12歳--4
「ただいま〜。このままユミカとカイの散歩行く・・・」
「2人とも!ちょっと家入りなさい」
ユミカを連れて俺の家に帰ってきたら、母さんが玄関に走ってきた。
「なに・・・」
「ユミちゃん、ちょっとお話ししましょ?」
「え?うん」
ユミカが母さんに連れて行かれたから、しょうがなくあとをついてく。
ウチのリビングに父さんとユタくんが座ってて、ユミカと並んで前に座る。
母さんが俺たちに飲み物を出してくれて、母さんも座る。
「昨日タカからちょっと聞いたし、ユタカからも聞いたんだけど、2人とも彼氏と彼女ができたんだって?」
「「うん」」
「それで聞きたいことがあるんだけど」
あぁ、今はこれから何言われるのかわかるなぁ。
「2人とも、相手のことが好きかい?」
やっぱり。
俺はわかったけど、ユミカはわかんないだろうな。
「好き?」
「俺はよくかんがえたら好きじゃなかったから、次に会ったら『ごめんね』ってあやまって別れるよ」
「え?なんで?」
オロオロするユミカ。俺はこれで終わるけど、ユミカはどうかな。
「ユミ、彼氏に『好き』って思ったことあるか?」
「好き?ないよ。好きってなに?」
「ん〜・・・難しいな。一緒にいたいなとか手繋ぎたいなとか会いたいなとかか?」
「ない」
「だよな・・・」
ガックリと頭を落とすユタくん。
無理だよ。
ユミカはたぶん『好き』がわからない。
『特別』かそうじゃないかしかない。
でもその『特別』も、きっと『好き』じゃない。
前はアッチの家だけが『特別』でたくさんあったけど、今は『特別の中の特別』ができてる。
俺だ。たぶん俺がユミカをそうした。
でも『特別の中の特別な俺』も、きっとユミカは『好き』じゃない。
わからないから。
「あのねユミちゃん、普通は両方好きになってからお付き合い・・・彼氏彼女になるのよ」
「そうなの?友達そんなこと言ってなかった。じゃあタダタカは彼女のこと好きになったの?」
「ううん。全然、だから別れる」
「じゃあ私も別れる!」
みんなが苦笑いしてる。ユミカがわかってないってわかってる。
「どうしたもんか・・・」
ユタくんがまた頭抱えてる。今日ずっとそれだね。
「ユミちゃん、タカのことはどう思ってる?」
「『特別』だよ?」
「それは『好き』とは違うのかな?」
「だから『好き』ってどういうこと?」
父さんも頭押さえてる。
「ユミちゃんはタカから『彼女できた』って聞いたとき、どんな気持ちだった?」
「『タカくんの彼女になりたい』って言ったっていうから、好きにすれば?って思った」
「タカを取られちゃうとか考えなかった?」
「なんでタダタカが取られるの?『タカくんの彼女になりたい』んでしょ?」
「え・・・?」
「じゃ、じゃあ、ユミちゃんが『彼氏になりたい』って言われたときは?友達が言ってたとか、ちょうどいいとかじゃなく、どう思った?」
「ん〜、『松崎の彼氏になりたい』って言うから、好きにすれば?って思った」
「・・・彼氏に、タカにもう会っちゃダメって言われたら、ユミちゃんはどうする?」
「?どうもしないよ。ユミカはタダタカのだもん。タダタカもユミカのだから『タカくん』は好きにすればいいって思ったんだよ」
とうとう母さんも黙った。
「なに?わかんない。なんで?みんな怒ってるの?私変なの?」
「怒ってないよ、ユミカも変じゃない。遅くなっちゃったけど、少しだけカイの散歩行こう」
ユミカを手を引いて部屋から出る。
ドアを閉めるときに母さんと目が合った。




