第248話 え、パパが勇者!? 言葉の壁も笑顔で突破!? 姉妹みたいな毎日でスローライフだ!?
ルナ「ポポ、ベアトリスさん、これは『おはよう』だよ!」
ポポ「お……はよう?」
ベアトリス「お……はよう……? ふむふむ、そう発音するですわ!」
ドナ「そうそう! 2人とも上手!」
ルナとドナのお手本に、ポポとベアトリスが並んで顔を見合わせ、一緒に言葉の響きを確かめるように少し考える。
そして二人同時にパッと顔を輝かせた。
ポポ「おはよう!」
ベアトリス「おはよう、ですわ!」
ルナ「できた!」
ドナ「すごい! 二人ともすごい!」
みんなの弾んだ声と朗らかな笑い声が、朝の柔らかい光の中に響き渡る。
ポポとベアトリスは、ルナとドナから少しずつ獣人語を教えてもらっていた。
ベアトリスにとっても獣人国の言葉や文字は初めて見るものばかりで、
ポポと一緒に
「これはどういう意味ですの?」
「難しいですわね!」
と頭を突き合わせて勉強する毎日だ。
ルナとドナが教え、ポポとベアトリスが二人で声を揃えて繰り返し、みんなが楽しそうに笑う。
そんな心温まる時間が、すっかり神崎家の日常になっていた。
ドナ「ポポ、ベアトリスさん、こっち!」
ポポ「うん!」
ベアトリス「はい! ドナちゃん、待ってくださいですわ!」
二人に呼ばれると、ポポとベアトリスは並んでパタパタと嬉しそうに駆け寄っていく。
小さな三人と、一緒になって仲良く並んで歩いていく様子を、神崎家が後ろから温かい眼差しで見守っていた。
ポポ「これ……なんていうの?」
ルナ「それはね――」
ドナ「私が教える!」
ルナ「もう、ドナったら! 私が先に教えようとしたのに!」
ドナ「だって、二人に教えたいんだもん!」
ポポ「ふふっ」
ベアトリス「二人ともとっても教え上手ですわ!」
競い合うように教えてくれる二人の様子に、ポポとベアトリスの口元から柔らかな微笑みがこぼれる。
ポポ「ありがとう」
ベアトリス「ありがとうございますわ!」
ルナ「どういたしまして!」
ドナ「えへへ!」
いつの間にか、みんなのやり取りはすっかり自然なものになっていた。
ポポとベアトリスが分からないことがあれば、ルナとドナが身振り手振りを交えて教える。
ポポやベアトリスが嬉しそうに笑えば、ふたりも顔を合わせて笑う。
その姿は、まるで仲良しな四人姉妹のようだった。
亮「今日も賑やかだなぁ」
獣人国の村を歩きながら、亮が笑う。
あんな「お店もいっぱいあるね! ポポちゃんもベアトリスと一緒に楽しそう」
みゆ「食文化も王都とはかなり違います。データの収集価値が高いですね」
ベアトリス「こちらのお料理も、とっても美味しいですわ!」
亮「せっかくだし、いろいろ食べてみようか」
あんな「賛成!」
みゆ「私も興味があります」
ベアトリス「では、皆様で参りますわ!」
神崎家は村を歩き、すれ違う獣人たちと笑顔で挨拶を交わす。
亮「こんにちは!」
獣人「おう! ゆっくりしていけよ!」
あんな「ありがとうございます!」
村のあちこちから、楽しそうな声と活気ある賑わいが飛び交っていた。
神崎家も、獣人国での暮らしを少しずつ楽しんでいた。
亮「なんか……こういうの、いいな」
あんな「うん!」
みゆ「穏やかですね」
亮「獣人と一言で言っていたが、これだけの種族が一緒に暮らしている。凄いことだよな」
あんな「そうだね。犬の人も鳥の人も、みんな仲良く暮らしてるもんね」
みゆ「種の壁を超えた社会構造の構築……争いがないのは素晴らしいです」
亮「それにさ、尻尾とか耳とか、もふもふしてて可愛いから攻撃なんて出来ないよな」
あんな「……パパ、最初は牢屋を壊そうとしてましたよ?」
亮「え? それってパパだったか?」
もっふる「ピィー♪」
ベアトリス「これぞ、スローライフですわ!」
亮「それは、パパのセリフだよー」
神崎家の賑やかな笑い声も、村の中へ響き渡る。
ポポ「ルナ!」
ルナ「なに?」
ポポ「ドナ!」
ドナ「ここだよ!」
ポポが二人のもとへ駆けていくと、三人は自然に小さな手をつないだ。
ベアトリスもその横で嬉しそうに寄り添う。
ポポ「一緒に行こう!」
ルナ「うん!」
ドナ「行こう!」
ベアトリス「参りますわ!」
みんなで並んで歩いていく姿を、少し離れたところから神崎家が見ていた。
亮「……すっかり仲良しだな」
あんな「本当の姉妹みたい」
みゆ「ポポちゃんもベアトリスも、非常に楽しそうです」
ベアトリス「良い時間ですわ!」
あんな「パパも楽しそう」
亮「うん。こういうのもいいな。これぞ、スローライフだー」
ポポたちの弾んだ笑い声。
獣人たちの威勢のいい話し声。
穏やかな森の風。
獣人国での穏やかな日々が過ぎていくのだった。
だが、風に乗って一瞬だけ立ちこめた、どこか冷たい森の気配。
それが何を意味しているのかに気づく者は、まだ誰もいなかった。
こうして――
共に言葉を覚える小さな歓声と、もふもふな住民たちの温もりに包まれた一日。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
今日も和やかに続いていくのでした。
活気溢れる獣人国の市場で絶品グルメを堪能する中、パパの「お米捜索魂」がまさかの再燃。
あらゆる露店を探し回るも、やっぱり異世界にはお米が存在しない?
どこへ行ってもお米に振られ続けるパパを横目に、マイペースな神崎家は今日も平和すぎる日常を満喫中。
次回、第249話 え、パパが勇者!? 獣人国の市場を満喫!? やっぱりお米がない!?




