第251話 え、パパが勇者!? 涙の別れと絆の荷車!? ポポちゃんに捧ぐ再会の約束!?
昨夜の地震と族長たちの話を経て、朝の爽やかな光が差し込む部屋で、神崎家は朝食を囲んでいた。
亮は静かに家族の顔を見回した。
亮「……ドワーフ国へ行こうと思う」
あんな「やっぱり、昨日の地震のことも気になるもんね。様子を見に行くんだ」
みゆ「はい。獣人国でも揺れが増加しており、ドワーフ国の深刻な状況も含め、早期の現地確認とデータ収集が妥当だと判断します」
ベアトリス「もちろん、わたくしも同行いたしますわ!」
もっふる「ピィ♪」
あんな「ただ、ドワーフ国に行っても何も出来ないかもしれないよね」
みゆ「可能性は否定できません」
亮「そんなことは無いぞ。被災地のボランティア活動もあるからな」
あんな「確かにそうだね」
ベアトリス「何でもお手伝いしますわ!」
もっふる「ピィー♪」
そして亮は、少し真剣な表情でポポに向き直った。
亮「ただ……ポポは連れていかない。ここで待っていてほしいんだ」
ポポ「……え?」
ポポの顔が急に曇り、瞳に不安の色が広がっていく。
亮「ドワーフ国で何が起きているのか、まだ分からないからな。危険かも知れないからな」
ポポ「ポポも……いく」
亮「ポポには危ないんだ」
ポポ「……」
ポポの瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちていく。
亮「ポポは、ここで待っていてくれ」
ポポ「……いや……っ」
亮「必ず、また会いに来るから」
ポポ「……ほんと?」
亮「ああ。パパたちが絶対守るし、必ず戻ってくるって約束する」
ポポは小さく唇を噛みしめ、涙を拭った。
朝の話し合いを終えた神崎家は、その足で族長ザルガードのもとへ報告に向かった。
亮「ザルガードさん、俺たち、ドワーフ国へ向かおうと思います」
ザルガード「そうか。向こうの異変も気になるゆえ、亮殿たちがいってくれるなら心強い」
傍らで涙を浮かべているポポへ柔らかい眼差しを向けた。
ザルガード「ポポ、安心してくれ。亮殿たちが留守の間、私たちがずっと一緒にいるからな」
ポポ「……いっしょに?」
ザルガード「ああ、もちろんだ」
ルナ「私たちも一緒だよ!」
ドナ「ポポは一人じゃないもん!」
駆けつけてきたルナとドナが、ポポの両側にしっかりと立った。
ルナ「ずっと一緒に遊んで待ってよう!」
ドナ「美味しいものもいっぱい食べようね!」
ポポ「……ルナ……ドナ……」
ルナ「後、勉強もね」
三人はぎゅっと固く手をつなぎ合う。
ポポの目からはまだぽろぽろと涙が溢れていたが、力強く頷いた。
ポポ「……うん」
出発の準備が進む中、ザルガードが一通の手紙を差し出してきた。
ザルガード「亮殿。これを持っていってくれ。ドワーフ国の国王に向けた親書だ」
亮「親書ですか?」
ザルガード「ああ、国王とは昔馴染みでな。これを渡せば、怪しまれずにドワーフ国に入れるはずだ」
亮「ありがとうございます! すごく助かります」
ザルガード「何かわかったら知らせてくれ。健闘を祈る」
いよいよ出発の時。
亮はポポの前にしゃがみ込んだ。
亮「ポポ」
ポポ「……なに?」
亮「ちょっとだけ遠くへ行ってくるけど、必ず戻ってくるからな」
ポポ「……ポポ、待ってる」
亮「ありがとう。……そうだ、この荷車もここに置いていくからな」
ポポ「……あの荷車?」
亮「そうだよ。一緒に旅をした荷車も、ポポちゃんと一緒にここで待たせてやってくれ」
亮が温かい眼差しで荷車の車輪をぽんぽんと叩くと、ポポは一生懸命に涙を拭い、キュッと唇を結んで微笑んだ。
自分たちの大切な荷車を預けられたことで、必ず戻ってくるという約束が確かな温もりとなって胸に届いたようだった。
ポポ「……いってらっしゃい!」
あんな「行ってくるね、ポポちゃん! お留守番よろしくね」
みゆ「すぐに調査を終えて戻ってまいります」
ベアトリス「ポポちゃん、お土産を楽しみにしていてくださいですわ!」
ルナ「私たちもポポと一緒に待ってるからね!」
ドナ「気をつけてねー!」
ポポはルナとドナの手をぎゅっと握りしめ、遠ざかっていく神崎家の背中に向かって大きく手を振った。
ポポ「ポポ、ちゃんと待ってるからー!」
涙を拭いながら見送るポポの笑顔に見守られ、神崎家は静かな地鳴りの真相を確かめるべく、ドワーフ国への道を歩み出すのだった。
――そして、その空のさらに高く。
女神は、穏やかな微笑みを浮かべていた。
ふふ……あの勇者、今度は言葉の通じない未知の国で、またしても予想外の奇跡を起こしてくれましたね。
冷たい牢格子の中で怒りを抑え、ただ幼き少女の笑顔と居場所を守るために耐え忍ぶ。
その優しさと覚悟が、人々の心を動かしたのでしょう。
使命感ではなく、純粋な気持ちで……ただ幸せを分かち合い歩む彼らの姿。
最強の力を持ちながら、最弱の称号を何よりも喜んで受け入れる。
その純粋な想いこそが、世界で最も強く、そして優しい魔法なのかもしれません。
異国の地に芽生えた幼い絆を抱きしめ、また一つ、温かな約束を交わしたあの家族は、今度はどのような運命の地へ向かうのでしょうか。
さて……次はどんな日々を紡ぐのでしょう」
光が揺れ、風がそっと彼らの旅路を撫でていく。
その微笑みは、どこまでも優しかった。
こうして――
ポポとの温かい約束を胸に、新たな地へ向けて踏み出した。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は
次なる冒険へと続いていくのでした。
【第二十九章「獣人国編〜言葉なき少女と紡ぐ、絆と波乱の異国生活⁉〜」を終えて】
言葉が通じず罪人扱いされる波乱から始まった獣人国編。
牢屋スタートから一転、ポポちゃんの笑顔と聖獣もっふるのおかげで温かな絆に包まれる旅となりました!
凶悪魔物、森喰いの撃退や連日の賑やかな大宴会を経て、神崎家は次なる目的地・ドワーフ国へ。
不気味な地鳴りの真相と、パパの「お米捜索」の行方は如何に!?
亮「いやあ、一時はどうなることかと思ったけど、ポポちゃんの笑顔と友達ができて本当に良かった!」
あんな「ポポちゃんが温かい仲間と待っててくれるから、私たちも前を向いて進めるね。読者の皆さんも、これからも神崎家と一緒に歩んでくれたら嬉しいな!」
みゆ「観測データによれば、地鳴りの頻度上昇は明らかに広域的なフラグ炸裂を示唆しています。この先の危険を『やらかし予防』するためにも、皆様の★評価やブックマークという名の観測支援をよろしくお願いいたします」
ベアトリス「ポポちゃんとのお勉強もバッチリですわ!ドワーフ国では活躍してみせますわ!」
もっふる「ピィー♪」




