれば、5、6人を数か月間雇うくらいは何でもないはずだ。

これに対するレオンハルトの返答は、

「それはリッツジェルド家の矜持が許さない」

だった。

術門の名門であるリッツジェルドが、外部の力を借りるのは、恥以外の何物でもない。そう言う考えなのだろう。

「……やっぱり、そうよね」

ユーナはため息を付く。

「一応、訊くけど、あたしが頭数に入っているのは、どうして?」

「君が許婚だから、というのでは駄目か?」

つまり、すでにリッツジェルドの内の人間として扱われている。

「まあ、そう言うことだと思ったけど……」

「ユナマリア様が参加するなら、その臣下である私も参加しないわけにはいかない、ということになりますね」とランティエ。

許婚がどうこうというのはともかく、頼られること自体は悪い気分ではない。

だが、事が事だけに即答は躊躇われる。

ユーナはレオンハルトを見た。

この男の性格からして、言い出したからには絶対退()かないだろう。もしランティエと自分が参加を拒否しても、ルツィアと2人で成し遂げようとするはず。その場合、危険度は格段にアップする。友人のルツィアが危険な状況に追い込まれる。

それを放って置けるほど、ユーナは人でなしではない。

もちろん、レオンハルトが考えを変えてくれれば済む話である。しかし、それが一番困難であることも判っていた。

これは、もはや参加する以外にない。

「一応、訊いておくけど、諦めるつもりはある?」

ユーナはレオンハルトに最後の確認を入れる。

「無い。済まない」

ユーナはもう一度ため息をついた。そして、考えを切り替える。

まずは確実性を上げる策が必要だ。考えられる策は一つだけ。

参加者を増やすこと。

しかも、正規の呪猟士以外で。

思いつくのは、クリス、ニキア、そしてアンナ。友達が少ないユーナが思いつくのはその3人だけだった。(レオンハルトは性格からしてさらに友人が少ないだろう)。

友達を危険に巻き込むのはあまりにも申し訳ない。

そう考えていた矢先に、

「ユナマリア様のご友人に助けを求めるのはいかがでしょうか」とランティエ。

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