12歳--3
「行っちゃったね。ユタくんもおとうさんだからショックだったんだぁ」
「ユミカも姉貴みたいにからかってみれば?」
2人でクスクス笑った。
「あ!そうだ!ちょうどユタくんいないし、タダタカにキスしちゃおう!」
は?
「きす?」
「うん!」
きすってキス?
「なんで急に?俺にキスするの?」
「そう!彼氏がいる友達が『バレンタインは彼氏にチョコ渡して、特別にキスしてあげるの!』って言ってたから!彼氏にチョコは渡したから、あとは『特別』にキスする!ユミカの『特別』はタダタカだから、タダタカにキスしてあげないと!」
なるほど。
「わかった。でも俺キスしたことないよ?」
「私もない!最初はファーストキスって言うんだよ?おそろいだね!」
最初のキスもおそろい。いいな。
「じゃあ、特別の俺にキスして」
「よし!いくよ!」
目が合ったままユミカの顔が近付いてくる。しかも早い。
ーーガチーー
「「いたい・・・」」
いくら俺が初めてでもわかる。ちがう、これは違う。ナオが言ってたのも姉貴が言ってたのも、テレビで見たのもコレじゃない。
「えぇ・・・キスって痛い・・・やだぁ」
口を押さえてユミカが泣きそうになってる。俺も痛くて泣きそう。
「たぶんもっとゆっくり、ちゅってするんじゃないの?ユミカ早かったよ。あれじゃガチってなるよ」
「じゃあタダタカがやって!それで覚える!」
えぇえ?
「俺がやったら違わない?」
「違わない!ユミカはタダタカの『特別』なんだから、タダタカがやってもいいの!」
それはそうだけど。
う〜ん。でももう一回ユミカがやってもまたガチってなって痛いと思う。
「わかった。じゃあ俺からキスするから、目つぶって」
「やだ!覚えるんだから見てる!」
テレビでは目つぶってたんだけどなぁ。
「も〜。じゃあするからおとなしくしてて」
「わかった!いいよ!」
目あってるな。ユミカと違ってゆっくりゆっくり。すごい見てるな。もうちょっとでくっつく。
ーーちゅーー
良かった、できた。
「どう?ちゃんとキスできた?」
ちょっとだけ口を離して聞いてみる。
「なんかすごい・・・うん、できた!もう一回!」
「いいけど、今度は目つぶってよぉ」
見るのは満足したのか、今度はちゃんと目をつぶってくれたからちょっと離してた口を近づけてキスしてあげる。
「はい。これでバレンタインデーに『特別』にキスできたね」
「タダタカのキスは、ホワッて嬉しくなるからすごい!ハグも嬉しいけど、キスはもっとすごい!」
ユミカに喜んでもらえて嬉しいけど、だんだん恥ずかしくなってきた。
え、どうしよう。俺今めちゃくちゃ恥ずかしい。
ちょっとまって、あんまりキスキス言わないで。
「顔真っ赤!!!」
「うるさい」
急に気がついた。
俺、ユミカと、キスした。
俺も、ユミカも、初めての。
俺もユミカも『特別』だから?
違う。ユミカの『特別』はそうかもしれないけど、俺は。
「大丈夫!?すごい真っ赤!!」
「ちょっとだまっててよ」
もう、うるさいからハグして顔を見れないようにした。
この後ユミカからのキスをまたやってみたんだけど、何回やっても目をつぶってるからなのか俺のほっぺたにキスしてくる。
「ユミカはキスがヘタだね。全部ほっぺたじゃん」
「いいもん!私のキスはほっぺた!ちゃんと口のキスはタダタカがするもん!」
それでいいの?俺はいいけど。
「あ!友達が『キスしても秘密にするんだよ』って言ってたから、タダタカもちゃんと秘密にしてね」
「わかった」
それから遊んだり、キスで2人とも疲れたのかソファーで昼寝とかしてたけどユタくんは夕方まで帰ってこなかった。
逆に俺たちがカイの散歩があるから俺の家に向かう。




