11歳--3
ユミカが中学1年生、俺が小学校6年生になって。
やっぱり同じ学校じゃないのは今までとは違って、ユミカが部活に入ったからカイの散歩は土曜日日曜日と、学校が休みの日だけになった。
俺のウチに泊まりにくるのは変わらないけど、寝る部屋が俺の部屋から姉貴か母さんの部屋になった。
ぎゅーをハグって言うようになった。
ユミカが俺の前でも自分のことを『わたし』って言うようになった。
最初はイイコなのかとびっくりしたけど『中学生だからね、ちゃんとタダタカのユミカのままだよ』って言われて安心した。
ナオが学校のユミカをときどき教えてくれる。
「何人かでいるところはよく見るけど、ほとんど違う人かな。俺が声かけても『先輩、こんにちは』って挨拶してちょっと話しておわり」
「ナオくんって呼ばれないの?」
「学校では呼ばれたことないね。学校のユミちゃんは家とは別人みたいだよ」
「ふ〜ん」
ユミカは学校でイイコしてるのかな。疲れないかな。
心配になって、久しぶりのカイの散歩のときに聞いてみた。
「ユミカは学校でイイコしてんの?」
「イイコにはしてないけど、ユミカは誰もいらないから、そういうふうにしてる」
「ナオもいらないの?」
「あぁ、ナオくんを『先輩』って言うから?違う違う。学校入ってから教えてもらったんだけどナオくんすごく人気あるらしくてさ、仲良いってバレるとめんどくさそうで」
「ナオ人気なの!?」
「人気人気!ナオくんに話しかけられた後とか『知り合いなの!?』っていろんな子に聞かれてめんどくさい」
えぇ〜?ナオがぁ?
「勝手に『アタシたち友達!』とか言ってくる子もいて、すんごいうざったいからへらへら笑ってごまかしてる」
「あ〜、だからか」
「なんで?」
「ナオが、学校のユミカが俺のウチにいるときと別人みたいって言ってたから」
なるほど。『ユミカは誰もいらない』から、ユミカじゃないのか。
「俺が来年入ったら?」
「う〜ん・・・タダタカも人気出るかもね」
「えぇ、やだな。そうなったらユミカはどうするの?」
「どうしようかなぁ?ナオくんにするみたいにはできない気がするな」
そう言ったユミカが泣きそうだったから、手を握ってあげたら笑った。
大丈夫だよ。俺たちはどっちも『特別』だし、ユミカは俺のユミカだから。




