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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第二十八章 国境編〜ポポのおうちを目指す旅が、まさかの誘拐犯!?〜

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第234話 え、パパが勇者!? 獣人国の痕跡を発見!? 街道の先に残されていたものとは!?

王都を出発して、十日目。


荷車は、緑が日ごとに濃くなっていく道をゆっくりと進んでいた。


亮「……景色が随分変わってきたな」


御者台から先を見つめながら、亮がぽつりと呟く。

さっきまで続いていた道幅の広い街道が、進むにつれて徐々に狭まり、石や土が剥き出しになってきていた。


あんな「本当だ。草木も道端からどんどん飛び出してきてるね」


ガサガサッ、と荷車の車輪が伸び切った雑草を押し潰す音が響く。


みゆ「計測完了。街道の整備状況および維持管理の痕跡が、ここ数キロで急激に低下しています」


あんな「獣人国に近づいているね」


みゆ「その可能性が極めて高いです。商人や旅人の往来が皆無であることが、路面の荒廃速度を加速させています」


亮「まあ、三百年も国交がないんじゃ、街道の手入れも誰もやらないよな」


もっふる「ピィー♪」


亮の言葉に、全員が街道の先へ視線を遣る。

そこには人の姿はおろか、すれ違う馬車の一台すらない。

聞こえるのはグランディアの心地よい足音と、風に揺れる木々のざわめきだけだった。


するとその時。


亮「……ん? あれ、なんだ?」


街道の脇、伸び放題になった草むらの中に、何かがぽつんと立っているのが亮の目に留まった。


亮「ちょっと止まってくれ」


グランディアが静かに足を止める。

亮は御者台から降り、道端の草をかき分けた。


亮「これ……木製の杭か?」


そこにあったのは、苔生した一本の古い木製の杭だった。

ただの木切れではない。

その表面には、人間国の文字とは明らかに異なる、不思議な螺旋模様のような彫刻が深く刻み込まれていた。


みゆ「……文字のようには見えませんね。記号、あるいは幾何学的な図形でしょうか」

あんな「何かのマーク? それとも、標識みたいなものかな」


ベアトリス「領地を示す境界の紋章のようにも見えますわ」


亮「やっぱり、獣人国のものなのかな?」


みゆ「断定は不可能です。ですが、王都周辺の様式とは明確に異なっています」


さらに、その杭のすぐ近くには、半ば土に埋もれた古い木箱や、蔦に覆われた石造りの構造物がひっそりと残されていた。

蓋は腐ち落ちて外れ、中には頑丈に編まれた細い縄や、使い古された木製の道具類が残されている。


あんな「誰かがここで作業をしてた……ううん、昔は人が住んでいた跡だね 」


ベアトリス「ですわ!近いということですわ!」


みゆ「肯定。歴史的建造物の劣化度合いから見ても、三百年前に一斉に放棄された可能性が極めて高いです」


すると、荷台からトントンと軽やかな足音がして、ポポが静かに降りてきた。


ポポ「……」


亮「ポポちゃん?」


ポポは言葉を発せず、まっすぐにその杭へ歩み寄ると、刻まれた模様をじっと見つめた。


亮「……このマーク、知ってるのか?」


ポポ「……わからない」


ポポはぽつりと呟き、首を小さく横に振る。

けれど、その大きな瞳は、吸い寄せられるようにしばらくの間、杭の模様から離れようとしなかった。


もっふる「ピィー……?」


心配そうに寄ってきたもっふるが、ポポの足元で鼻先をすり寄せる。


ポポ「……ううん、なんでもない」


ポポはもっふるを優しく抱き上げると、小さく微笑んだ。


あんな「ポポちゃん、大丈夫だよ! 私たちがついてるし、みんなで絶対におうちに送り届けるからね!」


亮「そうそう。謎は獣人国に着けば分かるさ。行こう!」


ベアトリス「出発ですわ!」


もっふる「ピィー♪」


全員が再び荷車へと乗り込む。

手綱が振られ、グランディアが再び力強く歩み始めた。


道幅はさらに狭まり、とうとう荷車が一台通れるかどうかの深い森の入口へと続いていく。

そして、その森へ続く道の両脇には、先ほどと同じ螺旋の杭と、苔に覆われた古代の石柱が、巨大なアーチのように幾重にも連なって森の奥へと続いていた。


差し込む陽の光が木々の葉に遮られ、徐々に薄暗くなっていく森の中。

静まり返った古代の遺跡を潜り抜けるような感覚に、誰からともなく言葉が途絶え、荷車は深い静寂の中を静かに進んでいく。


あんな「……道、森の中にもまだ続いてるね」


みゆ「肯定。地図上における境界線の最奥部です」


ベアトリス「ポポちゃんの、故郷への道ですわね」


ポポ「……おうち」


ポポの零した小さな呟きが、静まり返った深い森の木々の中にそっと溶けて消えていった。


だがその森の暗がり、遥か高い大樹の梢から、一行を見下ろす「獣の瞳」が暗闇の中で怪しく光った。


カサッ……と葉が揺れる微かな音。


神崎家はまだ気づいていない。

三百年間閉ざされていた森が、侵入者である彼らを受け入れようとしているのか。


こうして――

荒れ果てた歴史の跡を辿り、家族は深い緑の奥へと足を踏み入れる。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、

森へと静かに導かれていくのだった。


森林浴気分の呑気な神崎家を突如襲う!

獣人の戦士たちに完全包囲される大ピンチ

絶体絶命の一触即発な事態に、マイペース最強家族はどう立ち向かうのか!?


次回、第235話 え、パパが勇者!? 300年ぶりの開国は一触即発!? 逃げ場ゼロの完全包囲網!?


固く閉ざされた歴史の扉が、今まさに重々しく開き始める。

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