第259話 え、パパが勇者!? ドワーフ国に到着!目の前に広がる鉄と炎の国!?
第三十一章、始まります!
無事にドワーフ国へと到着した神崎家ともっふるですが、今回足を踏み入れたのは、山をまるごとくり抜いた圧巻の鉄と炎の都市。
「今度こそ落ち着いた観光を」……なんて願う間もなく、パパの無自覚なテレビ雑学と天然スキルが炸裂し、職人気質なドワーフたちや頑固親方までもがどんどんペースに巻き込まれていきます。
豪快すぎるドワーフの食文化体験に、ベアトリスとみゆが巻き起こす鍛冶場での奇跡(?)、そして三百年の国交断絶に隠された謎まで。
相変わらず娘たちのツッコミが冴え渡る、賑やかで熱いドワーフ国編が開幕します。
神崎家のドタバタ異世界スローライフ(?)、
新章もぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
「ドワーフ国、到達だー!」
重厚な巨大な城門をくぐるなり、亮が声を張り上げた。
あんな「到着したね。本当に無事でよかったよ」
みゆ「はい。道中の状況を思えば、奇跡に近いです」
ベアトリス「ここが、武具と鍛冶の国、ドワーフ国ですわ!」
もっふる「ピィー♪」
途中、大地を激しく揺らす大きな地震にあい、道なき道を通りなんとか辿り着いた安堵感に、神崎家のみんなは旅の緊張から解放されてふっと肩の力を抜いた。
だが、その視線を城門の先へと向けた瞬間、あまりの光景に言葉を失った。
亮「それにしても……すごいな、これは」
あんな「本当に山の中に街があるんだね……」
みゆ「山体を構造体として利用した、極めて巨大な都市です」
ベアトリス「山そのものを街に仕立て上げてしまうなんて、凄まじい技術ですわ!圧巻のスケールですわ!」
もっふる「ピィ♪」
その先に広がっていたのは、まさに度肝を抜かれるような光景だった。
なんと、巨大な山そのものをまるごとくり抜いて造られた、規格外の都市だったのだ。
見上げるほど高く伸びる岩壁に沿って、何層にも重なるように整然と並ぶ大きな建物。
地中深くへと伸びていく、どこまでも続く石畳の道。
神崎家が呆然と上を見上げていると、あんながふと思い出したように周囲を見回した。
あんな「パパ。ここに来る途中も結構大きな地震があったよね」
亮「ん、何回かあったな」
みゆ「はい。ですが、視界に入る範囲では大きく崩れた建物は見当たりません」
みゆの言葉を聞いて、亮も改めて周囲の壁や建物を見上げた。
亮「……地震の影響、ほとんど見えないな。やっぱり建物の造りがめちゃくちゃ頑丈なのかもな」
ベアトリス「さすがは名工の国ですわ!」
もっふる「ピィー♪」
あれだけ巨大な揺れを起こした地震だったというのに、壁にヒビすら入っていない。
神崎家全員でドワーフたちの並々ならぬ建設技術に深く感心し、しばらくその圧倒的なスケールに見入っていた。
カン! カン! カン!
すると、どこからか、力強い金属音が打ち鳴らされているのが聞こえてきた。
亮「……お、何の音だ?」
あんな「あちこちから聞こえるね」
みゆ「鍛冶屋がたくさんあるのだと思います。この音の密度からして、かなりの数が稼働しています」
ベアトリス「ドワーフの鍛冶場、ぜひ見学してみたいですわ!」
金属音が覚めやらぬ熱気を感じながら、亮は楽しそうに話し出した。
亮「いいな、体験とかも出来たりするのかな」
あんな「頑固な職人さんだと勝手に入って来るなとか言われて怒られるよ」
みゆ「大丈夫です。パパの特殊スキル、おっさんホイホイで仲良くなれば大丈夫だと思われます」
あんな「確かにー。どこに行っても好かれるもんね 」
ベアトリス「実に頼もしいスキルをお持ちですわ!」
亮「いやいや、そんなスキル持った覚えも作った覚えもないから」
もっふる「ピィー♪」
「ないから」と手を振って否定する亮に、娘たちは楽しそうに顔を見合わせてくすりと笑う。
神崎家の周りにはいつもの和やかな空気が流れた。
と、そのタイミングで、不意に亮が声を上げた。
亮「よーし!じゃあ!食事にしよう!腹が減ったー」
あんな「気合いを入れて何を言うかと思えば」
みゆ「どこでも、いつでもパパはパパです」
あんな「鍛冶場見学は食事の後だね」
あんなの呆れたようなツッコミと、みゆの冷静さに、神崎家の笑い声が響いた。
あんな「でもドワーフ国の料理楽しみだね。ガッツリ系が多そう」
みゆ「大変興味深いです」
亮「どんな料理なんだろうな。肉の丸焼きとか出てくるのかな」
ベアトリス「楽しみですわ!豪快な料理を期待してしまいますわ!」
もっふる「ピィー♪」
大きな地震を潜り抜け、無事に辿り着いた異国の地。
地上とはきっと違うドワーフならではの食文化へ思いを馳せながら、神崎家はゆったりとした足取りで街の奥へと歩みを進めた。
亮「ところでさ、ずっと気なっていたのだけど……」
あんな「何パパ、真面目な顔であらたまって」
みゆ「不安しかないです。嫌な予感がします」
あんな「また変なフラグ立てないでよ」
亮「いやいや、違うよ。城門のところに門番さんとかいなかったなと思って」
あんな「あ、本当だね。警戒も検問もなし?すんなり入れちゃったけど」
みゆ「獣人国に入国した際の厳重な警戒態勢とは、完全に極端な対比をなしています」
ベアトリス「ドワーフ国は、おおらかなのですわ!」
あんな「そういうもんなの」
みゆ「あるいは、入国を阻止する必要すら感じていないほどの絶対的な自信のあらわれかもしれません」
亮「まあ、何事もなく無事に入れたなら結果オーライだな!」
もっふる「ピィー♪」
こうして――
ドワーフ国の巨大な地下都市へと足を踏み入れたのだった。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
未知なる炎の国で幕を開ける。
ドワーフの国に乗り込んだ神崎家を待っていたのは、職人たちの視線と……街一番の頑固親方。
一切の微動だにできなくなった職人たちの前で、パパの能天気さと“あの存在”が奇跡を起こす。
次回、第260話 え、パパが勇者!? 恐ろしいドワーフ集団を一瞬で虜に!? ふわもふ天使の膝上降臨ともっふる無双!?
鉄の猛者たちを一瞬で骨抜きにした、究極のモフモフパワーを見逃すな!




