12歳--13
「そういえば、あの先輩なんなの?いつもあんな感じで絡まれてんの?」
「いつもじゃないんだけど、たまにあんな感じで困る。男子の部長でね、ずっと『高橋さん紹介して』って言ってくるの。無理ですって断ってるんだけど、アヤノちゃんに恩売るつもりなのか意味不明に優しく?ウザく?絡んでくる」
眉を寄せて不機嫌そうだ。
なんだあの先輩、アヤノさん目当てかよ。ユミカに頼ってる時点で希望ないだろ。
『アヤノちゃ〜ん、ウチの部長が優しくて〜この間部活上がりに心配して家まで送ってくれたの〜』
『ユミちーマジで〜?紹介して〜』
こうなると思ったのか?絶対にない、ありえない。漫才のコントにしかならない。
「めんどくさくて、アヤノちゃんに話したら『死ねって言っとけ』って。言えないよね・・・」
「それは言えないわ・・・」
そうだよな。この対応こそユミカとアヤノさんだ。
さて、どうするかな。今はアヤノさん目当てでも、あの態度はユミカにも多少気がありそうだった。
「まずは『アヤノちゃんは彼氏いるみたい』って言ってみるのは?」
「え?アヤノちゃん彼氏いるよ?」
「は?」
はぁ!?
「アヤノちゃんの彼氏さんは、ユタくんと一緒に仕事してる人。大きくてムキムキなの。アヤノちゃんのお父さんの会社に入った時に一目惚れして、ず〜っと押して押して付き合ってもらったんだって。ちょっとだけ彼氏さんの話してくれるけど、その時のアヤノちゃんは可愛いよ」
いたのか彼氏!!
「今度先輩にそれ言ってみて・・・」
「え?なんで?」
あのアヤノさんが一目惚れで押して押して付き合ってもらったデカくてムキムキ社会人の彼氏に中学生がかなうわけないだろ。
わかってないなぁこの顔は・・・
「それで、その話した時に『もう協力できないのでこれからは優しくしてもらう必要はありません』って言いな」
「わかったぁ」
ユミカも『私も彼氏いるんです』って言えたら楽なのにな。
この策がうまくいったのか、あの先輩はずいぶんおとなしくなったらしい。
それからも大会前はユミカに合わせられるときは2人で帰る楽しみを味わっている。
ちなみに俺はユミカに練習でカッコいいところを見せられてないし、大会の成績も毎回あんまりよくなかった。
しょうがない。部活の目的は体力作りでいい。
体育祭と文化祭は、なぜかアヤノさんがめちゃくちゃ張り切って参加してた。
「祭大好き!全力でやる!死ぬほど楽しむ!!」
大騒ぎでもぅ苦笑いしかなかった。
保護者も参加できるから、ユミカはユタくん、俺は父さん母さんが来た。
ユタくんが都合で来れないマユミさんの代わりに連れてきた大きくてムキムキの人に、アヤノさんが突撃してた。
この人がアヤノさんの彼氏か〜って見てたら、すごく丁寧に挨拶されて驚いたし、このおとなしそうな礼儀正しい人の彼女がアヤノさんなの!?って思ったのは内緒で。
何より思ったのが、俺とユミカの身長差もそこそこあるけどこの2人の差すごいなと。
彼氏さんの腕にぶら下がって遊んでたもん。
そのまま俺の父さん母さんに『アタシ、アヤノね。ユミちーのお世話してるの。よろしく!』って挨拶してた。父さん母さん呆然としてたよ。
ユタくんと彼氏さんは慌ててたけど、俺とユミカはアヤノさんらしすぎて爆笑しちゃった。




