第306話 え、パパが勇者!? 古代の亀に認められた資格とは!? 家族の絆で一歩を踏み出す!?
ランドタートル「お主らは……」
神崎家を包み込んでいた温かい光のような波動が収まると、地底から響く重厚な声が言葉を紡いだ。
ランドタートル「資格を得たようじゃな」
亮「資格?」
亮は不思議そうに首をひねる。
あんな「私たちが……ですか?」
みゆ「何の資格でしょうか?」
ベアトリス「資格を得た覚えはありませんわ!」
ベアトリスが首を傾げ、記憶をたどるように腕を組む。
ランドタートル「自分では気づいておらぬようだな」
亮「全然分からないぞ」
あんな「パパ、何か思い当たることある?」
あんなが横目で亮の顔をのぞき込んだ。
亮「ない!」
みゆ「即答です」
亮「だって資格なんて取った覚えないぞ」
ランドタートル「資格とは、試験を受けて得るものだけではない」
亮「じゃあ、どういうこと?」
ランドタートル「それを知る必要は、今はない」
亮「えー?」
亮が不満そうに声を漏らす。
あんな「教えてくれないんですか?」
あんなが眉をひそめ、声のする地底に向かって問いかけた。
ランドタートル「今はまだ、その時ではない」
みゆ「……なるほど」
亮「みゆ、分かったのか?」
みゆ「完全には分かりませんが、仮説はたてられます」
亮「そうなのか」
みゆ「ですが、ランドタートルがそう言うのであれば、何か意味があるのでしょう」
ランドタートル「そうじゃ」
地底の巨亀は、満足そうに頷くように小さく地響きを鳴らした。
ランドタートル「お主らには、行くべき場所がある」
亮「行くべき場所?」
ランドタートル「この先を進んだ場所だ」
あんな「この先というのは?」
ランドタートル「行けば分かる」
みゆ「この先に行けば分かると言うことですね」
亮「じゃあ、行ってみよう!」
亮はパンと手を叩き、晴れやかな顔で宣言した。
あんな「いつもの即決だね」
亮「だって、行けば分かるんだろ?」
みゆ「確かに、今ここで議論を重ねても有意なデータは得られません。現地での情報収集が最も合理的です」
ベアトリス「向かうのがよさそうですわ! どんな危険があろうと突き進みますわ!」
もっふる「ピィー♪」
もっふるがあんなの足元で、同調するようにぴょんと跳ね上がった。
亮「よし!」
亮は胸を張り、力強く腕を振り下ろす。
亮「では、行くぞー!」
ランドタートル「ならば……」
地底からの声が、神崎家の正面にある暗がりを指し示すように、低く響いた。
ランドタートル「ここから真っ直ぐ進め」
亮「真っ直ぐ?」
ランドタートル「そうだ。迷う心配もない」
亮「分かった」
あんな「また、真っ直ぐで良かったね」
みゆ「流石のパパも真っ直ぐな道は迷子にはなりようがありません」
あんなは覚悟を決めたように深呼吸をし、前方の暗闇を見据えた。
みゆ「この先ですね」
ベアトリス「では、向かいましょう」
亮「みんな、行くぞー!」
もっふる「ピィー!」
神崎家は、ランドタートルに告げられた通り、前方に向かって真っ直ぐ足を進めることにした。
あんな「ねえパパ。資格って、本当に心当たりないの?」
亮「うーん……さっきも言ったけど、運転免許と危険物くらいしか思い当たらないなぁ」
あんな「異世界の古代巨大亀が、そんな現代日本の資格のこと言ってるわけないよ」
みゆ「文脈的推測を行えば、パパの規格外の戦闘力や魔力特性、あるいは精神構造に何らかの適合基準が存在すると見るのが妥当です」
ベアトリス「パパの偉大さが、神話の存在にも認められたということですわ!」
亮「いやー、それほどでもないぞー」
あんな「それって褒められているのかなー?」
もっふる「ピィー♪」
資格とは何なのか。
なぜ自分たちが資格を得たのか。
その答えは、まだ分からない。
ただ一つ分かっているのは、この先にすべての鍵を握る何かが存在するということだった。
こうして――
突如として示された『資格』という謎を抱える。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
未知なる先に向かって静かに一歩を踏み出していくのだった。
行く手に見え渡る険しい山々と、絶壁に囲まれた前代未聞の完全な行き止まり。
山々に囲まれた絶壁の前で、まさかの「気合いの登山」を提案するパパ。
「家族を支える本当の力」に、神崎家が導き出す答えとは?
次回、第307話 え、パパが勇者!? どこを見ても山しかない絶壁から一転!? 山を気合いで登るの!?




