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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第九章 利権編〜偶然出た癒やしの湯が、国家予算級の国際問題に発展ー!?〜

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第88話 え, パパが勇者!? 掘った温泉が国家の戦略資源に指定!? 趣味の穴掘りが伯爵様を動かす国際問題に発展した落差ー!?

村の入り口に、数騎の騎兵を従えた、磨き上げられた黒塗りの馬車が止まった。  

昨日までの商人の馬車とは違う。

それは「富」ではなく、「権力」の象徴だった。

馬車から降り立ったのは、鋭い知性を宿した瞳を持つ男、クラウス・ヴァルハイム伯爵。

彼は村の素朴な景色を一瞥いちべつし、塵ひとつ付いていない手袋を直しながら、集会所へと歩を進めた。

集会所には、再び村人たちが集められていた。

だが、昨日のような熱を帯びた議論はない。

部屋を支配しているのは、クラウス伯爵が放つ、氷のような静寂だった。


クラウス「突然の訪問を許してほしい」


穏やかな声。

村長が前に出る。


村長「王都の伯爵様が、こんな小さな村に」


クラウス「小さな村でも、価値ある場所はある。温泉という稀少な資源。それを、この無防備な村が抱え込もうとしているそうだな」


彼の声は低く、そして驚くほど明快だった。


マーレイ「伯爵様……。わしらはただ、先祖代々のこの静かな暮らしを……」


クラウス「『静かな暮らし』か。それは、他者が手を出さないという前提の上に成り立つ幻想だ。マーレイ村長、君はこの村に押し寄せる欲望から、村人を守り切る術を持っているのか?」


マーレイが言葉に詰まる。クラウス伯爵は容赦なく続けた。


クラウス「価値ある資源は、いずれ必ず奪われる。隣国、あるいは強欲な貴族。彼らが兵を差し向けた時、君たちは『静寂』を盾に戦うつもりか? 資源とは国家が管理してこそ、初めて安全に運用される。それが現実だ」


若者A「王都が守るなら……安全じゃないか?」


若者B「むしろチャンスかもしれない」


年配者たちは黙っている。

壁際でその様子を見守る神崎家。

亮は腕を組み、クラウス伯爵の言葉を静かに噛みしめていた。


あんな「守ってもらえるのは安心だけど……」


みゆ「守られるということは、管理されるということでもあります」


ベアトリス「王都の軍が入れば守りは強くなりますわ。でも……それは村の守りではなく、国家の守りになりますわ」


亮は黙って聞いている。

クラウス伯爵は神崎家を見る。


クラウス「あなた方が、例の旅人か」


亮「ただの温泉好きの家族ですよ」


クラウス「この温泉は奇跡ではない、資源だ」


村人たちが静かに息を飲む。


クラウス「村の自立は尊重する! だが問わせてほしい」


視線が村人に向く。


クラウス「守れるのか?」


短いが重い言葉。

誰もすぐには答えない。

リオは、拳を握りしめてクラウス伯爵を見つめていた。  

ルイスの提案は「金」だった。だが、クラウス伯爵の提案は「生存」だ。


リオ「……俺たちが、自分たちで守る力をつけると言ったら?」


クラウス「ほう。若者よ。では問おう。君は、自分の愛する者の命と、この古臭い村の景色の、どちらを先に差し出す覚悟がある?」


その問いは、リオの心の最も柔らかい部分を正確に射抜いた。  

亮は、苦しそうに視線を落とすリオの肩に、そっと手を置こうとして――止めた。

これは、彼が乗り越えなければならない壁だと感じたからだ。


亮「……守るって、本当に難しいねぇ」


亮の呟きは、重苦しい沈黙の中に溶けていった。  


クラウス「急がなくていいが、長くは待てないぞ。選ぶのは、あなた方だ」


彼が去った後の集会所には、ただ、冷たい風が通り抜けたような虚無感だけが残った。


夜。  

亮は、宿屋こもれびの窓から、遠くの街道を見つめていた。  

そこには、王都へと急ぐ、一羽の伝書鳥の影。

月は雲に隠れ、村の灯りはひとつ、またひとつと、迷いを抱えたまま消えていった。


こうして――  

圧倒的な「正論」という名の暴力が、村の絆を粉々に打ち砕こうとしていた。  

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、

ついに守るとは何かを問う時!? 村の決断はどうなる!?


「国家の管理か、村の自律か」――究極の選択を前に、亮パパが導き出した答えとは!? 圧倒的な「正論」を突きつける伯爵を前に、一人の若者が未来を掴み取るための大きな決断を下す!

「奪わない強さ」を胸に、村を守るための旅路が今、静かに始まる!


次回、第89話 え、パパが勇者!? 旅立つリオへ贈る家族の合言葉!? 娘たちと見送る『奪わない強さ』への第一歩ー!?

別れは悲しみじゃない。また笑って会うための、希望の門出だ!


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