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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第二十八章 国境編〜ポポのおうちを目指す旅が、まさかの誘拐犯!?〜

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第230話 え、パパが勇者!? 神崎家の勝手な旅立ちで王都大騒ぎ!?

「止まれえええええ!!」


街道に響き渡る亮とあんなの悲鳴。


ベアトリスの大張り切りによって暴走を開始した神崎家の荷車は、猛烈な土煙を上げながら平原の彼方へと消えていった。


一方、その頃。

そんな神崎家の爆走劇など知る由もない王都の王城・会議室では、重々しい雰囲気の中で緊急最高幹部会議が開かれていた。


議題は、先の「ベーゼ」の一件。

そして、王都近郊の森や聖火山フェルナードで相次いで巻き起こった「フェニックス」にまつわる異常事態の進捗状況の報告であった。


皇女レオニアの声が響き渡る。


レオニア「では、引き続き調査をお願いします」


ライオネル「承知しました」


マルティナ「魔術師団も、調査を継続いたします」


コンラート「記録院におきましても、過去の文献との照合を進めます」


アルベルト「王都騎士団も警戒態勢を維持いたします」


レオニア「皆の者頼むぞ!」


一同「ははっ!」


重臣たちが一礼するのを見届け、レオニアはふと表情を緩めた。


レオニア「後、何か変わったことはないか?」


すると、ギルドマスターのガリオスが前へ出た。


ガリオス「冒険者ギルドより、一つご報告がございます」


レオニア「何でしょう?」


ガリオス「……神崎家についてです」


その名前が響いた瞬間、会議室にいた全員の表情が一変した。


ライオネル「神崎家……!」


ガリオス「今朝、神崎家の一行が王都を出発いたしました」


レオニア「どこへ向かったのだ?」


ガリオス「……獣人国です」


会議室が、凍りついたように静まり返った。


ライオネル「……じゅ、獣人国だと!?」


レオニア「あの獣人国か!?」


ガリオス「はい」


コンラート「獣人国とは約三百年間、一切の国交が途絶えておりますが……」


レオニア「なぜ突然、神崎家が獣人国へ向かうのだ?」


ガリオス「先日保護した『ポポ』という獣人の少女を、故郷へ送り届けるためだそうです」


レオニア「獣人の子だと……? なぜそのような幼子が我が国にいる?」


ガリオス「詳細までは聞いておりません。ただ、放っておけないと」


レオニア「……相変わらず、目の前の困っている者を放っておけぬ男だな」


ライオネル「なるほど……神崎殿らしいといえばらしいが……」


マルティナ「ですが、正式な外交手続きなどはどうされているのです?」


ガリオス「一切ありません」


ライオネル「……いや、そもそも国交が断絶している相手に、正式な外交手続きなど不可能なのでは?」


レオニア「無理ですね」


ガリオス「神崎家は、すでにそのまま向かっております」


レオニア「……実に神崎家らしい行動力ですね」


一同が苦笑いを浮かべる中、記録院長であるコンラートが静かに口を開いた。


コンラート「これは笑い事ではすまないのではありませんか」


レオニア「……その時はその時だな」


ライオネル「レオニア様……」


コンラート「……レオニア様。一つ、確認しておきたいことがございます」


レオニア「何でしょう?」


コンラート「そもそも、なぜ獣人国との国交が三百年も途絶えているのか……その根底についてです」


ライオネル「三百年前に、何か大きな戦争や不祥事でもあったのではないのか?」


コンラート「それが……」


コンラートは手元の古い資料を開いた。


コンラート「王立記録院に残されている一等記録では、約三百年前を境に、獣人国との交流記録が突然、何の脈絡もなく途絶えているのです」


マルティナ「突然……?」


コンラート「はい。戦争の記録は?」


コンラートは自ら問いかけ、首を振る。


コンラート「ありません。大規模な災害や魔物の襲来の記録も確認できません」


レオニア「では、なぜ国交が途絶えたのだ?」


コンラート「……分かりません」


会議室に、じわじわと異様な緊張感が走り始める。


コンラート「通常、これほど長期間にわたって国交が完全断絶するのであれば、理由となる歴史的事件や条約、あるいは激しい戦争の記録が明記されるはずです。しかし、獣人国を含めドワーフ国、エルフ国との関係についても、それらの記録が不自然なほどすっぽりと欠落しているのです」


マルティナ「過去の災禍で、記録が失われたということでしょうか?」


コンラート「その可能性もあります。……ですが、私はもう一つの可能性を懸念しております」


レオニア「もう一つ……?」


コンラート「何者かの手によって、意図的に歴史から消し去られた可能性があります。記録の欠落は、我々が知る歴史そのものの根幹を揺るがしかねません」


空気が一変した。


ライオネル「誰かが、歴史を改ざんしたと……!?」


コンラート「断定はできません。ただ、単純な資料の紛失として処理するには、あまりにも不自然すぎるのです」


マルティナ「では、三百年前に一体何が起きていたというのですか」


コンラート「今の我々の知識では、窺い知ることはできません」


重苦しい沈黙が会議室を支配する。

誰もが秘められた歴史の深淵に思いを馳せる中、ガリオスが口元を緩めた。


ガリオス「だからこそ……神崎家なんですよ」


全員の視線が、一斉にガリオスへと集中する。


ガリオス「これまでだって、神崎家が関わったことで、運命が動き出しています」


ライオネル「……確かに」


マルティナ「フェニックスの件も、まさにそうでしたわね」


ライオネル「ベーゼの件も、神崎家がいなければどうなっていたか……」


コンラート「もしかすると……」


コンラートが、資料を見つめながら静かに呟いた。


コンラート「神崎家なら……三百年間止まっていた歴史の歯車を、再び動かしてしまうのかもしれません」


レオニア「国交を……いや、世界そのものをか?」


コンラート「ええ」


ガリオス「……十分あり得ますね。あの亮さんなら『ちょっと遠出してきましたー』くらいのノリで、国交を開いて戻ってきそうですから」


レオニアはしばらく沈黙を守っていたが、やがて楽しそうに笑い声を上げた。


レオニア「ふふ……ならば、私たちにできるのは、神崎家の動向を静かに見届けることなのかもしれませんね」


誰一人として、その言葉に反論する者はいなかった。


レオニア「今回の件、獣人の子供がなぜ我が国にいたのか。そして、三百年前の歴史の改ざんについても徹底的に調べさせよ。よいな!」


一同「ははっ!」


その頃、神崎家は、そんな王城での真剣な会議など知る由もなく。


あんな「ベアトリス! ストップ!!ストーーーップ!!」


ベアトリス「これが噂の『限界突破』ですわーー!!」


みゆ「速度計測不能! 荷台が浮いています!」


もっふる「ピィーーーーーッ!?」


亮「だ、誰か助けてーーー!!」


猛烈な土煙を上げながら、神崎家の荷車は街道を猛スピードで突き進んでいた。

荷台の上では、亮が目を回しかけながら必死に手すりにしがみついている。


あんな「ポポちゃんが乗ってるんだよ!? 大丈夫、ポポちゃん! 怖くない!? 」


あんなは必死に脚をふん張りながら、小さなポポをぎゅっと抱きしめた。


ポポ「ポポ、だいじょうぶだよ! はやーい!楽しい―♪」


遥かなる獣人国を目指し、神崎家を乗せた荷車は、猛烈な大爆走を続けながら街道を突き進んでいた。


こうして――

王都の重鎮たちが勝手に期待と確信を深める中、家族の新たな大冒険が幕を開ける。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、

三百年の歴史を揺るがす大爆走へと突っ込んでいくのだった。

暴走事故の直後、今度は街道のど真ん中でデッカいCランク魔物がお昼寝中。


圧倒的な剣技と、商人から投げかけられる重々しい警告!

不穏な噂とポポの切実な願いを胸に、最強のマイペース家族が立ちふさがる未知の危険へ突き進む!


次回、第231話 え、パパが勇者!? 街道のど真ん中にCランク魔物がお昼寝中!?


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