第278話 え、パパが勇者!? スローライフ持続時間わずか3分!? 朝の平穏を突き破る激しいドアのノック!?
第三十三章、スタートです!
ドワーフ国での宴会を終え、今度こそ平和な朝……と思いきや、スローライフ持続時間はわずか3分?
ドワーフ王からの要請で向かった先は、古の封印が眠る禁忌の地下回廊。
あんなの覚醒(?)や、相変わらずのパパのトラブルホイホイぶり、そして暗闇の奥に潜む不穏な影と予期せぬ事態に!?
ドタバタと謎が交差する回廊編、開幕です。
今回もぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
窓から差し込む清々しい光を受け、亮はゆったりと身体を起こした。
亮「朝だー。スローライフだー」
あんな「朝からどうしたの、突然叫んで?」
あんなが呆れたように腰に手を当てて振り返る。
みゆ「朝から騒がしいです。それと朝からフラグを立てないでください」
亮「いやぁ、今日も本当に清々しい朝だなと思ってな」
あんな「あれだけ飲んで騒いでたのに相変わらずタフだよね……」
みゆ「はい。パパのアルコール分解速度は異常です。これよりパパの身体構造はドワーフ並みと決定しました」
昨夜の光景が脳裏に浮かぶ。
地下深層での調査から無事に帰還したと思ったら、そのままドワーフ王の呼びかけで大宴会になだれ込んだのだ。
最初は巨大な木樽の数々に驚いたものの、気がつけば陽気で酒豪なドワーフたちに囲まれ、朝方まで大笑いしていた。
亮「昨日の宴会、すごかったよな」
あんな「王城での宴会というだけはあったよね。料理も豪快で豪華だったよ」
ベアトリス「素晴らしい宴会でしたわ! 職人たちの絆と熱気が、まるで炎のようでしたわ!」
亮「王様も気さくな方でよかったよ」
あんな「パパ、気さくはいいけど相手は一国の王様なんだからね……」
みゆ「あまりに無防備で失礼な態度をとると無礼討ちにされます。十分気を付けてください」
亮「大丈夫だよー、すごく話しやすい王様だったしー」
もっふる「ピィー♪」
朝の宿屋には、いつもの温かく賑やかな時間が流れている。
亮「やっぱり、ドワーフ国っていいなー」
あんな「突然何?」
みゆ「良い場所なのは同意しますが、脈絡が唐突すぎます」
亮「地下なのに、ちゃんと立派な街になってるところだよ。昨日もいろんなところを見たけど、まだまだ見てない場所がたくさんあるだろ?」
みゆ「確かに、この地下都市構造そのものが想像以上に広大です」
亮「そういえば、その地下都市で見つけたあの扉だけどさ」
みゆ「……封印されていた、あの重厚な扉ですね」
あんな「話が飛びましたよ」
亮「細かいことは気にしない気にしない」
ドワーフ王から聞かされた言葉が、亮の頭に蘇る。
――開けてはならぬもの。
――遥か古より封印されし場所。
亮「まさか、あんな物物しい場所があるとはな」
みゆ「王家の古い記録にしか残っていない最重要機密区域でした」
あんな「パパ、うっかり開けなくて本当に良かったね……」
みゆ「それと王は非常に寛大な方でした。私たちが許可なく勝手に行ったにもかかわらず、頼んだと言って許してくださいました」
あんな「そうだよね。本当に感謝しなきゃ」
亮「結果オーライということで!」
もっふる「ピィー♪」
そのときだった。
廊下の向こうから、ドタバタと慌ただしい足音が近づいてくる。
ドンドンドン!
静かな朝の空気を突き破り、激しく扉を叩く音が部屋中に響き渡った。
亮「何だ?」
あんな「こんな朝早くから誰なの?」
みゆ「……スローライフ終了の時間です」
亮「まだ終わるって決まってないよ!?」
あんな「いや、いつものパターンだよねこれ」
みゆ「計算しました。今回のスローライフ持続時間は約三分でした」
亮「いやいや、まだトラブルと決まった訳ではないぞ」
返事を待たずに、もう一度扉が荒々しく叩かれる。
ドンドンドン!
亮「はいはい、いま開けますよー」
亮が立ち上がり、ゆっくりと扉を開ける。
そこには、息を切らせたドワーフ兵が直立不動で立っていた。
ドワーフ兵「神崎様! 朝早くに失礼いたします!」
亮「どうしました?」
ドワーフ兵「ドワーフ王がお呼びです! 至急、王宮までお越しいただきたいとのことです!」
亮「分かりました」
あんな「すぐに向かいますね」
ドワーフ兵「では、よろしくお願いします!」
ドワーフ兵は深々と頭を下げると、嵐のように去っていった。
亮「王様が? なんだろ」
あんな「頼まれてた調査隊の話かもよ?」
みゆ「確率論で言えば、おそらくそうだと思います」
亮「そうだよね。なら良かったー!」
あんな「え? 何でそんなにホッとしてるの?」
亮「いやさっき、みゆが無礼討ちとか言ってたろ? 正直一瞬どきッとしちゃったんだよ」
あんな「え、もしかしてパパ、実は気にしてたの!?」
みゆ「意外でした。表面上はのんきに見えて、内心はドキドキだったのですね」
ベアトリス「恐れながら……怯えるパパも大変可愛らしいですわ!」
亮「はっきり言うなよー。照れちゃうよー」
もっふる「ピィ……♪」
亮「よし! じゃあ王様を待たせるわけにもいかないし、行こうか!」
あんな「うん!」
みゆ「行きましょう」
ベアトリス「行きますわ!」
もっふる「ピィー♪」
平和な朝の静けさを背に、神崎家は再びドワーフ王の待つ王宮へと向かうのだった。
こうして――
朝の短い静寂は去り、王からの呼び出しによって新たな波乱の予感が漂い始める。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
地下深部の謎へ向け、再び大きく動き出そうとしていた。
古の記録すら途絶えた謎の扉。
その封印が、今まさに崩壊の危機に直面。
王公認の調査隊を結成するも、安定の親バカ爆走&いつもの自己紹介。
次回、第279話 え、パパが勇者!? 封印の力が弱まって現場は緊迫!? 予防線を張る暇もなくパパの自己紹介暴走!?




