携帯と冬休み
まだスマホではなく、携帯電話の時代です。
ご了承下さい。
もうすぐ3年生になるからってことで、ユミカがユタくんから携帯電話を買ってもらった。
もちろん俺も!と親に交渉して無事に買ってもらって、番号とメールを交換する。これでいつでも連絡が取れて嬉しい限りだ。
久しぶりに松崎の家に来て、ユミカとユタくんと過ごしているそんな日。
「あのねタダタカぁ。携帯買ってもらったのを、お父さんお母さんに教えるのに電話したら『新しい家買ったから冬休みにタカ君と泊まりにおいで』って言われたんだけどどうするぅ?」
あんまり乗り気じゃないのか、ほにゃほにゃして聞いてくるけど。
「待って。新しい家ってなに?」
「ん〜?」
答える気ないなぁこれ。
ユミカに聞くのは諦めて、ユタくんに目を向ける。
「姉ちゃん達が結婚してからユミが泊まりに来なくなったのが寂しくて、お父さんとお母さんがユミカのために新しく家買っちゃったんだよなぁ〜。そっちには姉ちゃん達の旦那は来させないから泊まりに来いってなぁ〜。いつまでも拗ねてないでちゃんと自分で言えよ」
ユタくんが苦笑いでユミカを突っついてる。
「拗ねてるわけじゃないけど、別にそこまでしなくたって・・・とは思ってる」
「心配もしてるけど、寂しいんだろうよ。おとなしくタカ連れて行けよ」
俺がいるのに珍しく1人でソファーに座ってるなと思ったら、そんなことがあったのか。
今もユタくんに髪の毛をちょっと触られて嫌がってる。
姉ちゃん達が結婚してから、ユミカは本当にキッパリとおじさんおばさんの家には行かなくなった。
電話はこまめにしているみたいだけど、会いには行ってない。
でも今は前のときと違って『行きたくない』って感じじゃないな。
「俺正月挟んで1週間は部活休みだけど、ユミカは?」
「私も同じだけど・・・」
「じゃあ久しぶりに一緒に泊まり行こう?」
「んぎゅぅ・・・」
なにその鳴き声。
「レイナおばちゃんと話してから決める・・・」
なんで母さん?いっとき離れてたけど、また母さんと話すようになったんだよな。
ただ前は母さんがユミカと話したがってたけど、今はユミカのほうが母さんと話したがる。
どうしたの?って聞いたら『アヤノちゃんに救われた感じかしら』って苦笑いしてた。
内容は教えてもらえなかったけど、またアヤノさんが無自覚で何かしたんだろうなとはわかった。
「うん、わかった。母さんにユミカが話ししたがってたよって伝えとくね」
「お願いねぇ」
そのほにゃほにゃやめなさい。
まぁユミカが悩んでるくらいだから行くよなとは思ってたので、母さんと話して『タダタカと泊まり行く!』って宣言されても『うん、はい』って感じだった。
それより何より『新しい家買った』っていうのが問題だと思うんだよ。
いくらユミカのためでもおかしくない?そういうもんなの?
会社とかやってると普通なの?
ユタくんも『俺も話は聞いてたけど、行くのは初めて〜』とか言って気にしてないけど。
戸惑う俺がおかしいのか?と家で聞いてみたけど、みんな『普通はないよ』って言ってた。
そうだよなぁ?
こんなかたちで、久しぶりにユミカとおじさんおばさんの新しい家に泊まりに行く。




