第289話 え、パパが勇者!? 緑豊かな絶景の先に生き物の気配ゼロ!? 中央に謎の反応を発見!?
第三十四章、スタートです!
無事に地下通路を脱出した神崎家ともっふるですが、今回足を踏み入れたのは、周りを険しい山々に囲まれた不気味なほど静まり返る謎の盆地!
今回は、盆地を埋め尽くす白い大群と、娘たちの悲鳴が響き渡る怒濤の展開に!?
パパの暴走や覚醒する絆、そして怪しい影の暗躍と、見どころ満載でお届けします!
神崎家のドタバタ異世界スローライフ(?)、
新章もぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
亮「……光だー!出口だー!」
あんな「やっとだね……もう、どれだけ歩いたか分からないよ」
みゆ「長い通路でした」
ベアトリス「外へ出られるようですわ!一時はどうなることかと思いましたわ!」
もっふる「ピィー♪」
通路の先から、まぶしい光が差し込んでいる。
先頭を歩く亮が手で光を遮りながら一歩を踏み出すと、神崎家の一行は地下通路を完全に抜け出た。
亮「……おおーっ、すごいな!綺麗な景色だー」
あんな「……え?通路の先が…」
みゆ「……これは、予想外でした。山々に囲まれています」
ベアトリス「地下通路の先に、このような場所が広がっているなんて思いもよりませんでしたわ!」
眼前一面に広がっていたのは、緑豊かな広大な盆地だった。
見上げれば、まるで巨人の壁のように切り立った高い山々が全周を取り囲んでいる。
外からは決して見通せない、巨大なすり鉢の底のような空間だった。
亮「なんだか隠れ里みたいな場所だなあ。家とかはあるのかな?」
亮はきょろきょろと周囲を見回す。
しかし、広大な盆地に建物らしきものは見当たらず、人の影すらない。
亮「うーん、誰もいないな。ドワーフの街に続いてるのかと思ったんだけど……」
あんな「そうだね。それにしても、すごく広いんだけど……」
あんなが首を傾げ、隣で無言のまま立ち尽くしているみゆに視線を向けた。
あんな「みゆ? どうしたの、固まっちゃって」
みゆ「……少し静かすぎます」
亮「ん? 風が吹き抜けて気持ちいいぞ」
みゆ「違います、パパ、音です。鳥のさえずりも、虫の音も、小動物の鳴き声も一切聞こえません。風の音以外、生命の音が存在しないんです」
あんな「……そういえば、そうだね。動物の一匹もいないなんて」
ベアトリス「これほど緑が豊かな場所ですのに、気配が全くありませんわ!」
山に囲まれた豊かな土地に、生き物の気配が一切ない。
亮も周囲の樹木や草むらを見渡してみるが、確かに異様なくらい静まり返っている。
亮「そう言われてみれば、不思議な感じだな」
みゆ「……それだけではありません」
あんな「え?何?」
みゆ「……この盆地の中央付近に、何か存在しています」
あんな「何があるの?」
みゆ「ここからでは詳細な分析ができません。ただ……生命反応は認められません」
あんな「魔物ではなさそうね。誰かの家とか……?」
亮「もしかして宝箱かな? 迷宮のゴールには定番だからな!」
みゆ「その可能性は低いかと思います。構造上、あの地下通路はこの盆地へ至るための導線として設計されています。したがって、家とか宝ではなく何らかの目的があって意図的に誘導されていると考えるのが自然です」
ベアトリス「誘導……! 罠ということですわ!」
あんな「やだ、何それ……。ねえパパ、どうする?」
亮「まあ、ここで立ち止まっていても仕方ないしな。その場所に行ってみるか」
あんな「もう、パパは相変わらずだよね!」
みゆ「いつものパパです。ですが、ここに留まっていても状況を打開できないのも事実です」
ベアトリス「行ってみますわ!」
もっふる「ピィー♪」
神崎家の一行は、静寂に包まれた盆地の中央へ向かってゆっくりと歩みを進める。
周囲を覆う木々が、風に揺れてさわさわと音を立てる。
聞こえるのは、本当にその音だけだった。
亮「でも、ここは自然に囲まれて静かでいいところだな。スローライフには持って来いだ。こういうところでのんびりと暮らすのも悪くないかなー」
あんな「スローライフねー」
みゆ「まだあきらめていなかったのですね」
亮「あきらめる?そんな選択肢は俺の辞書にはないぞ」
あんな「ふーん」
みゆ「……」
亮「ちょっと、ふーんって冷たいなぁ」
もっふる「ピィー♪」
いつもの神崎家の賑やかな声が、誰もいない盆地に響き渡る。
亮「ところで、反応の場所はもうすぐか?」
みゆ「このペースなら、あと数分というところです。反応の位置は動いていません」
あんな「何があるんだろう……恐ろしいものじゃなければいいんだけど」
ベアトリス「何が出ようと、わたくしが皆様をお守りいたしますわ!」
亮「頼もしいね、ベアトリス。よし、もう少しだ――」
もっふる「ピィー♪」
広大な盆地の中央。
みゆが指し示すその場所はまだ見えない。
一本道の地下通路から気配のない広大な盆地。
全ての条件が、まるで自分たちをここへ引き寄せているかのような不気味さを漂わせていた。
亮「……本当に、何もいないのかな」
亮は静かすぎる空気を肌で感じながら、ゆっくりと一歩を踏み出す。
答えを確かめるように、神崎家は静寂の中を進んでいった。
こうして――
地下通路を抜けた先で待ち受けていたのは、あまりにも不気味な無音の世界だった。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
静かな怪しさを孕みながら続いていくのだった。
盆地の中央へ立ち塞がるのは、生理的拒絶1000%の3メートル級の大群!?
あまりの恐怖に理性を投げ捨てたあんな&みゆが、規格外の超大技をブッ放して一瞬で全滅。
パパの引きドン引きをよそに焼き尽くされた焦土の先で、どこからともなく姿なき不気味な声が響き渡る……。
次回、第290話 え、パパが勇者!? 地獄の業火と大地斬!? 生理的拒絶で覚醒した最強姉妹!?
静寂を破る謎の声の正体とは……迫り来る真の脅威を解き明かせー!?




