10歳--12
『特別』になったからって、俺たちの毎日は変わんない。
朝は一緒に学校行って、帰りはバラバラだったり一緒だったり。
それでもカイの散歩は一緒に行く、たまにうた歌いながら歩いてる。
お互いの家に遊びに行く。
悲しくなったらぎゅーする。
お互いの家に泊まりにいく。
あ、変わったこともちょっとある。
マユミさんとマリカちゃんがいない時は俺が松崎の家に泊まるんだけど、俺とユタくんがふざけて遊んでるとユミカがちょっと文句を言うようになった。
顔はイイコの変な顔だけど、イイコの返事ばっかりじゃなくなった。
そんな時ユタくんはなんでか嬉しそうに俺の頭を撫でるんだ。
逆に俺の家にユミカが泊まる時は俺の部屋にいる時だけ俺のユミカで、他ではすごくイイコしてるから早くぎゅーしないと泣いちゃうんじゃないかってハラハラする。
ユミカだけ寝る前に母さんの部屋に少し行ってから俺の部屋で寝るんだけど、戻ってきたユミカの顔がイイコじゃないけど俺のユミカでもなくて、わかんないからぎゅーして手繋いで寝た。
あとで『ユミカが嫌がることしてない?』って母さんに聞いてみたんだけど。
「してないわ。ただ・・・タカはすごいなぁって、お母さん驚いてるの。ユミちゃんはとっても優しい良い子だもんね」
「ユミカは優しくなくてもいいし、イイコじゃダメなんだよ」
「・・・そうね。お母さんもタカを見習うわ」
そう言って俺の頭を撫でた。
たぶん母さんはわかってないんだな。
カイの散歩の途中で『次に泊まりにきた時はさぁ、母さんの部屋嫌なら行かなくていいよ』って言った。
ユミカは『ほんと?じゃあいかない』そう言うと思ったのに。
「ん〜・・・。嫌ではないんだけど・・・」
「でも楽しくないんでしょ?」
「楽しくは・・・ないけど・・・」
あ、母さんの部屋から戻ってきた顔してる!
でも外だ!ユタくんと父さんから外でぎゅーはダメって言われたから、手を繋いでギュ!握る!
「あ・・・ありがと。うん、楽しくはないんだけど、ユミカもタダタカみたいになりたいから」
「俺になってどうすんの?」
「タダタカになりたいんじゃないよ、バカじゃん」
「なんだよそれ!ユミカだってユミカだろ!」
ユミカの手を離して先に行っちゃおう。
ちょっと走ってきたユミカが俺の手を繋いだ。
「レイナおばちゃんも、カツおじちゃんも、レミちゃんも、ナオくんもみんな優しいよ。タダタカのおウチはみんな優しい」
「優しくねぇよ」
「それはタダタカが怒られることするからでしょ?でもね、ほんとに優しいの。だからどうすればいいのかわかんなくなっちゃうのかも」
むずかしくて全然わかんない。ユミカもわかってないと思う。
「ふぅん。でも嫌になったらすぐやめればいいよ」
「そうだね、ありがと」
これが『特別』になっても変わらない俺たちの毎日。




