第243話 え、パパが勇者!? ポポちゃんの秘密が判明!? 神崎家と族長たちが語る本当の故郷とは!?
木々の隙間から光が差し込む深い森の中、子供たちの明るい声が弾けていた。
ポポ「ルナ!」
ルナ「なあに?」
ポポ「こっち!」
ルナ「待ってー!」
ドナ「ポポ、速いよ!」
小さな背中を追いかけて、ルナとドナが駆け出していく。
無邪気に笑い合う三人の楽しげな声が、穏やかな森の中に響き渡っていた。
そして同じ頃、獣人国の一室。
円卓を囲み、ポポの生い立ちについての話し合いが始まろうとしていた。
神崎家の面々と、獣人国を束ねる六族長たちが真剣な眼差しを交わし合う。
ザルガード「……まずは、我が同胞であるポポを保護してくれたことに感謝したい」
ザルガード族長が深く頭を下げる。
その武骨な手に誠実さを滲ませながら、彼はゆっくりと顔を上げた。
亮「いえ、当然のことをしたまでです。今回、私たちが獣人国を訪れたのも、ポポの両親を探すためでして」
ザルガード「そうでしたな……。では、ポポについてなのだが我々も、あの子の両親について村の者に色々と聞いてみた」
亮「はい」
ニャルミア「……私も、あの子を知りませんでした。どの地区の記憶を辿っても、ポポちゃんに該当する話は出てこないのです」
ザルガード「それに、ポポの両親の情報は一切なかった。行方不明者の届出すら出されていないのだ 」
亮「そうですか……」
あんな「では、獣人国で生まれていないということですか?」
ザルガード「分からないが、少なくとも今の段階ではそうとしか言いようがないな」
一瞬、部屋の中が静寂になる。
重苦しい空気の中、みゆが続ける。
みゆ「ポポちゃんが話せるのは日本語だけです」
ザルガード「日本語……」
みゆ「はい。そして、私たちがポポちゃんと出会った場所にも、ご両親はいませんでした」
ニャルミア「……」
みゆ「獣人国の中にも、ポポちゃんのご両親を知っている者がいない。これまでの情報を整理すると……ポポちゃんは、どこから来たのでしょう?」
みゆの淡々とした分析が、確かな事実として場に差し出される。
森では――。
ポポ「ルナ、見て!」
ルナ「わあ!」
ドナ「すごい!」
幼い子供たちの楽しげな声が、遠く静かに響いていた。
しかし、会議室では誰も答えを出せずにいた。
みゆ「……ポポちゃんは獣人国の出身ではない可能性があります」
ニャルミア「……私も、そう思います」
亮「じゃあ、ポポはどこから……」
みゆ「現時点のデータだけでは分かりません」
あんな「ポポちゃん自身も、覚えてないんだよね」
みゆ「はいそうです。前にも話しましたが、可能性としましては私たちと同じ転生者の可能性です。そして、何らかの手違いで人間の国に生まれた、もしくは六歳のまま転生したということです」
亮「手違いで済む問題ではないだろ」
みゆ「そうですが、それだと説明ができます」
あんな「あくまで可能性の話だね。確証があるわけじゃないし」
みゆ「……そうです。推論の域を出ません」
亮「ま、分からないことをいつまでも話していても仕方ないな。今は目の前のポポを大切にするだけだ」
あんな「パパらしいね」
みゆ「楽観的ですが、現状の優先順位としてはある意味合理的です」
場が少し和らいだところで、亮は表情を引き締め、族長たちに向き直った。
亮「それと、族長さん、もう一つよろしいでしょうか?」
ザルガード「亮殿何でしょうか?」
亮「……そもそも、最初に我々を捕らえたのはどうしてなのですか? 」
ザルガード「くっ……そのことについては、本当にすまない。非はこちらにある」
武骨な巨体を縮めるようにして頭を下げるザルガードに、亮は慌てて手を振った。
亮「いえ、責めているのではありません。国交がないのと何か関係性があるのではないかと……何か理由をご存じではありませんか?」
族長たちが顔を見合わせた
ザルガード「……古い言伝えなのだ。『人間は危険だ』『決して交わってはならぬ』と、幼い頃から教えられてきた」
あんな「教えられてきた……って、過去に何かあったわけではないのですか? たとえば、大昔の戦争とか…… 」
ヴァルド「いや、そのような歴史的記録や大きな戦の伝承は残ってはいません。ただ『危険だ』とだけ伝わっているのです」
ニャルミア「はい……とにかく危険としか、私たちも教わっておらず……具体的な理由は誰も知らないのです」
亮「……」
あんな「これって……なんだかすごく奇妙だよね。理由もないのに国が敵対してるなんて」
みゆ「王都でも獣人国でも原因は分からない。にもかかわらず、獣人国は人間国を敵視しているし遠ざけている。構造として明らかに不自然です」
理由なき敵意の謎が深まり、会議室に奇妙な緊張が漂い始めた、その時。
バンッ!
勢いよく会議室の扉が叩き開かれた。
鳥人「族長様!」
アルフェン「どうした!?」
羽を乱し、息を切らせた鳥人族の報告者が飛び込んでくる。
鳥人「森で……異変が!」
その一言で、部屋の空気が一変した。
さっきまでの停滞感が吹き飛び、鋭い緊張感が張り詰める。
アルフェン「……何があった?」
鳥人「それが……っ」
顔を蒼白にした鳥人は言葉を詰まらせ、それを見た神崎家と六族長の表情が険しく強張る。
もっふる「ピィ……っ!」
亮「ポポちゃん……!」
子供たちが遊んでいるはずの森で、一体何が起きているのか。
亮たちの胸に、不吉な予感が波紋のように広がっていく。
こうして――
不穏な気配が迫る中、ポポの謎を巡る物語は新たな渦へと巻き込まれていく。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
嵐の予感とともに加速する。
静寂の森に響き渡る地鳴りと悲鳴。
子供たちの前に突如出現した、大樹をも軽々砕く異形の巨大魔獣『森喰い』
助けに入った獣人戦士すら一撃で吹き飛ばされ、逃げ場ゼロの絶体絶命な大ピンチ!?
頼れる大人は誰もいない森で、恐怖に震えるポポたちの叫びはパパたちに届くのか?
次回、第244話 え、パパが勇者!? 逃げ場なしの激震!? 子供たちが絶体絶命!?




