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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第二十九章 獣人国編〜言葉なき少女と紡ぐ、絆と波乱の異国生活⁉〜

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第239話 え、パパが勇者!? まるまる獣魔の正体は聖獣様!? ポポちゃんが呼んだ奇跡の再会!?

次の日の朝。

部屋の隅で小さく丸まったポポは、ずっと同じ言葉を繰り返し呟いていた。


ポポ「……もっふる」


獣人たちが困惑した表情で見守る中、部屋の扉が開き、虎人と熊人が姿を現す。


虎人「様子はどうだ」


猫人「昨日からずっとあの様子です」


虎人「そうか……」


ポポ「……もっふる」


猫人「もっふる……?」


ポポ「うん!」


ポポは力強く頷くと、亮たちが連れて行かれた方向をまっすぐに指差した。


ポポ「もっふる!」


猫人「……あの、まるまるとした獣魔のことか?」


ポポは両手を大きく広げ、丸い形を作ってみせる。


ポポ「うん! もっふる!」


その愛らしい身振りに、獣人たちの間からふっと小さな笑いが漏れた。


熊人「なるほど……あの獣魔か」


虎人「牢屋に入れられた人間たちと一緒にいたな」


ポポ「もっふる! もっふるいる!」


ポポは何度も神崎家のいる方向を指差す。


ポポ「パパもいる!」


顔を見合わせた獣人たちの間で、一人が静かに頷いた。


虎人「分かった。獣魔だけなら問題ないだろう」


熊人「その獣魔を連れてきなさい」


指示を受けた獣人が、牢へ向かって歩き出す。

その時、足元から地響きが走り、グラリと建物が揺れた。


虎人「また地震か」


ポポ「……!」


揺れに驚きつつも、ポポにとっては今の状況を変えることの方が先決だった。

やがて、向こうから聞き慣れた愛くるしい鳴き声が風に乗って届く。


もっふる「ピィー♪……」


ポポ「……!」


ポポの耳がぴんと立つ。


もっふる「ピィー!」


ポポ「もっふるー!」


跳ね起きるように立ち上がるポポ。


ポポ「もっふるー!」


扉が開かれると、獣人に抱えられたもっふるが姿を見せた。


もっふる「ピィー!」


ポポ「もっふる!」


もっふるはポポの姿を視界に捉えた瞬間、まるまるとした身体を大きく揺らして暴れ出す。


獣人「おいおい、暴れるな」


ポポ「もっふる!」


床に下ろされた瞬間、もっふるは弾丸のような勢いでポポの元へ走っていった。


ポポ「もっふる……!」


両手を広げたポポの胸の中へ、もっふるが一直線に飛び込む。


ポポ「うわぁぁ……!」


ギュッと抱きしめた瞬間、ポポの目から大粒の涙が溢れ出した。


ポポ「もっふる……もっふる……!」


もっふる「ピィー……」


愛おしそうに何度も何度もその毛並みを撫でるポポ。


ポポ「もっふる……パパは? おねえちゃんたちは?」


もっふる「ピィー」


ポポ「……」


もっふるの顔をじっと見つめたポポは、再び牢屋のある方向を指差した。


ポポ「パパ……」


もっふる「ピィー」


ポポ「……うん」


ポポは溢れる涙をゴシゴシと拭った。

もっふるがここにいる。

ただそれだけで、離ればなれになった神崎家のみんなと心が繋がっているのだと実感できた。

その温かな光景を、獣人たちは黙って見つめていた。


熊人「……この獣魔、人間たちと一緒に牢へ入れられていたんだな」


虎人「それに……この子との関係も深そうだ」


ポポは、もっふるを抱きしめたまま決して離そうとしない。

あらためてその姿に目を向けた獣人たちは、首をひねった。


まるまるとした愛くるしい身体。

そして、背中に生えた小さな金色の羽。


虎人「……?」


一人の獣人が、空気の変化に気がついた。

ただの獣魔であれば、これほど神聖で清らかな気配を纏っているはずがない。


虎人「……少し待て」


制するような声に、周りの獣人たちが振り返る。

一人の獣人がゆっくりともっふるの前へ歩み寄った。

もっふるはポポの腕の中から、小さな金色の羽をパッと広げ、少女を守るように身構える。


犬人「……この羽は」


兎人「どうした?」


犬人「お前は、この羽を見て何も感じないのか?」


兎人「……?」


もっふるをよく見た獣人の表情が一変した。


兎人「……!」


鳥人「まさか……」


ざわめきが周囲に広がっていく。


犬人「この獣魔……ただの獣魔ではない」


ポポ「……?」


話の内容は分からなくても、大人たちがただならぬ眼差しでもっふるを見つめていることだけは伝わってきた。

ポポはもっふるをさらに強く抱きしめる。


ポポ「……もっふる」


もっふる「ピィー」


獣人の一人が、震える声でその名を口にした。


虎人「……聖獣様だ」


その一言が落ちた瞬間、その場の空気が一変した。


熊人「聖獣……?」


猫人「そんな……」


愛くるしいフォルムと可愛らしい顔立ち。

先ほどまではただの珍しい獣魔にしか見えなかった。

だが、内側から溢れ出すこの圧倒的な気配。

間違えるはずがなかった。


虎人「……なぜ、聖獣様がここに?」


誰一人として答えを出せない。

だが、動かしがたい事実がひとつだけあった。

その聖獣が、あの人間たちと共にいたということだ。


熊人「……あの人間たち」


一人がぽつりと呟く。


虎人「聖獣様を連れているのか……」


別の獣人が牢屋の方を見つめ、静かに首を振った。


猫人「いや……『連れている』という言い方は違う」


視線がポポともっふるへ戻る。


犬人「聖獣様が、あの者たちと共にいるんだ」


誰も口を開くことができなかった。

獣人国において、聖獣は信仰と敬意の象徴である特別な存在。

その聖獣が自らの意志で同行しているとなれば、神崎家に対する評価は根本から覆る。


虎人「……ならば」


一人の獣人が牢屋の方を見つめる。


虎人「本当に、あの人間たちはポポを攫ったのか?」


熊人「……分からない」


犬人「だが、聖獣様が共にいる」


その事実の重みに、誰も反論できなかった。

ポポはもっふるを抱いたまま、亮たちが囚われている方向を見つめる。


ポポ「パパ……」


もっふる「ピィー」


その声を聞いた獣人が、固い決意を秘めて立ち上がった。


虎人「族長に報告する」


熊人「あの人間たちを即釈放しろ。すぐにだ!」


こうして、神崎家を「誘拐犯」と断定していた獣人国の認識に、巨大な亀裂が入り始めた。

少女を保護し、聖獣と共に歩むあの人間たちは、一体何者なのか。

真相を確かめるべく、獣人国が大きく動き出す。


猫人「しかし、ポポはどうする?」


自分のことを話していると察したポポが、顔を上げた。


ポポ「……?」


ポポはもっふるを抱きかかえたまま立ち上がると、まっすぐに牢屋の方を指差す。


ポポ「パパ……パパ、いる」


何度も、祈るように繰り返す。


ポポ「パパ……いる」


その瞳に宿るまっすぐな光を見つめ、一人の獣人が静かに呟いた。


猫人「……この子は、あの人間たちのところへ戻りたいんだ」


虎人「それなら、なおさらすぐに釈放だ。行くぞ」


熊人「おお!」


指示を受けた獣人たちは、急ぎ足でその場を辞していく。

立ち去る背中を、ポポは不安そうに見送った。


もっふる「ピィー」


ポポ「……うん」


ポポは、もっふるの温もりを噛み締めるようにぎゅっと抱きしめた。


その頃、牢屋の中。


亮「……」


あんな「ポポちゃん、大丈夫かな……」


みゆ「現在、こちらから確認する手段はありません」


ベアトリス「ポポちゃんが無事ならいいのですわ……」


固い床の上に座り込み、全員がポポの無事を祈るように思いを馳せていた。


そして、獣人国の最高意思決定機関である六族長のもとへ、一報が駆け巡る。


『ポポと一緒にいた人間たちが、聖獣様を連れていた』


静かな部屋の中、窓から差し込む朝の日差しが、握りしめたポポの小さな手を優しく照らしていた。


こうして――

聖獣の存在がもたらした一筋の光と、家族を信じ続ける少女の思いが、頑なだった獣人国の運命を少しずつ変えていく。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が

静かに動き出した事態の行方を乗せて、次なる展開へと続いていく。


誤解が解けて誘拐犯から一転、まさかの獣人国の恩人に!


六族長からの大謝罪に恐縮しつつも、ポポの無事と笑顔を取り戻した神崎家。

そして言葉の壁を越えて手を取り合う幼い子供たちの絆が、閉ざされた国の未来を温かく照らす。


次回、第240話 え、パパが勇者!? 誘拐犯から一転、六族長が土下座大謝罪で事態急変!?

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