第303話 え、パパが勇者!? すっかり忘れていた本来の目的!? 揺れる大地から未知の脅威!?
亮「思い出したー」
あんな「なに急に?」
亮「ドワーフ国に来た目的だよ」
みゆ「……地震が気になって来ました」
亮「そうそう、それだー」
亮は、今さらのように大きく頷いた。
あんな「ちょっとパパ、今さら思い出してドヤ顔されてもね。どれだけ経ってると思ってるの」
亮「なーんでこんな事になったんだ?」
あんな「今更なの?」
亮「調べに来ただけだったのになー」
みゆ「主にパパが原因です」
亮「えーー?」
みゆ「確率は100%です」
亮「100%!?」
あんな「間違いないよ」
みゆ「パパの特殊スキルのコンボのおかげです」
亮「おかげって、テレるなー」
あんな「褒めてないからね」
みゆ「褒めていません」
あんな「パパだよねー」
ベアトリス「さすがですわ!」
あんな「ベアトリス、そこで感心しちゃ駄目だよ。これただのトラブル引き寄せ体質だから!」
ベアトリス「ですがあんなお姉さま! どのような難局であっても正面から打ち破るお姿、真の勇者そのものでございますわ!」
あんな「まあ、最後はなんとかしちゃうんだけどさぁ……」
もっふる「ピィー」
もっふるもベアトリスの隣で誇らしげに胸を張り、可愛らしく鳴いた。
あんな「もっふるまで自慢気な顔しないでよ。 パパを甘やかす感じになってるよ」
亮「まあ、それは置いといて」
亮は、改めて周囲を見回した。
亮「結局、地震ってなんだったんだ?」
あんな「結局、原因は分からないままだよね」
みゆ「そうです」
亮「獣人国からドワーフ国に来て…」
あんな「封印された扉も見つけて」
みゆ「その扉が開いていました」
ベアトリス「そして、虫とも戦いましたわ!」
ベアトリスが拳をギュッと握りしめ、前回の激闘を思い出すように強く頷く。
あんな「本当、寄り道の規模が大きすぎるのよ。あの巨大イモムシだって、普通なら一生に一度遭遇するかどうかレベルじゃない」
みゆ「生物学的にも異常な個体でした。通常の環境下における発生確率を大きく逸脱しています」
亮「……すごいことになったよな」
もっふる「ピィー♪」
あんな「ほんとだよ」
みゆ「走行距離および消費エネルギー量も、当初の予定値を大幅にオーバーしています」
亮「最初は地震を調べるだけだったのになー」
あんな「そうだよ。原因確かめて、すぐに帰る予定だったのに」
みゆ「当初の目的は達成していないです」
亮「まあ、こういうこともある」
あんな「パパが言うと、説得力あるなぁ」
亮「だろ?」
みゆ「褒めていません」
亮「またかー」
みゆ「客観的データに基づく事実の指摘です」
もっふる「ピィー♪」
亮「いつも付き合ってくれてありがとうな」
あんな「もう……急にしんみりお礼言われてもね。だけど、早く原因を見つけて帰らないとね」
みゆ「肯定です。ポポちゃんを獣人国で待たせています」
あんな「ポポちゃん、寂しがっていないかな?」
亮「そうだよな……でも、友達もできたことだし」
みゆ「楽しくやっていると思われます」
もっふる「ピィー♪」
風が盆地を吹き抜け、遠くの岩肌をさわさわと撫でていく。
束の間の穏やかな空気が、一行を包み込んでいた。
その時だった。
――ズズズズズ……。
足元の奥深くから、低く重い音が響いた。
亮「……ん?」
あんな「また?」
みゆ「これは……」
みゆが静かに立ち上がり、地面からの微小な振動を注意深く計測するように姿勢を低くした。
ベアトリス「地震ですわ!」
――ズズズズズ……。
先ほどよりも大きく、地面が揺れる。
周りの崩れた岩石がガラガラと乾いた音を立てて転がり落ち、地面に細かな亀裂が走り、砂煙が舞い上がった。
あんな「ちょっと! 揺れがさっきより大きくなってない!?」
みゆ「補足します。揺れが遠くから伝わってきたのではなく、私たちの足元直下から直接発生しています。警戒レベルを最大に引き上げる必要があります」
亮「……どういうことだ」
亮は立ち上がり、グラグラと揺れる大地を見つめた。
亮「やっぱりこの地震、何かあるんじゃないか?」
誰も答えなかった。
ただ大地の軋む音と、崩れ落ちる小石の音だけが不気味に響き渡る。
そして地面の奥深くから、地響きに混じって低く重い、唸るような音が聞こえた。
???「…………」
神崎家は、一斉に顔を上げた。
こうして――
本来の目的を思い出しかけた矢先、大地の底から届いた異様な気配に息を呑む。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
未知の脅威を前に静かに張り詰めていくのだった。
地底から響く不気味な重低音の正体は?
息をするだけで大地が激しく揺れ、楽しそうに笑うだけで震度七クラスの大地震が発生
ドワーフ国崩壊の危機を前に、呑気なパパが打ち出した対策は……まさかの……。
次回、第304話 え、パパが勇者!? 地震の原因は地底の何ー!? 笑うだけで震度七の緊急事態!?




