10歳--10
「いつまでもお邪魔してたら申し訳ねぇし、ほらユミ帰るぞ」
「はい、おとうさん。ではお邪魔しました」
サンダルを履くユタカさんと、母さんに頭を下げるユミカ。
「ユミカ!明日もカイの散歩だから、夕方!夕方俺んち来る!?それとも俺がユミカ迎えに行く!?」
さっきした約束を無かったことにさせないように、もう一度確認だ。
「どっちでも良いけど・・・ううん、私が来る」
「わかった!明日はリード2本にして、ユミカも持てばいいよ」
「それはカイ君次第だね」
俺がまだ1人で散歩出来なかった頃、父さんがそうしてくれたから良い案だと思ったんだけどな。
まぁ明日の散歩をユミカも忘れてないなら良いや。
「ユミカ・・・?」
俺たちの話を聞いてたユタカさんがすごい顔で俺を見ながらユミカの名前を小さく呟いた。
それが聞こえてるはずなのに、ユミカはいつもの笑った顔で反応しない。
いや、いつもの笑った顔より変な顔になってる。
え、なにこれ?
変な空気にオロオロしちゃいそう。
「あ、あぁ。ごめんな、悪酔いしたかもしれねぇ。ユミ帰ろう」
「はい。お邪魔しました」
2人が帰って、閉まった玄関ドアを見てた。
「母さん、俺なんかした?」
やっと玄関から母さんの方に顔を向けると、母さんは微妙な顔で俺の頭を撫でる。
「ユタカ君はお酒飲みすぎちゃったのかもしれないわね。お父さんと一緒に楽しそうに飲んでたから止めなかったのよ。それよりタカはユミちゃんと仲良くなったのね」
仲良く・・・は、なったのかな?
まだカイの方が仲良しかもしれない。
「仲良しかはわかんないけど、明日から俺が毎日カイの散歩行くから。ユミカも一緒って約束したから」
俺の話を聞いた母さんはさっきのユタカさんみたいに驚いた顔をしたけど、すぐに笑った。
「そう。じゃあお兄ちゃんとお父さんに散歩はタカが全部やるよって言わなくちゃね」
そうだ!本当なら明日は兄貴の当番だからちゃんと言っとかないと!




