11歳--2
さっきのナオにイライライライラしながらクッキーをかじる。
あ、おいしい。この食べててゴリゴリしてるのがなんか好き。ナッツもいっぱい入ってて好き。
「美味しい?ちゃんとできてる?」
「うん。ユミカのクッキーは特別に美味しい」
「ユミカだけじゃなくて、ユミカのクッキーもタダタカの特別?」
「クッキーだけじゃないよ。ユミカの全部が俺の特別なの」
「中学生になっても?」
「それは勝手にユミカが中学生になっちゃうんじゃん。中学生になっても、ずっとだよ」
「そっかぁ。ユミカだってタダタカも特別だよ、ずっと。だから早く中学生になってね、待ってる」
「1年だからすぐだよ」
勝手に先に中学生になるし、俺はユミカ『だけ』特別なのにユミカは俺『も』特別なんだ。
「ユミカ、俺泣きそうかも」
「え?大丈夫?学校で嫌なことあったの?ぎゅーしよ、ぎゅー!」
学校で嫌なことなんか無かったけど、泣きそうなのは本当。
俺のいない中学校でユミカがナオと話すみたいにいっぱいの人と話して、そのほかの人に『も』特別って言ったらどうしようとか、ほかの人が『ユミカ』って呼んでたらどうしようとか頭がグルグルするんだ。
「ユミカはずっと俺のユミカでしょ?」
ぎゅーに力を入れながら聞いてみた。
「そうだよ?約束したもん」
さらに力を入れてぎゅーがかえってきた。
そっか。中学生になってもユミカは俺のユミカだ。
それならいいや。
「1年くらいすぐだよ。すぐ俺も中学生になる。ナオがいるから、俺がいないときにどうしても困ったらナオに言えばいいよ」
いつも意地悪するんだから、お願いすればそれくらいはやってくれる。




