10歳--夏休み7
「ユミカ、俺もユミカの特別にして?」
ぐちゃぐちゃな顔を上げて俺を見てくるユミカは首をこてんってした。
「なんで?」
「なんでじゃないよ。良いよって言って」
「タダタカもユミカの特別になるの?」
「うん、なる。だから良いよって言って」
涙は止まったけど、わかんない顔してる。
「ユミカの特別はここよ?」
「俺も今ここにいるよ?」
「タダタカはお家に帰るでしょ?」
「でも俺も特別にすれば、俺と一緒ならあっちでもユミカはユミカだよ?」
びっくりしたみたいに目がまんまるになった。
「あっちのユミカと、ここのユミカと、俺といる俺のユミカになればいいじゃん!」
自分で言ってて『俺のユミカ』っていうのが、すごく一番良いと思った。
だって、俺と一緒にいる時のユミカはあっちでもここでも見ないユミカだから。
きっと俺しか知らないユミカだから。
「う〜ん・・・」
悩んでる!
「俺のユミカになったら、あっちでもここの話できるし、俺といる時はイイコを頑張らなくて良いんだよ!ユミカはユミカだもん!」
だから早く『良いよ』って言って!!
「あっちでも・・・ずっと『ユミカ』って呼んでくれる?」
「うん!」
「悲しくなったらタダタカが来てくれる?」
「いいよ!」
「また今みたいに・・・泣いちゃったら?」
泣いちゃったら?あっちで?今みたいに?
「はい!」
おれは両手をバッて広げた。
「ぎゅーするよ!ここはみんなユミカが泣いたらぎゅーするから!あっちでは俺がぎゅーする!」
はいはい!って両手をバタバタする。
「それで、俺が泣いたらその時はユミカがぎゅーする!」
「タダタカが泣いちゃったらユミカがぎゅーするの?」
「そうだよ!ユミカは俺ので、俺はユミカのだから!」
「なぁにそれぇ」
泣きそうな顔で笑ったユミカが、俺にぎゅーしてきた。
よし!
「これはユミカが泣いてるからのぎゅー」
「うん。今度タダタカが泣いちゃったらユミカがぎゅーするからね」
「約束ね!」
「うん」
「俺もユミカの特別!」
「いいよ、タダタカも特別」
やった!おれも特別になった!!




