12歳--7
人によっては不快な表現がありますので、ご注意下さい。
ユミカに会いに行きたいな。
機械でも人形でもなくなった、今の『俺のユミカ』を抱きしめてあげたい。
もう俺の中では『ハグ』なんて軽いものじゃない。
「話は全然終わってないのよ。タカがユミちゃんの『特別』になったとき、お母さん達は『他人にも目が向くようになった』『タカのことを言う特別は友達だろう』って少しずつ進んでるって思ってたの」
「そんなこと思ってたの?」
「そう。でもそのうちタカが『俺のユミカ』って何度も言ってるのに気がついて、ちょっと危ないなって見てた」
「なんで?ユミカは俺のだし、ユミカもそう言ってるよ?」
俺もユミカのだしね。
「タカとユミちゃんがお互いを『特別』、『タダタカのユミカ』、『ユミカのタダタカ』って当たり前に言ってて、お父さんとユタカ君は微笑ましく見てたけどお母さんは不安だった」
「なんで?」
「タカはユミちゃんをどう思ってる?」
「好き。気がついたのは今日だけど、ずっと好きだったんだと思う」
「ユミちゃんはタカのことが好きじゃなくても?」
う〜ん。母さんの言いたいことはわかるんだけど。
「俺がユミカを好きなようにユミカがおれを好きじゃなくても関係ないよ。ユミカには俺が必要で、俺はユミカに好きになってなんて思ってない」
「それはタカがユミちゃんをそうしたからでしょう?」
「何が言いたいの?」
「ユタカ君の妹達が結婚して、ユミちゃんが大きく調子を崩した時あったわよね?あの時お母さんが頼んだこと、ちゃんと聞いてなかったわよね?」
ちゃんと聞いてはいた。やらなかっただけで。
「その顔・・・あの時は、荒療治になっちゃうけど『特別』を広げてあげたかったの。直接な言い方をしちゃえば、家族なんていなくても生きていけるって。自分でも家族は作れるものだからって」
「ぶっ壊れてたよ、あの時のユミカ」
「そこは・・・信頼されてるタカならって、ダメね、言い訳ね」
母さんがガックリと頭を落とすけど、また顔を上げる。
「だからって、タカがやったことはダメでしょう?『俺のユミカ』って言ったでしょ?」
「言った。そのほうが早く戻ってくるし、本当のことだし」
「悪いと思ってない・・・あのね、立ってた足元が崩れてグラグラしている時に寄りかかっていいよ、足元はこうだよって言われたらどうなると思う?」
「そうする」
「タカがユミちゃんにやったのはそういうことよ」
うん。あの時はわからずやったけど、今でも迷わずに同じことをする。
「何がダメなの?あのあとだってユミカが落ち着いたって母さんだってユタくんだって喜んでたでしょ?」
「そういうことじゃなくて、ユミちゃんの中でタカが大き過ぎるのが問題だって言ってるの」
「だから、それのなにが問題なの?ユミカは俺ので、俺はユミカの。大き過ぎるなんて当たり前じゃないの?俺の中だってユミカが一番でかいよ」
ため息ついちゃった。
「・・・あなた達がずっと一緒にいれるわけじゃないでしょう?タカはいいわよ、ユミちゃんが一番大きいだけで他にもあるんだから。でも今ユミちゃんはタカしかないのよ?これから大人になっていくのに、何があっても一緒なんてできるわけないでしょう?」
たしかに。将来一緒にいるとしても、学生の今は離れることもあるな。ナオとナオの彼女みたいに違う高校に行ったりとか。
「そうだね。じゃあこれからどうすればいい?」




