第305話 え、パパが勇者!? 山全体がまさかの……!? 圧倒的スケールの真実!?
ランドタートル「お主らは、何をしにここへ来た?」
地底から響く腹の底まで震わせるような低い声に、亮は小さく頷きながら答えた。
亮「この場所には通路を歩いていたら繋がっただけだぞ」
あんな「パパ、説明になってないと思うよ」
亮「そうか? 本当に通路を歩いていただけなんだぞー」
あんな「確かにそれはそうだけど……説明になってないよ」
みゆ「要約しすぎです。前提条件が完全に抜け落ちています」
あんなは事の成り行きをランドタートルに説明した。
あんな「そして、封印の扉が開いていて、その奥を調べていたらここに繋がっていたんです」
ランドタートル「封印された扉……」
ランドタートルの声が、さらに低く地殻を揺らすように響いた。
ランドタートル「そうか……」
亮「何か知ってるのか?」
ランドタートル「遠い昔、わしが眠りにつく頃に作られたものじゃな。わしの眠りを邪魔させぬよう、小さき者たちが施した施錠のようなものだったはずだ」
あんな「やっぱり、あの二人組が封印の扉を強引に破って、あなたを起こしちゃったんですね」
みゆ「仮説の正当性が裏付けられました」
あんな「……あ、そう言えば……」
あんなはふと立ち止まり、ハッとしたように目を丸くした。
そして、怪しむように足元の地面と周囲を取り囲む山々を見回す。
あんな「さっきランドタートルさん……『わしの頭の上で騒いでいる』って言わなかった!?」
亮「言ってたなー」
あんな「頭の上ってことは……私たちが今立ってるこの山って……」
あんなは呆然と、遠くの巨大な山並みを見上げた。
あんな「もしかして、山全体が……あなたの背中なの!?」
ランドタートル「左様。長い年月をかけて土が積み重なり、木々が生え、山となったのじゃ」
亮「へぇー! 山が亀さんの背中だったのかぁ!」
あんな「パパ、なんでそんな『へぇー』で済ませられるの!? これ山よ!? 街があるレベルの巨大な山なのよ!?」
ベアトリス「なんと……! わたくしたちは、古代の神話に登場するような、大いなる存在の背の上に立っていたのですわ……!」
もっふる「ピィー!?」
あんな「ほら、もっふるだって驚いてるよ! パパの反応が一番おかしいんだよ」
みゆ「……納得がいきました。通りで、先ほどから地形データと地盤振動の波形に妙なズレが生じていたわけです」
あんな「みゆ、それって……」
みゆ「ええ。単なる土砂や岩石の層ではなく、生命体の表皮や甲羅特有の振動波形だと仮定すれば、すべての矛盾が説明できます」
あんな「仮定とかじゃなくて、本当に山が亀なの……!? じゃあ……その山の中にあるドワーフ国って……」
ランドタートル「うむ。わしの甲羅の上で、息づいておる街じゃな」
あんな「やっぱりーーっ!? ドワーフ国全体が背中の上だったの!?」
亮「そっかー! ドワーフ国って、ランドタートルの背中にある山の中だったんだな! すごいなぁ!」
あんな「すごいで済む話じゃないでしょ!? 私たちが今まで買い物したり泊まったりしてた街全体が、巨大な生き物の背中の上だったなんて……!」
ベアトリス「ドワーフ国そのものが背の上に築かれていたとは……悠久の歴史を感じますわ!わたくし、今まさに伝説の神話の真上に立っておりますわ!」
もっふる「ピィー!??♪」
みゆ「冷静に分析すれば、ランドタートルが微小な呼吸をするだけで、都市部に震動がダイレクト伝播していた理由もこれで説明がつきます」
あんな「説明はつくけど! スケールが大きすぎて頭が追いつかないよ」
亮「でもさ、原因が分かってスッキリしたなー」
あんな「パパのその順応性の高さ、流石だよね……」
みゆ「パパの言う通り、地震の根本的な発生メカニズムは完全に判明しました」
ランドタートル「うむ。わしが起きているから揺れる。だが……」
地底からの重厚な声が、ふっと間を置いた。
亮「ん? だが?」
あんな「何か気になることでもあるんですか?」
ランドタートル「わしの眠りを強引に破ったあの者たちは、わしの背にある『ある場所』を目指しておったようなのだ」
みゆ「『ある場所』ですか?」
ベアトリス「一体どこへ向かったというのですの!?」
ランドタートル「……ふむ。それを教える前に、少し確かめさせてもらうぞ」
あんな「え? 確かめるって何を――」
地面の底から、暖かくも荘厳な波動がふわっと立ち上り、神崎家一同を優しく包み込んだ。
ランドタートル「なるほど……お主ら、なかなか面白いものを秘めておるな」
亮「いやーそれほどでも……」
あんな「褒められてるわけじゃないと思うけど……!?」
みゆ「どういうことでしょうか?」
もっふる「ピィー♪」
その巨大な存在の背には、ひとつの山がある。
そして、その山の中にはドワーフ国があった。
こうして――
地震の正体が巨大なランドタートルの覚醒だと判明した。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
新たな真相への扉を開こうとしていた。
ランドタートルから告げられた、謎すぎる「資格」の提示……。
呑気すぎるパパと頼もしい娘たちの絆で、新たな闇へと続く一本道を踏み出せ。
次回、第306話 え、パパが勇者!? 古代の亀に認められた資格とは!? 家族の絆で一歩を踏み出す!?




