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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第二十八章 国境編〜ポポのおうちを目指す旅が、まさかの誘拐犯!?〜

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第235話 え、パパが勇者!? 300年ぶりの開国は一触即発!? 逃げ場ゼロの完全包囲網!?

鬱蒼とした深い森の中。

神崎家を乗せた荷車は、鬱蒼と茂る大樹の隙間を抜けるように、慎重に進んでいた。


亮「グランディア、森の中に入ってきたけど大丈夫か?」


両側から太い幹と枝葉が迫り、荷車の車輪がザクッ、ザクッと湿った腐葉土を踏みしめる。


グランディア「ブルルッ……」


亮「頼むぞグランディア。足元気をつけてな」


荷台では、ポポが不安と期待の入り混じった瞳で、森の奥をじっと見つめていた。


ポポ「……」


あんな「森、どんどん深くなってきたね。日差しは届かなくなってきたけど……なんだか空気がすっごく澄んでて、おいしい気がする!」


あんなは両腕をぐーっと伸ばして深呼吸しながら、周囲の樹木を見上げた。


みゆ「肯定。樹木の密度上昇に伴い、フィトンチッド濃度およびマイナスイオン量が急増しています。可視光線の透過率は推定30%以下ですが、大気質の改善により呼吸効率は向上中です」


ベアトリス「人の気配も皆無で、空気も誠に清々しいですわ! まさに秘境、極上の森林浴の予感がいたしますわ!」


亮「確かに空気うまいな。マイナスイオンでリフレッシュできるのはいいけど、ほんと誰ともすれ違わないな。迷ってなきゃいいけど……」


もっふる「ピィー♪」


神崎家がそんな会話を交わしながら進む、その頭上。

深い緑の葉に覆われた一筋の大枝の上。


獣人見張りA「……」


さらに、道端の太い幹の陰。


獣人見張りB「……来たぞ」


さらに遥か後方の樹上。


獣人見張りC「人間だ。荷車を引いている」


息を潜めた複数の鋭い視線が、無防備に進む荷車へ一斉に向けられていた。

しかし、神崎家はまだその密やかな視線に気づいていない。


亮「このまままっすぐ進めばいいんだよな?」


みゆ「はい。地図によれば、この道で合っています」


亮「よし、じゃあこのまま進もう!」


グランディアが踏み出す。

一歩。

また一歩。


その瞬間。


みゆ「……パパ、止まってください」


亮「ん? どうしたみゆ?」


みゆ「周囲に複数の動体反応を検知。急速に接近しています」


あんな「えっ!? 気配……!?」


ベアトリス「魔物ですわ!」


みゆ「……いえ。魔力の波形が異なります。知性を持った生体反応です」


亮「とにかく、ちょっと止まろう」


亮が手綱を引くと、グランディアがピタリと足を止めた。

途端に、森の中がしんと静まり返る。


亮「……」


あんな「……」


ベアトリス「……」


ポポ「……?」


もっふる「ピィ……?」


もっふるがポポの膝の上で小さく首を傾げた、その時だった。


ザザッ……!


前方の茂みが揺れた。


亮「つ……!」


大樹の影から、弓を構えた一人の獣人が姿を現した。獣の耳と尻尾を持った、引き締まった体の戦士みたいだ。


続いて、ガサガサッ!と反対側の草むらから、槍を手にした別の獣人。

さらに、後方の木の上からも、短剣を握りしめた獣人が降り立つ。


亮「……うわ、増えた!?」


みゆ「前後左右、および上空。完全に包囲されています」


次々と森の闇から現れる獣人たち。

前。

後ろ。

左右。

そして頭上の枝。

無数の鋭い眼光と武器が、神崎家の荷車を完全に捉えていた。


あんな「……完全に囲まれちゃったね……」


みゆ「パパのパッシブスキル『トラブルホイホイ』の発動を確認。引き寄せ率、過去最高値を更新中」


あんな「出たよ、パパのトラブルホイホイ! 息を吸うようにトラブル引き寄せるのやめてよ」


ポポ「とらぶる……ほいほい?」


亮「あ、ポポちゃん、変な言葉覚えなくていいからね!?」


ベアトリス「ふふっ、お任せくださいですわ! 頼れるわたくしがサクッと全員撃滅して差し上げますわ!」


あんな「笑顔で物騒なこと言わないでよ。撃滅しちゃダメだからね」


みゆ「警告。不用意な抜刀は戦闘を誘発します。すでに相手側の警戒度は上限です 」


亮「落ち着いてベアトリス。争いに来たわけじゃないんだからさ」


亮は周囲を見回す。

全身の毛を逆立て、牙を剥き出しにして警戒する獣人の見張りたち。

誰一人として、道を空ける様子も、会話に応じる雰囲気もない。


その時、前方に一人の大柄な獣人が、ゆっくりと一歩前に踏み出した。


獣人「……」


言葉は発せられない。

ただ、張り詰めた緊張の糸が、森の空気を痛いほどに圧迫していた。


約三百年もの間、人間との関わりを完全に断ち切ってきた国・獣人国。


その固く閉ざされた扉との最初の接触は深い森の中。

神崎家が逃げ場なく完全に包囲されるという、絶体絶命の緊張感の中で幕を開けた。


こうして――

一触即発の緊張の中、神崎家は獣人国との最初の対峙を迎える。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、

危機一髪の包囲網の中で新たな局面へと突入していくのだった。


言葉の通じぬ獣人国で、まさかの誘拐犯扱いで完全連行。


しかし当の神崎家は、縛られながらも超のんびり気分。

誤解と警戒が渦巻く未知の国で、囚人となったパパたちの明日はどっちだ!?


次回、第236話 え、パパが勇者!? 神崎家が誘拐犯!? 絶体絶命の連行劇!?


縛られたってマイペース!

捕虜から始まる前代未聞の異世界スローライフ(?)開幕!


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