10歳--8
「ユミカちゃん・・・って、長いからユミカって呼んでいい?」
ずっと頭の中とかお腹の中とかがイライラモヤモヤしてて、どうしようもなくて、何も考えずに言葉が出た。
ユミカちゃんはびっくりしたのか目を丸くして、またあの笑った顔で言った。
「ダメ」
「なんで?」
「ユミなら良いけど、ユミカはダメ」
「なんで?」
「ユミカって呼んでくれる人は特別だから」
意味がわかんない!
「俺のこともタダタカって呼んで良いから!」
「えぇ?別に・・・」
なんでだよ!
「じゃあ、じゃあ!カイに毎日会わせてあげる!毎日散歩一緒にしよう!」
「えっ?」
ここだ!カイだ!カイも頑張って!
「カイもまだ知らない場所だから怖いよな〜、ユミカが一緒なら迷子にならなくて良いよな〜。ユミカにお水もらえて嬉しかったろ?」
カイ様お願い!!とカイに話しかけたらわかってんのかわかってないのか、カイもワン!って鳴いてユミカの顔を舐めた。
「ほら!カイもユミカと散歩したいって!決まり!俺はユミカの事ユミカって呼ぶし、ユミカは俺の事タダタカって呼ぶ!んで、毎日カイの散歩に行く!もぅ決まり!!」
強く言い切って、押し切ってやった。
でも急に心配になって恐る恐るユミカの顔を見ると・・・
「もぅ呼んでるじゃん、も〜・・・」
困ったような、呆れたような、また見た事ない顔で俺を見てた。
「良いよ、しょうがないから。特別じゃないけど、タダタカはユミカって呼んで良いよ」
「え!?ユミカって呼んだら特別なんじゃないの!?」
「違うよ。タダタカはユミカって呼んでも特別じゃない。嫌ならユミって呼んで」
「それは嫌だ!」
結局どっちも譲らなくて、帰らなきゃいけないしって強引に納得した結果が
『タダタカはユミカの特別じゃないけど、ユミカの特例でユミカって呼んでいい人』
ってことになった。特別と特例の違いってなんなの?
でもでも、俺はこれからユミカをユミカって呼べる人になった!
だいぶウキウキで家への帰り道をカイとユミカと歩いた。
イライラもモヤモヤも無くなって、楽しい散歩だったと思う!




