第82話 え、パパが勇者!? 適当ダウジングで散歩してたら温泉湧いた!? 気がついたら群れの頂点・猿の王に就任してるー!?
ボス猿の依頼?を受けた亮。お猿さんの為にも温泉を作ることとなった。
亮「よーし! お猿さんの温泉作るぞー!」
亮は拳を突き上げると、アイテムボックスから取り出した二本の金属棒を左右の手に握り、うろうろと歩き出した。
あんな「……大丈夫なの?」
ベアトリス「さすがですわ! 何か秘術の匂いがいたしますわね」
もっふる「ピィー!」
亮が真剣な顔で歩き出すと、その後ろを何十匹もの猿たちが、期待に満ちた顔でぞろぞろとついて歩き始める。
あんな「……ダウジングって、村ではたまたま出ただけだよね?」
みゆ「……単なる偶然」
もっふる「ピィー!」
あんな「みゆ、地脈は調べられる?」
みゆ「やってみる」
一行は、かつて温泉が湧いていた岩風呂跡へ向かった。
みゆは静かに膝をつき、地面にそっと手を当てた。
みゆ「……鑑定」
淡い光が地面を走る。
みゆ「村に温泉が出たことで、こっちの地脈が弱くなっている」
あんな「そっか……私たちが原因になってたんだね」
みゆ「そう。お猿さんは悪くない」
ベアトリス「では、ここを掘ればいいのですわ!」
あんな「でも、村の温泉が枯れたりしない?」
みゆ「大丈夫。地下では繋がってるけど、バランスを保てるように調整できる」
あんな「よし、じゃあ……って、パパー!」
ふと見れば、亮を先頭にした猿たちの「大名行列」は、もはや森の向こうまで続かんばかりの長蛇の列になっていた。
あんな「……どうする?」
みゆ「任せて」
みゆは岩風呂の底に手を置いた。
静かに、岩が削れ、小さな穴が開いていく。
しばらくすると――
湯気がふわりと立ち上がり、温泉が少しずつ湧き始めた。
ちょうどその時、
亮を先頭にした猿の大名行列が到着した。
亮「おおー! 温泉だー!」
湧き出す湯を見た猿たちは
猿たち「キィー!」「ウキャー!!」
と、狂喜乱舞して一斉に騒ぎ出した。
その叫び声は幾重にも重なり、森全体が震えるほどの轟音となる。
亮「おー、そんなに嬉しいのかー! よかったなあ!」
あんな「……うるさーい! 耳が痛いよ!」
みゆ「……音響兵器レベル。鼓膜が限界」
ベアトリス「たまらないですわ!」
もっふる「ピィー!」
あまりの騒ぎに、神崎家一同は思わず耳を塞ぐ
その中で――
ボス猿が「ウホーー!!」と一際高く、力強い声を上げた。
すると、あんなに騒がしかった森が、嘘のように一瞬で静寂に包まれる。
ボス猿がゆっくりと亮に近づき――
そのまま亮を抱え上げた。
あんな&みゆ「パパーー!!」
ベアトリス「どうするつもりですの!?」
もっふる「ピィー!」
三人は臨戦態勢に入る。
亮「大丈夫だよー! 心配するな!」
ボス猿は亮を抱えたまま岩山の上へと登り、
自分が座っていた「ボスの席」に、亮をそっと降ろした。
亮「おおー、なんか眺めがいいぞー!」
あんな「……ねぇ、これってパパが新しいボスになったってこと?」
みゆ「新ボス、神崎亮。確定」
ベアトリス「さすがですわ!猿の王になられましたわ!」
もっふる「ピィー!」
ボス猿はさらに、ふもとに残ったあんなたちにも手を差し伸べた。
あんな「え? 私たちも?」
ボス猿はこくりと頷いた。
ベアトリス「では、遠慮なくですわ!」
ベアトリスが真っ先に飛び乗り、亮の隣に陣取る。
ベアトリス「おねーさま方、早くいらっしゃってですわ!」
あんな「……この流れ、断れないよね」
みゆ「……拒否権なし。座るしかない」
もっふる「ピィー!」
家族全員が岩山の上に揃うと、猿たちがどこからか山盛りの果物を運び込み、亮たちの前に並べ始めた。
亮「ありがとう! みんな仲良くできるのは良いことだよねー!」
あんな「まさか、ここでもこんな歓迎されるとは……」
みゆ「……予測不能」
ベアトリス「美味しいですわ!」
もっふる「ピィー♪」
こうして、猿たちから最高級の歓迎を受けることになった神崎家一行。
亮「いやー、みんな嬉しそうでよかったなぁ」
あんな「……なんか、すごい体験したね」
みゆ「……観測。パパの交渉力、規格外」
ベアトリス「パパは本当に偉大ですわ!」
もっふる「ピィー!」
宴がひと段落すると、亮は満足げに立ち上がった。
亮「よーし! そろそろ村に帰るかー!」
あんな&みゆ「賛成ー!」
ベアトリス「帰りますわ!」
もっふる「ピィー!」
ボス猿は名残惜しそうに、大きな手を振って見送ってくれた。
森の奥に、猿たちの歓声がいつまでも響いていた。
こうして――
亮の天然な行動が、村と森の間にあったわだかまりを完全に消し去った。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
村に平穏をもたらしたのだろうかーー。
村に平和が戻り、祝杯の嵐!? なんと、娘たちが裏で超高度な「水脈調整魔法」を駆使する中、パパは「ただの温泉好き」として宴会で大はしゃぎ!
「猿の王」として伝説になった亮の無自覚な振る舞いに、もはや否定するのを諦めたあんなの運命は!?
次回、 第84話 え、パパが勇者!? 裸の付き合いは種族を超える!? 猿と交わした最後の約束が、村に新たな名物を生むー!?
英雄か、王か、それともただの酔っ払いか!? パパの規格外すぎる「お風呂外交」が完結!?




