第307話 え、パパが勇者!? どこを見ても山しかない絶壁から一転!? 山を気合いで登るの!?
亮「真っ直ぐって言われてもなぁ……」
意気揚々と真っ直ぐ歩いていた神崎家であったが、その目の前には険しい山々が立ちはだかっていた。
見渡す限り、荒々しい岩肌とゴツゴツとした山ばかり。
通路も洞窟も、どこを見渡してもそれらしき入り口は見当たらない。
あんな「本当にこの先なの? 山しかないんだけど……」
あんなが不安そうに足元の地面に向かって問いかける。
ランドタートル「そうだ」
みゆ「ですが、視界内において物理的に進めそうな経路が見当たりません」
ベアトリス「見事に山に囲まれていますわ!」
神崎家は揃って遠くの山並みを見上げた。
亮「うーん……。真っ直ぐ進めってことは、この山を気合いで登るのか?」
あんな「山を登れとは一言も言ってなかったよ」
亮「そうだよな……」
亮は首をひねりながら、足元の地面や周囲の岩場をキョロキョロと見渡した。
亮「どこかに入り口でもあるのか?」
あんな「周りは岩と山しかないよ」
ベアトリス「わたくしがこの剣で、山を切り開いて見せますわ!」
もっふる「ピィー♪」
ランドタートル「なかなか勇ましいお嬢さんだ。まあ、そう慌てるでない」
その直後だった。
――ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
足元の岩盤全体が、地底からの地鳴りとともに激しく振動し始めた。
亮「うおっ! また地震かー!?」
あんな「違うよ。あそこを見て」
あんなが指差す盆地の一角で、巨大な岩肌が削れるような音を立てて動き始めていた。
そびえ立っていた巨岩が、まるで巨大な観音開きのように左右へゆっくりと分かれていく。
その奥に現れたのは、山の内部へと一直線に伸びる暗い通路だった。
みゆ「山の内部に人工的な通路を確認しました」
ベアトリス「こんなところに隠されていたのですわ!」
亮「おおおー! すごいぞ!」
亮は目を輝かせ、開いた通路を指差した。
亮「ランドタートルさん、これがこの先に続く道なのか?」
ランドタートル「そうだ。進むがよい」
亮「よーし! みんな、行くぞー!」
あんな「号令係復活だね」
みゆ「パパの活躍の場です」
ベアトリス「気合いが入りますわ!」
もっふる「ピィー!」
賑やかに言葉を交わしながら、神崎家は新たに現れた通路へと足を踏み入れた。
通路の内部は薄暗く、ひんやりとした冷気が肌を撫でる。
壁面には太古の地層と、長い年月を感じさせる削り跡がどこまでも続いていた。
亮「この先に何があるのかな」
あんな「なんか神秘的な通路だね」
みゆ「はい。ここまで通ってきた洞窟とは明らかに削り出しの精度が異なります」
あんな「どこに出るんだろう」
みゆ「これまでのデータから計算しますと、予測はつきます」
ベアトリス「流石ですわ、みゆお姉さま!」
みゆ「おそらくランドタートルの中心部に近い施設です」
もっふる「ピィー♪」
一行は足元を確かめながら、慎重に通路を進んでいった。
やがて長い暗闇の向こうから、淡い光が見え始める。
亮「お、出口が見えてきたぞ」
光に向かって足を早めると、一気に視界が弾けるように大きく開けた。
あんな「うわあ……!」
暗がりから一転、眩い光に包まれたその場所は、周囲を峻厳な岩山に囲まれた巨大な空洞空間だった。
そしてその中央には、悠久の時を越えて佇む、圧倒的なスケールの古代建造物が鎮座していた。
亮「おお……!」
あんな「ここが……目的地……?」
みゆ「年代の特定は困難ですが、極めて古く、堅牢な構造物ですね」
ベアトリス「とても厳かな空気を感じますわ」
言葉を失う神崎家の前で、その建造物は圧倒的な存在感を放ちながら、静かに彼らを迎え入れていた。
こうして――
導かれた巨大な空間に辿り着き、未知なる建造物を前に息を呑む神崎家。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
目の前の扉に向けて静かに一歩を踏み出して行くのだった。
広大な空間で突如あたたかく輝き始める謎の光……。
突きつけられた問いに答える娘たちの強い想いが、奇跡の光を呼び起こす。
家族の圧倒的な絆を前に、呑気なパパと娘たちが導き出す感動の瞬間を見逃すな。
次回、第308話 え、パパが勇者!? 神殿に眠る地環石が家族を認めた!? 家族の絆が奇跡の光!?




