第202話 え、パパが勇者!? 娘たちと未知の領域へ!強制転移させられた先は脱出経路不明の古代神殿!?
第二十五章スタート!
神殿に眠る謎の秘宝!神崎家、まさかの強制転移――!?
守護獣フェニックスとの激戦の最中、パパたちが飛ばされた先は、静寂に包まれた未知の神殿でした!
外界から遮断された空間で、パパが過去に釣りの錘にしていた「あの石」が、思わぬ共鳴を引き起こし……!?
さらには、港町ベーゼを灰色に染めた不気味な連中が再び神崎家の前に立ちはだかります。
力と速さを兼ね備えた強敵を相手に、あんなとベアトリスの息の合った連携、そしてみゆの冷静な分析が冴え渡る!
神殿の最奥でベアトリスが受け取る、大地の記憶とは――。
少しシリアスな展開の中にも、パパの天然っぷりと娘たちの鋭いツッコミは健在です!
神崎家のドタバタ異世界スローライフ(?)、新章もぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
第202話 え、パパが勇者!? 娘たちと未知の領域へ!強制転移させられた先は脱出経路不明の古代神殿!?
――力を、確認した。
――汝らは……
――選ばれた。
重々しい声が、直接響き渡った。
亮「……っ!」
その瞬間、目の前の景色が歪んだ。
猛烈な光が視界を真っ白に染め上げ、踏みしめていた大地の感覚が、ふっと消えてなくなる。
あんな「パパ!?」
みゆ「空間異常発生! 重力誤差、急速に拡大中!」
ベアトリス「きゃあっ! パパ、お姉さま!」
もっふる「ピィー!」
もっふるは必死に亮の肩にしがみつき、激しく羽を震わせた。
先ほどまで肌を焦がしていたフェニックスの熱波も、パチパチと爆ぜていた炎も、そして周囲の楽しげなざわめきや戦いの響きも、一瞬にして遠ざかっていく。
ただ、あの透き通るような声だけが、頭の奥で静かに反響していた。
――ここから先は我の領域ではない。
そして、
亮「いててて……」
背中に伝わる、ひんやりとした硬い床の感触。
亮はゆっくりと上体を起こし、頭を軽く振った。
見上げた天井は、信じられないほど高い。
そこを支えるのは、天へと届きそうな巨大な石柱。
肌をなでる空気は、驚くほど冷ややかだった。
亮「……ここどこだ?」
あんな「それ、私も聞きたい。っていうか、今度は何が起きたのよ……」
みゆ「周辺環境を確認します。大気組成は正常。魔素濃度は極めて高いですが、人体への影響はありません」
ベアトリス「皆様、ご無事ですの?」
もっふる「ピィー!」
どうやら、神崎家とベアトリス、そしてもっふるだけが、ピンポイントでこの場所に強制転移させられたらしい。
亮はほっと小さく息を吐いた。
少なくとも、大切な家族や仲間が離れ離れになっていない。
それだけで、亮の心には十分な余裕が生まれていた。
みゆ「この建造物の材質および構造から見て、自然物ではなく人工構造物と判断します」
亮「どこの建物の中だ? 近くに街でもあるのかな」
みゆ「分かりません。現在、私のデータベースにあるどの古代遺跡や王城のデータとも一致しません」
あんな「建物っていうか……これ、まるで神殿のようだね。すっごく広くて、なんだか厳かな感じがする」
ベアトリス「お姉さまの仰る通りですわ! まるで、神話の時代に描かれた神々のお住まいのようですわ!」
もっふる「ピィー♪」
あんなは言葉を失ったように、高い天井を見上げている。
巨大な空間は驚くほどに静かだった。
先ほどまでの激しい攻防が、まるで遥か昔の出来事だったのではないかと思えるほどに。
あの灼熱の空気が嘘のように、ここは涼しく、澄み切っている。
亮は自然と、その静寂の奥へと視線を向けた。
広大な神殿の奥。
どこまでも長く続いているかのような、厳かな回廊。
その、さらに向こう側。
あそこに、何かがある。
確たる根拠はなかった。
けれど、亮の胸には確信に近い予感があった。
亮「呼ばれたのには、何か意味がある。ただの偶然じゃないな」
あんなが目を丸くして亮を振り返る。
みゆも、ベアトリスも、その場の視線が一斉に亮へと集まった。
亮「いや、実はさ。あのフェニックスと戦ってた時に、なんか頭の中で声が聞こえたんだよ」
あんな「声?」
亮「ああ。『力を確認した』とか、『条件を満たした』とか。最後に『選ばれた』って」
あんな「ちょ、ちょっと待って! さっき戦ってる最中に、パパが急に『誰かの声が聞こえる』って言ってたの、それだったの!?」
亮「そうそう。なんだか偉そうな、でも不思議と優しい声だった」
あんな「てっきり、またパパが戦いのドサクサで変な幻聴でも聞いてるのかと思ったわよ! 本当にそんな声がしてたなんて……!」
みゆ「声の主は不明。現状、神格クラスの存在、あるいは高位の精霊である可能性が極めて高いです」
亮「やっぱり、そう思うか?」
みゆ「はい。しかし、声の内容と、私たちがこの場所に転移されたことの関連性は高いと推測します」
亮「俺も同感だ。というか、そもそもこの状況、なんか前にもあったような気がしてさ」
あんな「前にも……」
みゆ「海底です。あの時も、パパが呼ばれて私たちは不可解な領域へと導かれました。関連性は分かりませんが、極めて酷似した状況であると言えます」
みゆの冷静な分析に、亮は深く頷いた。
だからこそ、亮は迷わなかった。
なぜ自分たちが選ばれたのか。
なぜここへ連れてこられたのか、その理由はまだ分からない。
だが、その答えはきっと、この先にある。
理屈ではなく、そんな確信が亮の背中を押していた。
呼ばれたんなら、行くしかないよな。
家族の安全が確保されている今、ここで立ち止まっている理由などなかった。
亮「……よし」
あんな「パパ?」
亮はポンと手を叩き、いつもの朗らかな様子で立ち上がった。
亮「よし! とりあえず進もう。この先に何があるか、確かめてみようぜ」
あんな「……はぁ、やっぱりそうなるよね。でもまあ、ここでじっとしてても始まらないし、パパについていくしかないか!」
みゆ「合理的判断です。現在地からの脱出経路が不明である以上、奥へ進むのが唯一かつ、最も生存確率を高める選択肢です」
ベアトリス「パパが進まれるのでしたら、どこまでもお供いたしますわ! 私のこの剣、パパのために使わせていただきますわ! 」
もっふる「ピィー♪」
神崎家はゆっくりと歩き出す。
しんと静まり返った、未知の神殿の奥へと。
その先に、一体何が待ち受けているのか。
誰もまだ、知る由もなかった。
こうして――
突如として見知らぬ神殿に転移させられた神崎家。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
またしても予想外の方向へと転がり始めるのだった。
神話の決戦場からまさかの強制転移。
外界の様子も情報もすべて完全遮断された、正体不明の不気味な神殿に閉じ込められる前代未聞の大ピンチ!
ルークたちの安否を心配しつつも、みゆの驚異的なスキャン能力すら通用しない解析不能の古代回廊で、とにかく進むしかないと手探り探索をスタートする神崎家の超マイペースな絆と、もっふるの可愛い頼もしさが今回も大炸裂!?
次回、第203話 え、パパが勇者!? 外界の様子が完全遮断⁉ 正体不明の静寂な神殿で手探り探索がスタート!!?




