仲良し三人組。
「あははははは! めっちゃ太ってる! あの貧相だったネモが、超ぽちゃぽちゃしてるーっ!」
「そ、そんなに笑わないでよ~! ユリシスも、キアラに言ってやってよ」
「ははっ、ごめん、俺も笑いが止まんない。
訃報を聞く前に会ったときと、全然違い過ぎて……
天国ってやっぱり美味しいものたくさんあるの?」
「ないよ。てかまだ自分の手料理頑張って作って食べてるからね?」
久しぶりに会ったのに、初っ端から笑われてしまい、相変わらずだなぁと苦笑する。
「はあ、やっと収まってきた……」
「キアラは産後太り全然ないね。うらやましい」
「育児が忙し過ぎて、太る暇もないわ」
そう言いながら、キアラが私のぷくぷくした身体のあちこちをツンツンと触れてくる。
「確かめなくて大丈夫だよ、見た目通り全部脂肪だよ……軍を辞めたら全部の筋肉がすっかりプニプニになっちゃったんだよ……。ユリシスも退役したら気を付けてね、あっという間だからね……」
「ご忠告ありがとう。実は、もう退役したから、本当食生活には気をつけないと」
さらっと言われたひと言に、衝撃が走る。
「「――、えっ!?」」
一拍置いて、キアラと同時に驚きの声を上げた。
「ネモの死を不審に思ってね。信頼できない機関に身を置きたくないなぁって。
今は街の自警団に入ってるよ。キアラの旦那さんのゲルドさんとも、そのうち関わることになるかもね。あそこはイベント部隊だから、街の行事によく駆り出されるし」
あまりにもあっさりとした態度のユリシスに、二人して感心するように言った。
「そうだったんだ……ユリシスはいつも潔いよね」
「魔法騎士科に転科したときも、すぐ決断してたもんね」
ユリシスは私たちから言われたことに、バツが悪そうな顔をする。
「――二つとも、少なからず、ネモがきっかけなんだよ。知ってた?」
「うぇ? 私?」
「うん。もちろん、別の理由もあるけどね。
……やっぱり俺は、ネモのことを心のどこかで引きずってたみたいだ」
突然の告白に、胸の前で両手を握り合わせる。
なんと言ったらいいか――ユリシスにかける言葉が見つからない。
「まあ、私は気付いてたけど」
キアラがやれやれと言った様子で苦笑を漏らす。
「私……ユリシスの人生狂わせちゃった、悪い女?」
「はは、そうかもね。でも、今日でようやく踏ん切りがついた気がするよ。
そんな幸せ太りの最高潮みたいな姿見せられたら、ね?」
「やめてよユリシス! せっかく笑いが収まったのに、なんて的確な表現するの!」
「もー二人とも人の体型笑わないでよ~! ぽっちゃりもかわいいでしょ!」
まるで学園時代の昼休み。
きっと、もう三人揃うことはないんだろうけど――夢の中だけでも笑い合えて良かった。
それでも、最後は言ってしまった。
「またね」
(おわり)




