第215話 え、パパが勇者!? 村長と固い握手でお米捜索依頼!?
翌朝――。
カルデアの村は、どこまでも爽やかで穏やかな朝を迎えていた。
昨日まで村全体を押し潰すように覆っていた不安の影は雲が晴れるように消え去り、すれ違う人々の表情には晴れやかな笑顔が完全に戻っていた。
広場では、昨夜の賑やかな宴会の後片付けをする村人たちの元気な声が飛び交っていた。
亮は朝の光を浴びながら大きく伸びをする。
亮「んーっ! よく寝たー! やっぱり美味しいものを食べてぐっすり寝ると、疲れが吹き飛ぶなぁ」
あんな「パパ、おはよう。昨日は遅くまで騒いでいて大丈夫なの」
みゆ「おはようございます。パパの睡眠データは極めて安定しており、レム睡眠とノンレム睡眠の理想的な周期を記録していました」
ベアトリス「皆さん、おはようございます! 朝の空気がとても心地よいですわ!」
もっふる「ピィー♪」
神崎家が広場へ向かうと、ルークたち調査隊の面々もすでに荷支度を終えて集まっていた。
ルーク「皆さん、おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」
亮「おはようございます、ルークさん! おかげさまでバッチリです!」
カイル「本日は予定通り、これより村を出発します」
オスカー「まずは交易都市フレイアスへ向かいます」
ノエル「調査報告書も、一度、整理しなければなりません」
エドガー「フェニックスの消失を含め、今回の記録は一度慎重にまとめる必要があります」
そこへ、村長が村人たちを従えて歩み寄ってきた。
村長「皆さん、本当にお世話になりましたじゃ。皆様がいなければ、このカルデアは今頃どうなっていたかじゃ……」
村人たちも次々と深々と頭を下げる。
「本当にありがとうございました!」
「村を救ってくれて、心から感謝しています!」
「いつでもまた遊びに来てくださいね!」
亮は温かい眼差しで、村人たちへ明るく手を振る。
亮「こちらこそ、温かいおもてなしをありがとうございました!」
あんな「皆さん、お元気で」
みゆ「ありがとうございました」
ベアトリス「とても温かくて素敵な村でしたわ! わたくし、カルデアが大好きになりましたわ!」
もっふる「ピィー♪」
村の子どもたちは最後までもっふるの周りにキャッキャと集まり、名残惜しそうにその柔らかな体を撫でながら手を振っている。
すると、村長が少し申し訳なさそうな顔で亮の前へ歩み寄ってきた。
村長「そういえばじゃ……亮さん」
亮「?」
村長「例の米とやらじゃが……」
あんな「あっ……またその話……」
みゆ「昨夜の悲劇の再来でしょうか」
村長「残念ながら今回はアリの卵という大間違いをしてしまったのじゃが……。次に皆さんが来てくれる時までには、ワシももう少し詳しく調べておこうと思ってるのじゃ」
その言葉を聞いた瞬間、亮の表情が一気にパッと少年のように明るくなった。
亮「えっ、本当ですか!?」
村長「ああ。このカルデア周辺だけではなく、交易都市からやってくる行商人や他の村の者たちにも広く聞いてみようじゃ。もしかすると、あんたの探している食べ物が見つかるかもしれんのじゃ」
亮は感激のあまり、思わず村長の手をぎゅっと両手で握りしめた。
亮「ありがとうございます、村長さん! 今度こそ、本物のお米を一緒に食べましょう!」
村長「はっはっはっ! その時はまた、昨夜以上の盛大な大宴会じゃ!」
二人は、固く力強い握手を交わした。
その微笑ましいやりとりを見届け、ルークが一行を見渡して声を張る。
ルーク「それでは皆さん、出発しましょう!」
一同「「「はい!!」」」
調査隊が一歩を踏み出し、歩き始める。
神崎家もその後に続いて歩みを進めた。
村人たちは村の入口まで総出で見送りにやってきて、大きく手を振っている。
「また来てくれよなー!」
「道中、気をつけてなー!」
子どもたちも大きく両手を振っている。
「もっふるー! また遊ぼうねー!」
「バイバイー!」
亮も振り返り、大きく手を振り返した。
亮「皆さん! 本当にありがとうございました! また必ず遊びに来まーす!」
あんな「皆さん、元気でー!」
みゆ「大変お世話になりました」
ベアトリス「またお会いしましょうですわ!」
もっふる「ピィー! ピィー!」
村長「カルデアは、いつでも皆さんを待っていますじゃー!」
村長と村人たちの温かい歓声が、朝の清々しい空気の中にどこまでも心地よく響き渡る。 やがて、思い出の詰まったカルデアの美しい景色は、ゆっくりと、少しずつ遠ざかっていった。
見渡す限りの青空の下、街道を進む一行の前には、交易都市フレイアスへ続く道が真っ直ぐに伸びている。
あんな「あれ?ボルトンさんとゼニスさんいつの間にかいなくなっていたね」
亮「確かにな。急用でも出来たのかな?」
ベアトリス「不思議な方ですわ!」
みゆ「……」
みゆは何も言わず、気配を一切残さず消え去ったその行動にわずかな疑問を抱きつつも、今は静かに静観しているのだった。
こうして――
温かな笑顔と感謝の声に包まれ、神崎家は新たなる目的地へと旅立った。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
交易都市フレイアスで流星とのお別れ。
聖火山での死闘を共に潜り抜けた頼もしき仲間たちと、交易都市フレイアスで感動の無事帰還。
宴会場で繰り広げられる美味い飯と最高の祝杯に、過酷な戦いの記憶も笑い話へと変わっていく……。
しかし、無事に報告を終えて仲間たちとの温かな別れを惜しむその裏で、スローライフ(?)な一家の日常は一筋縄では終わらない!?
次回、第216話 え、パパが勇者!? 命懸けで戦い抜いた仲間たちと交わす最高の乾杯!?




