第15話「重装の処刑者」
紅く脈打つ炉心核。
その不気味な輝きを胸部中央に宿し、重装砲撃型統治機兵――グラン・バルドは悠然と歩みを進めていた。
一歩。
また一歩。
踏みしめるたび、大地が鈍く震える。
分厚い茶褐色の装甲。
両肩に並ぶ巨大砲門。
背部には無数の補助砲塔。
まさに、動く要塞。
その姿には、以前戦ってきた統治機兵とは明確な“格の違い”があった。
操縦席の光板に赤い警告表示が走る。
――高出力反応、継続上昇。
――砲撃機構、展開確認。
アーク・ギガントの声が頭の奥へ響く。
――砲撃能力はこちらを遥かに上回っています。
――正面防御は非推奨。
「真正面から受けるなってことか……!」
ノアは脚に力を込める。
蒼き巨人もまた大地を踏みしめ、低く構えた。
次の瞬間。
グラン・バルドの両肩が展開する。
内部から現れた砲口が、紅く光を集束し始める。
「来る!」
閃光。
轟音。
放たれた紅蓮の砲撃が一直線に大地を薙いだ。
「今だ!」
横へ跳んで砲撃をかわした勢いのまま、アーク・ギガントはグラン・バルドの側面へ回り込む。
繰り出された拳が茶褐色の装甲を打ち据え、激しい金属音が響く。
だが、グラン・バルドは意にも介さない様子で向き直り、距離を取る。
再び、両肩に紅い燐光が集結する。
「くそっ……!」
アーク・ギガントが大きく横へ跳ぶと、直後に先ほどまで立っていた場所が爆ぜた。
土砂が空高く巻き上がり、爆風が周囲の魔獣も暴走機獣もまとめて吹き飛ばす。
門上から、衛兵たちの悲鳴が上がる。
「なんて威力だ……!」
「まともに受けたら終わりだぞ!」
ミリアも門の上で拳を握りしめていた。
「ノア……!」
ノアも冷や汗を流す。
「もし今のを街に撃たれたら……」
――被害予測:甚大。
――建造物および住民に深刻な被害が発生します。
十分すぎる答えだった。
絶対に、ここで止める。
ノアは踏み込む。
一気に距離を詰める。
接近戦なら勝機はある。
だが。
まるでそれを嘲笑うようにグラン・バルドの胸部装甲が開いた。
内部から伸びる、巨大な鋼杭。
「っ!?」
射出。
轟音とともに放たれた杭が、槍のように一直線に迫る。
ノアは盾を前へ。
激突。
凄まじい衝撃。
蒼き巨体が大きく押し戻される。
地面を削りながら後退。
「重い……!」
ただの砲撃機ではない。
近接戦にも対応している。
しかも分厚い装甲のせいで、拳撃も通りが浅い。
「どう攻めればいいんだ……!」
ノアは右腕の切断刃を展開し、斬撃を繰り出す。
重い衝撃音。
だが、装甲表面を傷つけるだけに終わった。
グラン・バルドの反撃。
再び至近距離からの零距離砲撃が放たれる。
爆炎が蒼き巨体を包んだ。
「ぐっ……!」
警告灯。
視界に赤が走る。
――左腕装甲、損耗。
――駆動骨格、一部歪曲。
アーク・ギガントの声が続く。
――被弾箇所解析、完了。
――戦闘継続、支障なし。
淡々としている。
だが、その冷静さが逆に頼もしい。
「まだだ……!」
ノアは立ち上がる。
だがグラン・バルドは、こちらを見ていなかった。
――抹殺対象の行動意図を予測。
――後方障害物の排除を遂行。
「……!」
ノアが息を呑む。
グラン・バルドの背部砲塔が一斉に展開。
紅い光点が今までよりも強い輝きを放っていく。
狙っている。
自分ではない。
その後方――フェルグラードだ。
「まずい!」
ノアが叫ぶ。
街を守っていることに気づかれたのか。
そちらを撃てば、狙わずとも自ら砲撃を受けに来ると。
合理的にして、あまりにも冷徹。
それが統治機兵の戦術だった。
なんとしても止めなければならない。
だが、どうやって――
ノアに決断の時間は、もう残されていなかった。
――第16話へつづく
※おことわり
本作品は、設定の整理や本文草稿の作成補助・推敲に生成AI(ChatGPT等)を使用しています。使用用途・範囲の詳細については、作品概要ページをご確認ください。




