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12歳--10

アヤノさんの一件で先生に少し話を聞かれてた俺が家に帰って来た。

ユミカの靴がある!


学校でユミカがやってたミサンガをつけた方の足の爪先をトントンってするのは『今日行くね』の意味だよって前に決めてたから、来るとは思ってたけどもういた!



「ユミカただいまぁ!!!」


リビングまで走ってソファーから立ち上がったユミカを抱き上げて、ぎゅうぎゅう抱きしめる。


「おかえり。ふふ、元気になった!アヤノちゃんに会えて良かったね」

「最初は公開処刑かと思ったよ・・・」


あはは!と笑って頭を撫でてくれるユミカも、最近見なかった笑顔だ。


「アヤノさんはユミカのためにやってくれたの?」


最近こっそりやってる、抱き上げたユミカの胸に顔を寄せる。あ〜癒される。



俺だけならアヤノさんはきっと何もしなかったろう。ユミカにも被害がいったから。


「それがね、アヤノちゃん怒っちゃっただけなの。タダタカは確かに人気だったんだけど、いつのまにか『誰が白沢を落とせるかゲーム』みたいになってて。アヤノちゃんならイチコロだから参加したら?って誰かに言われたのがすごくすごくムカついたらしくて・・・」


思ってたのと違った。


それに最悪なゲームに巻き込まれてた。

猛獣の狩りの標的にされてた。


「アヤノちゃんが学校来た時に呼ばれて『なんでアタシがユミちーの男に食いつかなきゃなんないの!?キモい男に食いつくほど不自由してねぇけど!マジでふざけてる!』ってプンプン怒ってたから、何かしちゃうかな〜とは思ってた」


う〜ん。アヤノさんの中で俺のキモさが薄れてくれない。

今日で少しは変わってもらえたろうか。無理か。


「あのあと、私はコソコソ言われるの無くなったけど、タダタカはどう?」


ユミカが俺の頬に両手をそえてジッと覗き込んでくる。


「さっきは帰り道の待ち伏せいなかった!最高!」


そのまま顔を少し動かしてキスする。ユミカが額にキスを返してくれる。

あぁ〜!癒される!!



このあとから、嘘みたいに静かになった。

何人かは変わらず関わってくるけど、それくらいなら適当に対応できるくらいだ。


好意ならカケラも受け取らない、興味なら無視。



「あ、ユミカ先輩!」

「タダタカ君、移動教室?」

「うん。ユミカ先輩は?」

「私これから体育なの・・・」

「ふふっ・・・。怪我しないようにな」

「笑わないでよ。ありがと、頑張るね」


ちょっと離れて、今日は俺が足をトントンした。

ユミカが笑ったのを見て背中を向けて歩き出す。


内緒の『今日行くね』


すっかり静かになったからこんなこともできる。

あぁ〜!!中学生活楽しい!!




そういえば、あの一件でアヤノさんは先生にめちゃくちゃ責められたらしい。

俺に対するイジメを疑われたとか。

俺が先に話してたから、怒られただけですんだって。

アヤノさんだから、怒って原因になったゲームの話も暴露したらしく、先生達も何か考えることがあったんだとか。


それと、周りが静かになったら男子がすごい絡んでくるようになった。

『頑張れよ』『気にすんなって』『ちょっと羨ましかったよ』

すごい慰められてる・・・こいつらも好きな子がいる中であのゲームの標的になってみたらいいのにって心の底から思って。


ナオにも話したら『俺の時より悪質かも』って震えてた。


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