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ミサンガ

俺とユミカの足首にはお揃いのミサンガが2本むすんである。

キレイなやつと、へたくそなやつの2本。

靴下を履いたら隠れるように足首に。




俺たちの誕生日がもうすぐの日。

去年と違って今年の誕生日は別々だから、なにか誕生日プレゼントをあげたかった。


「ユミカはなにか欲しいものないの?」

「欲しいもの〜?私だけの家族!」

「違うよ、誕生日!」

「あ、誕生日?そっか、もうすぐタダタカの誕生日だ!」

「ユミカもだろ」


松崎の家で、ユミカと2人でソファーに並んで座ってゲームで遊んでる。


「お年玉とか残ってるから、なにかプレゼントあげるよ」

「いらな〜い」

「ちゃんと考えろよ」

「欲しいものないもん」


こっちを見ないし、考える気もなさそうなユミカにイライラする。


「ユミカ、ちゃんと俺を見て、欲しいもの考えて」


ユミカの顔を両手で挟んで俺の方を向かせた。


「欲しいものない」

「ちゃんと考えて」

「ない」

「ユミカ」


俺の両手にユミカが手を重ねてジッと見てくる。


「いらないの、な〜んにも。欲しくないの」


こういうときのユミカはめんどくさい。

俺の言うことすら絶対に聞いてくれない。


「俺はプレゼントあげたいのに」


ため息ついて、部屋の中をあっちこっち見る。


「あ、ゴローがミサンガつけてる。ユミカが作ったやつ?」

「そう。ゴローはおしゃれだから、つけてあげた」


ゴローはちょっと大きめな黒いクマのぬいぐるみで、去年俺の父さん母さんから誕生日にもらったプレゼントだ。

いつもはユミカのベッドにいて、松崎にユミカだけのときは部屋から持ってきて近くに置いてる。


ユミカはいろいろ作るのが好きで、ビーズとか編み物とかしてて、しかもうまい。

このミサンガも前に見せてもらったことがある。


「ねぇ、俺もユミカが作ったミサンガ欲しい。誕生日プレゼントに作って」

「ミサンガ欲しいの?いいよ?なにいろ?どういうのがいい?」

「それは全部ユミカが決めて。それで俺にミサンガの作りかた教えて」

「え?どうしたの?」


いいこと考えたんだ。


「ユミカの誕生日までに、ユミカが俺のためにミサンガ2個作って、作りかた教えてもらって俺がユミカのためにミサンガ2個作るから、2人の誕生日プレゼントに欲しい」

「2個つけるの?じゃあ違うのにしたほうがいいね!」

「ちがう、おなじのを2個作って。2個つけるけど、1個はユミカの、1個は俺のをおそろいでつけるの」

「!!おそろいのプレゼント!!」


嬉しそうに大きい声を出したユミカが、急にしょんぼりする。


「中学校は校則でアクセサリーつけられないから、おそろいできない・・・」

「足は?靴下で隠れない?」

「!!隠れる!!誕生日プレゼントがタダタカとおそろいのミサンガ嬉しい!」



どれだけ嬉しかったのか、次の日にユミカは『おそろいのミサンガできたよ〜』と笑った。

逆に俺がなかなかミサンガの作りかたを覚えられなくて、1番簡単なやつを教えてもらってなんとか2個作れた。


ユミカの誕生日、松崎にプレゼントのおそろいのミサンガを持って行った。


『見せるのは誕生日ね!』ってユミカが言うから、紐をもらって家で作ってたミサンガは、まぁヘタだなぁ。

ゴローがつけてたミサンガはちゃんとしてたなって思うけど、しょうがない。


「「はい!」」


見せあったミサンガは、ユミカの作ったほうは模様とかも入っててすごかった。かっこいい。

俺のほうは・・・色はいいんじゃないかな、ってくらい。


「1つは交換でしょ!?はやくタダタカのちょうだい!」


もう、ユミカがすごい嬉しそうでにっこにこで、困る。すごいうるさい。わかったから。


「足だして。ユミカのも1個ちょうだい。つけてあげる」

「はい!絶対取れないように縛ってね!タダタカの分は私がつけてあげるからね!」

「あたりまえでしょ。はい、できた。俺のも絶対取れないように縛ってね」


ユミカは自分の足を見て喜んでばっかりで、俺の分がなかなかつけてもらえなかったけど、やっとおそろいのミサンガが2人の足首に縛られた。


「えぇ〜・・・嬉しいぃ。タダタカ、すごい誕生日プレゼントありがとう!」


ハグしてきたユミカは、嬉しくてバタバタ暴れてて、前髪が!また俺の鼻を!くしゃみ出るって!


「はいはい。ユミカ、誕生日おめでとう」

「いや。いつもので言って」


今日のユミカは勝手だな。


「俺のユミカ、誕生日おめでとう」

「タダタカも、1日早いけど誕生日おめでとう!」


すごくすごく、ものすごく嬉しそうにユミカが笑うから。


ぎゅうううぅう〜


「ぐえぇっ!だから!馬鹿力!」


ハグに力入りすぎちゃった。




こんなことがあって、俺とユミカの足首にはユミカが作ったキレイなやつと俺の作ったヘッタクソなミサンガがおそろいで縛ってあるんだ。


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