12歳--11
あの大迷惑な騒動を終えて、続く穏やかな毎日。
カイのいない毎日にはまだ慣れないけど、大丈夫。
中学生活は行事もけっこう多くて、部活の試合に定期テストに体育祭、文化祭に宿泊学習とかがある。
毎回の定期テストと宿泊学習は退屈だったけど、他は割と楽しかった。
特に大きい試合が近くなった部活練習は密かな楽しみだ。
俺が入った部活はユミカの部とは違うから、基本部活中に会うことはない。
特に俺の部はもともと中学校から少し離れた武道館で練習していたらしく、中学校の敷地内で練習をしてるユミカを見たことは残念ながらなかった。
そんな、部活に入って最初の大きな試合の1週間前。
「明日、部活のときにタダタカがビックリすることあるかもね」
「え?なんで?」
「ないしょ〜」
とは言われてたけど。
『今回もこちらの練習場をお借りします』
『よろしくお願いします』
いつもは俺の部しか使ってない武道館に何人か入ってきた。
「は・・・?」
先生に連れられて10人くらい、男女それぞれ5人くらいが武道館の人に挨拶してるんだけど。
ユミカがいる。
俺に気がついて、ちょっと笑って他の人と歩いていった。
なんで?
慌てて先輩に聞いたら、ユミカの部はここら辺の中学でも強いほうらしくて大きい大会前は遅くまで練習できるように学校での練習が終わってから、この武道館の練習場を試合当日まで借りに来てるんだって。
ここの武道館あの練習場あったのか。入って手前にある自分の練習場しか知らなかった。
マジか、嬉しい。
しかも今まで興味もなくて全然気付かなかったけど、俺の練習場とユミカの向かった練習場は遠いけど全部ガラス張りで両方から見える。
あ、こっち見た。
これがビックリかぁ。本当に驚いた、しかも嬉しい。
準備が終わったのか、ユミカも練習を始めた。
見過ぎてたらしく、おれは先輩に背中を叩かれ急いで練習に参加する。
ユミカの部活姿初めて見れた・・・
真剣でキリッとしててかっこいぃ・・・
あ、いまの良かったのかな。笑ってる・・・
部活頑張ってるのかわいい・・・
「白沢!どこ見てる!」
「すいません!」
ダメだ!俺も練習しないと!
部活の時も『松崎』の顔してるな・・・
でもちゃんと輪には入れてるんだな・・・
なんだアイツ?ユミカに近寄ってくるなよ!
あぁ、うまく離れたな・・・
「白沢!!」
「すいません!!」
ユミカばっかり気になって、まったく集中できない!!!
もう本当にボロボロで俺の部活が終わる時間が来た。
「先輩、あっちの部って何時までやってるか知ってますか?」
「たぶんだけど、あと1時間くらいじゃないか?暗くなってるし」
帰り支度をしてる先輩に聞いたら壁にかかってる時計をチラッと見てから答えてくれた。
「俺もう少し練習したいんで、残ってもいいですか?」
「お前今日酷かったもんな。いいけど、帰りに武道館の人に声かけるの忘れないでくれよ」
「わかりました!」
よし!先輩に許可もらったし、時間合わせてユミカと帰ろう!
ユミカは徒歩通学だし、こんな遅い時間じゃ暗くて危ないからね。
1人になった自主練は、練習半分ユミカを見てるの半分で過ごした。




