第247話 え、パパが勇者!? 魔物を倒したら大宴会!? 異変の兆候より宴会優先!?
「森喰いを撃退したぞーーーっ!」
「「「おおおおおおおっ!!」」」
村へ戻った神崎家と獣人国の戦士たちを迎えたのは、地面を揺らすほどの大歓声だった。
広場に集まっていた大勢の獣人たちが、一斉に歓声を上げ、両手を突き出している。
ポポ「……!」
思わず目を丸くするポポの横で、ルナとドナが弾んだ声を上げた。
ルナ「すごいね、ポポ! みんな大喜びだよ!」
ドナ「うん! 戦士のみんなが帰ってきたからだね!」
あちらこちらから、威勢の良い声が飛び交う。
「無事の帰還を祝え!」
「今日は無礼講だ! 大宴会だぁぁぁ!」
「「「うおおおおおおっ!!」」」
勝利の余韻も冷めやらぬまま、一気に熱気を帯びる村の空気。
亮「……え、宴会?」
あんな「あはは、やっぱりやるんだ」
みゆ「異世界における戦いの後の恒例行事ですね。過去の収集データとも完全に一致しています」
ベアトリス「とっても賑やかで楽しそうですわ!」
もっふる「ピィ♪」
亮「この世界の人たちって……本当に宴会が好きなんだなぁ」
ぽつりと漏らした亮の呟きが聞こえたのか、通りかかった大きな身体の熊人が、豪快にその肩を叩いて笑った。
熊人「ガハハ! そりゃあ旦那、嬉しいことがあったら飲む! 美味しい肉があったら食う! 宴会しない理由がどこにあるってんだい!」
亮「な、なるほど……」
あんな「ほらパパ、せっかくなんだから楽しもうよ!」
あんなの言葉を合図にするように、獣人国の盛大な大宴会が幕を開けた。
広場には次々と大きな木樽や料理が運び込まれ、村はさらに活気に満ちていく。
その時――グラグラッ!
一瞬、足元を揺らす地震が起こった。
亮「うわっと!? 地震……? 最近、ちょっと多くないか?」
皿を押さえながら心配そうにする亮に、隣で肉をかじっていた犬人がひらひらと手を振る。
犬人「ん? ああ、心配いらんよ旦那。ここ最近はちょくちょく揺れるんだ」
鳥人「そうそう、いつものことだから気にすんな! ほらほら、酒が減ってるぞ!」
獣人たちはまったく気にした風もなく、豪快に杯を交わしている。
あちこちの焚き火からは、香ばしい匂いが立ち上っていた。
豪快に丸焼きにされた巨大な肉。
見たこともない彩り豊かな山菜や野菜。
大鍋でグツグツと煮込まれた、濃密なスープ。
そして、人々の絶えない楽しげな声。
亮「そっか……いつものことなら、今は思いっきり楽しむか!」
あんな「うん! 料理もすごくいっぱいあるよ!」
みゆ「栄養バランス的にも、かなりの量が用意されているようです」
ベアトリス「皆様、本当にお料理とお酒がお好きなのですわ!」
もっふる「ピィー♪」
亮「さっきまで森で命がけの戦いをしてたなんて、とても思えないな……」
神崎家が和やかにごちそうを囲んでいる頃。
ルナ「ポポ、こっちこっち!」
ドナ「一緒に食べようよ!」
ポポ「うん……!」
ポポは、ルナとドナに挟まれてちょこんと丸太に座っていた。
美味しい肉を食べていると、村の子どもたちが集まってくる。
獣人の子ども「あ、ポポちゃんだ! 一緒に遊ぼうよ!」
ポポ「……うん!」
ルナ「みんなで遊ぼう! かくれんぼにする?」
ドナ「おいかけっこもいいな!」
子どもたちの無邪気な笑い声が、広がっていく。
その大きな輪の中心で、ポポも柔らかい微笑みを浮かべ、弾むように笑っていた。
少し離れた場所から、あんなたちはその光景を温かい眼差しで見守っていた。
あんな「ポポちゃん、すっかり元気になったね。楽しそう」
みゆ「はい。精神的な緊張状態が解除され、本来の笑顔を取り戻したようです」
ベアトリス「すっかり村のお子様たちとも仲良くなりましたわ!」
亮「……よかったなぁ、本当に」
ポポの明るい表情に、亮たちも自然と胸を撫で下ろす。
その一方、賑やかな宴の輪から少し離れた木陰で、族長たちと熟練の戦士たちが静かに集まっていた。
虎人「……なあ族長。やっぱり、あの『森喰い』が出たのはおかしい」
熊人「ああ。俺も同感だ。あいつは本来、人知れぬ深緑の秘境の奥深くに棲むはずの魔物だぞ」
鳥人「なぜあんな集落のすぐ近くまで降りてきたんだ……?」
重苦しい問いかけに、族長ザルガードは静かに酒杯を傾け、深い眼差しで森の闇を見つめた。
ザルガード「……今日はせっかくのお祝いだ。子供たちに余計な不安を煽るものではない」
虎人「……そうだな。すまん」
戦士たちは深く頷き、それ以上は何も言わなかった。
彼らの視線の先には、無邪気に駆け回る子供たちの姿。
そしてその中心で、今までにないほどの弾けるような笑顔を見せるポポがいた。
ポポ「ルナ、見て見て!」
ルナ「わあ、すごい! どうやったの!?」
ドナ「私もやるー!」
夜空に響き渡る、子供たちの笑い声。
あんな「……よかったね、ポポちゃん」
みゆ「はい」
ベアトリス「本当に素晴らしい夜ですわ!」
亮「ああ……」
もっふる「ピィー♪」
愛らしい笑顔を見せるポポに、温かい眼差しを向ける神崎家。
しかし、森喰いの異例の出現。
森の深部で、静かに何かが蠢いているような気配。
そして、時折足元を揺らす不気味な地鳴り。
賑やかな宴の影で、かすかに立ちこめる不穏な空気。
足元から伝わるかすかな振動は、まるで地の底で何かが目覚めようとしているかのように、小さく、けれど確かに震えていた。
ポポ「楽しいっ!」
ルナ「うん、すっごく楽しいね!」
ドナ「もっともっと遊ぼう!」
小さな笑い声が、星空の広がる夜の森へと消えていく。
だが、亮がふと見上げた夜空の果てには、まだ誰も気づいていない奇妙な陰りが、静かに差し始めていたのだった。
こうして――
深まる不穏な謎をよそに、ポポの笑顔と豪快な料理に包まれた夜。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
宴の熱気と共に更けていくのだった。
ポポとベアトリスが獣人語の勉強に挑戦で、まるで仲良し四人姉妹みたいな大賑わい。
もふもふいっぱいの村で美味しい料理を堪能し、パパも大満足の至高のスローライフを満喫。
しかし和やかな笑顔の裏で、風に乗って冷たい森の気配が静かに忍び寄る……。
次回、第248話 え、パパが勇者!? 言葉の壁も笑顔で突破!? 姉妹みたいな毎日でスローライフだ!?




