第252話 え、パパが勇者!? 獣人国を離れてドワーフ国へ!新たな旅の始まり!?
第30章、スタートです!
ポポちゃんを無事に送り届け、獣人国を後にした神崎家。
次なる目的地は、山を掘り抜いて造られた巨大な地下都市ドワーフ王国!
「今度こそ静かなスローライフ旅行を」
街道を進む神崎家ですが、足元に走る不穏な亀裂と、次々に降りかかるアクシデント。
パパの無自覚なフラグ回収と高所での大ピンチを、娘たちの超絶連携と緻密な分析で乗り越えた先に待っていたのは、想像を超えるスケールの巨大要塞都市でした。
ドワーフ国を襲う連続地震の謎とは?
そして、地下都市の奥深くで神崎家を待ち受ける新たな波乱とは!?
今回も相変わらずの神崎家ともっふるを、楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
亮「よーし、ドワーフ国に向かって出発だー!」
青空の下、亮は勢いよく拳を突き上げた。
だが、返ってきたのは娘たちのあまりにも静かなリアクションだった。
あんな「今度はドワーフ国だね」
みゆ「はい」
あんな「どんな国なんだろうね」
ベアトリス「楽しみですわ!」
亮「えーっと、皆さん?」
あんな「え? 何?」
亮「……なんでもないです」
見事なまでにスルーされた亮は、そっと空中で迷子になっていた拳を下ろした。
そんなやり取りに、あんなは太陽のような笑顔を浮かべた。
あんな「でも、獣人国とは全然雰囲気が違う国だよね」
みゆ「楽しみです」
ベアトリス「楽しみですわ!」
もっふる「ピィー♪」
亮は足を止め、ほんの少しだけ後ろを振り返った。
青々とした樹々に囲まれた獣人国の街並みは、もう丘の向こうへと隠れ、見えなくなっている。
一緒に旅をしてきたポポちゃんは、あの国に残してきた。
借りているグランディアと荷車も、獣人国に置いてきた。
だからこそ、また獣人国に戻らなければならない。
亮「ポポちゃん、元気にしてるかな」
あんな「心配だけど連れていくわけには行かないもんね」
みゆ「ポポちゃんには、新しい友達も出来ました」
亮「そうだな」
あんな「それに、族長さんたちも親切だからね」
ベアトリス「大丈夫ですわ!」
もっふる「ピィー♪」
あのあたたかい場所には、ポポちゃんの居場所がある。
ポポちゃんを安心させられる場所。
亮「よし」
亮はしっかりと前を向いた。
亮「ドワーフ国へ行こう」
あんな「うん!」
みゆ「はい」
ベアトリス「はいですわ!」
もっふる「ピィー♪」
背後の獣人国は、もう完全に見えなくなっていた。
けれど、そこで出会った人たちの顔や、共に過ごした熱い時間は、胸の中で鮮明に輝いている。
亮「それにしても、獣人っていうのは本当に色々な種族がいたなぁ」
あんな「猫耳の人たち、すっごく可愛かったよね!」
みゆ「はい」
あんな「歩くたびにぴこぴこ動くし、お店でお買い物してる時も可愛くて、ついつい目がいっちゃったもん。あんなに表情豊かに動くなんて反則だよ」
みゆ「尻尾がもふもふしている種族もいました。動作に合わせて左右に揺れる構造は、非常に興味深い観察対象でした」
亮「お、研究者モードか?」
みゆ「感情の起伏によって毛並みのふわふわ度が明確に変化することが確認出来ました。特にご機嫌なときは、ふわふわが通常の1.5倍に上昇していました」
もっふる「ピィー♪」
あんな「ふふ、もっふるも尻尾に反応してライバル視してたもんね。毛並みの勝負でもしようとしてたのかな」
亮「たしかに張り合ってたな」
もっふる「ピィー♪」
あんな「それに、犬耳の男の子たちも元気に駆け回ってて可愛かったなぁ。路地裏で追いかけっこしてて、転んでも笑いながらすぐ起き上がってさ」
亮「俺は虎とか熊の獣人さんもかっこいいと思ったよ。力強い体格で、歩くだけで絵になるというか、男として憧れる頼もしさがあったな」
ベアトリス「確かに、見事な体形の方々でしたわ!」
亮「だろ? 挨拶で肩を叩かれた時なんて、重厚感がすごくて感心しちゃったよ。あの丸太みたいな太い腕を見たら、そりゃ街の治安もしっかり保たれるわけだ」
あんな「ちょっとパパ、あのとき肩の骨が無事か確かめるみたいに自分の肩をそっと触ってたでしょ」
亮「いや、無事かなって……」
みゆ「治安は安定してました」
あんな「それに、うさ耳の女の子たちが淹れてくれたお茶も美味しかったよね」
みゆ「はい。香りが素晴らしかったです」
あんな「鳥の羽を持った種族の人たちが高い建物から優雅に飛び立つ姿も、すごく綺麗だったなぁ」
ベアトリス「皆様、ご自身の種族の特性や文化に強い誇りを持っておられて、私も騎士の身として大変勉強になりましたわ! あたたかくて誇り高い、素晴らしい方々ばかりでしたわ!」
みゆ「同感です。各種族がそれぞれの能力を活かして共生している様子は、社会形態としても非常に興味深いものでした」
亮「ああ。だからこそ、ドワーフ国にもどんな人たちがいるのか楽しみだな。やっぱりドワーフ国にも、猫耳や虎の獣人さんがいたりするのかな?」
あんな「いないと思うよ、ドワーフ国なんだから。お髭の生えたドワーフさんばかりだよ」
みゆ「文献によりますと、背が低く頑固な鍛冶職人が住民の九割以上を占めているとのことです」
亮「えっ……じゃあ、あのモフモフした癒やしはもうないのか……?」
あんな「そういうことだね。でも、もっふるがいるでしょ」
もっふる「ピィー♪」
亮「おお、そうだったな」
そう言って亮はもっふるを抱きかかえた。
神崎家は、ゆったりとした歩調で街道を進んでいく。
亮「ところで、ドワーフ国って、人間国からも商人が行ったりするのか?」
みゆ「無いと思います」
亮「やっぱり三百年も交流がないと、そうなるか」
みゆ「そうですね」
亮は視線を前方へ向けた。
遠くには、緩やかな低い丘が見えるだけだった。
しばらく歩くと、道の脇に小さな休憩場所が見えてきた。
木で作られた簡素な屋根と、使い込まれたいくつかの椅子。
亮「ちょっと休んでいくか?」
あんな「いい感じの休憩場所ね」
もっふる「ピィー♪」
亮「歩くのって、思ったより疲れるな」
あんな「パパ、まだ始まったばっかりだよ?」
みゆ「獣人国までは荷車でしたから、身体がなまっています」
亮「だからこそ、今のうちに休むんだ」
あんな「どういう理屈なのよ」
みゆ「パパの理論です」
ベアトリス「休憩ですわ!」
もっふる「ピィー♪」
どこかあたたかい笑い声が、静かな街道に届いていく。
旅は、まだ始まったばかり。
ドワーフ国へ向かう道のりはどこまでも続いている。
そしてドワーフ国へ続く街道の先で、神崎家を待つものは、まだ誰にも分からない。
こうして――
旅立ちの寂しさを胸に秘めつつも、神崎家は新たな冒険へ歩み出した。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
再び新たな一歩を踏み出すのだった。
ドワーフ国へ続く山道で、神崎家を待ち受けていたのは大地を網の目のように切り裂く不気味な亀裂。
度重なる不自然な地鳴りと落石の恐怖が迫る中、マイペースすぎるパパはまさかの「安定のお米探し」
山奥で蠢く未知なる大異変の足音を前に、この家族の危機感は一体どうなっちゃうの!?
次回、第253話 え、パパが勇者!? ドワーフ国へ続く街道に異変!? 大地に刻まれた不思議な亀裂!?
裂ける大地と深まる謎!
迫り来る崩落の危機を乗り越え、前代未聞の異世界スローライフ(?)突き進め!




