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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第三十三章 回廊編〜パパが無自覚にフラグを回収⁉ 炸裂する新技と仕掛けられた罠!?〜

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第280話 え、パパが勇者!? 迷子確率112%のFランクパパ!? 緊張感ゼロでスルーされる!?

広大な地下都市の路地を抜け、一行は隊長のグルムを先頭に、昨日亮たちが足を踏み入れた坑道エリアへと向かっていた。


グルム「地下の坑道は見た目以上に道が入り組んでいる。案内なしで進めば、ベテランでも二度と戻れなくなることがあるからな。逸れることはないと思うが、勝手な単独行動は絶対に慎んでくれ」


あんな「パパ、聞いた? 分かった?」


みゆ「パパ、くれぐれも気を付けてくださいね」


亮「え? なんで二人とも俺ばっかり見るんだ……?」


あんな「だってパパ、どこでも迷子になってるでしょ」


亮「いやいや、迷子にはなってないぞ? ちょっと散歩の範囲を広げていただけだ」


みゆ「客観的な計算では、112%の確率で迷子になっていました」


ベアトリス「どこへ行っても素敵な景色ばかりで、とっても楽しかったですわ!」


グルム「……よくそんな状態で今まで無事だったな……」


グルムが心底驚いたといった表情を浮かべる。


ボルグ「特に古い坑道は注意が必要だ。昔の採掘跡が無造作に残っている場所も多い」


あんな「あ、確かに昨日通った道にもありました」


ボルグ「そういう場所は地盤が脆く、いつ崩れてもおかしくない。足元には細心の注意を払うんだ」


亮「なるほどなぁ」


あんな「なるほどじゃないよパパ! 私たち、昨日相当危険なことをしてたみたいだよ!」


亮「まあまあ、結果的に全員無事だったんだから良かったじゃないか」


みゆ「まさに『知らぬが仏』というやつです」


グルム「今回の目的はあくまで封印の確認だ」


みゆ「はい。今回の目的を整理すれば、封印の状態を確認し、異常がなければ速やかに引き返す。それだけです」


グルム「その通りだ。深追いは一切不要だ」


ノルク「私も、扉に到着したらすぐに術式と魔力の記録を取りますね」


みゆ「ええ。残留魔力も一緒に分析しましょう」


ノルク「はいっ!」


二人が専門的な打ち合わせをする横で、ベアトリスが物珍しそうに周囲を見回しながら歩いていた。


ベアトリス「それにしても、地下都市というのは不思議な場所ですわ!」


あんな「うん。地上とは空気も景色も全然違うよね」


亮「最初はちょっと息苦しいかなと思ったけど、案外快適だよな」


もっふる「ピィー♪」


昨日、この先にある重々しい扉の前で感じた、あの振動。

ただの古い地下坑道ではない。

何か不穏なものが眠っていると思わせる気配が、確かに漂っていたのだ。


亮「よし……それじゃあ行こうか!」


あんな「うん!」


みゆ「調査開始です」


ベアトリス「今度は、きちんと確かめますわ!」


もっふる「ピィー」


そんな賑やかな掛け合いを交わしながら、薄暗い坑道をしばらく進んでいく。

やがて、後方から聞こえていた街のざわめきが完全に途絶え、周囲から人の気配が消えていった。


静寂の中、響くのは自分たちの足音だけになる。


ボルグ「……ここから先だな」


亮「昨日も、ここから急に雰囲気が変わったんだよな」


グルム「昨日の報告によれば、この奥に巨大な扉があるんだったな」


亮「ああ。岩壁に埋まるみたいにして建っていたんだ」


グルム「よし。周囲の地盤にも注意しながら進むぞ」


ボルグ「分かった」


一行は慎重に足を前へと出す。

壁面にそっと手を添えながら、ボルグが丹念に周囲の岩肌を確認していく。


ボルグ「今のところ、岩盤の亀裂や落石の兆候はないな」


グルム「崩れている場所もなさそうだな」


ノルク「魔力の反応も、まだ特段の異常値は見られません!」


みゆ「封印の至近距離まで近づけば、詳しい数値が判明するかもしれませんね」


さらに暗がりの中を奥へ奥へと進む。

昨日通った薄暗い一本道を抜け、次第に誰も言葉を交わさなくなった。

先へ進めば進むほど、肌を刺すような冷たい空気が張り詰めていく。


あんな「……すごく静かだね」


みゆ「そうですね。空気の密度が変わってきた気がします」


ベアトリス「風の音すら……何も聞こえませんわ!」


亮「こういうシーンとしたところって、なんだか無駄に緊張するな」


グルム「全員、気を抜くなよ」


亮「そこまで緊張しなくてもいいのでは?」


ボルグ「確かにな。扉の確認をしにきただけだ」


グルム「いかなる時も用心に越したことはない」


亮「グルムさんは真面目だなー」


あんな「パパも少しは見習ってよ」


亮「パパはいつだって真面目だぞ」


あんな「……」


みゆ「……」


亮「おーい!お二人さーん!完全にスルーしないでー」


重苦しい空気になりかけた通路に、神崎家らしい笑い声が軽やかに響いた。


やがて、前方に立ち塞がる巨大な黒い岩壁が見えてくる。

その中央。

壁面に埋め込まれた巨大な二枚建ての扉が、威容を誇っていた。

昨日、神崎家が偶然発見した古の封印の扉だ。


亮「……あった」


あんな「ここだね」


グルム「間違いない、これか……」


ボルグ「近くまで行ってみるぞ」


一行は息を殺し、ゆっくりと扉へ近づいていく。

間近で見ると、その大きさは圧巻だった。

分厚い特殊な金属と岩石で作られ、長い年月を経ていることが一目で分かる。

だが、経年による風化で脆くなっている様子はない。

ただそこにあるだけで、周囲の空気を押し潰すような重厚感を放っている。


ノルク「これが……古の封印の扉……」


みゆ「そうです」


グルム「ではノルク、計測を頼む」


ノルク「はい、まずは封印の状態を確認します!」


みゆ「私もサポートします」


二人が扉へ一歩踏み出そうとした、その瞬間だった。


みゆ「……え?」


みゆが足を止めた。


亮「どうした、みゆ?」


みゆ「昨日と……違います」


亮「何がだ?」


みゆは無言で、まっすぐに扉の方向を指差した。


みゆ「扉が……」


全員の視線が、暗がりの中に佇む巨大な扉へと一斉に集まった。


昨日。

確かに扉は固く閉ざされていた。


だが。


グルム「……な、なんだこれは……!?」


ボルグ「おい……嘘だろ……」


ノルク「……あ……」


みゆ「封印の扉が……」


かつて何者をも寄せ付けなかった巨大な扉は、もはや固く閉ざされてはいなかった。

扉の中央にわずかな隙間が空いている。

その開いた扉は、まるで誰かを招き入れるかのように暗闇の奥へと続いていた。


亮「……開いてる……」


もっふる「ピィー!」


誰も、すぐには動くことができなかった。


ただ封印の状態を確認し、異常がないかを確かめるために来た。

それだけのはずだった。


なのに、目の前にあるのは、昨日まで確かに閉ざされていたはずの扉。

その開かれた暗闇の先から、冷ややかな風がそっと吹き抜けていた。


こうして――

安全なはずだった調査は、予想だにしない異変によって一瞬にして変わる。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)の前に、

謎めいた暗闇が静かに口を開けていた。

絶対に開けてはならない古代の封印が、何者かの手によって完全に崩壊!?

引き返すどころか、真新しい侵入者の痕跡を追ってパパの「トラブルホイホイ」が絶好調に大暴走。


次回、第281話 え、パパが勇者!? 破られた古代の封印と謎の侵入者!? パパの『トラブルホイホイ』が発動!?

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