第198話 え、パパが勇者!? 精鋭たちの総力戦開始!? みゆ様の冷静すぎる分析が炸裂!?
フェニックスは空を支配するように舞っていた。
黄金の翼が羽ばたくたびに、周囲の空気が黄金色の火の粉を撒き散らす。
ただそこに浮いているだけで、圧倒的な重圧が調査隊を押し潰そうとしていた。
ルーク「来るぞ!!」
その瞬間だった。
無数の火球が雨のように降り注ぐ。
ゴォォォォォンッ!!
ズドォォォンッ!!
空が裂けるような爆音が連続し、大地が悲鳴を上げる。
一撃ごとに岩盤が砕け、山肌が抉れる。
それは戦いではなく、理不尽な天災そのものだった。
ラウル「ガルド!」
ガルド「おう!任せろ!」
ラウルとガルドが最前線へ飛び出し、巨大な盾を重ねて防御の要となる。
ミレイア「全員強化します」
ミレイアが淡い光を広げ、隊員たちの身体を強化する。
力が内側から湧き上がる感覚に、戦意が再点火される。
オスカー「ノエル! アルト!」
ノエル「ええ!」
アルト「はい!」
三人が並び立ち、同時に魔法を紡いだ。
オスカー「《グランド・フォートレス》!!」
アルト「《アイス・アイソレーション》(氷界拒絶)」
ノエル「アルト!補助する!」
巨大な岩壁がせり出し、その表面を幾重もの青白い氷の壁が覆う。
ドオーーン!
ゴオーーン!
次々と爆発が起こる。
オスカー「ぐっ……!」
ノエル「耐えるのよ!」
アルト「負けません!!」
火球が激突するたびに衝撃波が走るが、三人の防御は崩れない。
極限の集中力で、彼らは神話の雨を凌ぎきった。
ルーク「今だ、反撃開始だ!!」
ラウル「待ってました!」
ラウルが岩場を蹴り、弾丸のように加速した。
ラウル「《流星斬》!!」
剣閃が空を切り裂き、黄金の炎に一筋の亀裂を入れる。
しかし、フェニックスは微動だにしない。
一閃、二閃、三閃。
カイル「速い……」
レイン「これがAランク……」
ラウル「まだまだだぜ!!」
さらに剣が閃く。
ラウルの動きには無駄がない。
歴戦の冒険者が積み上げてきた、研ぎ澄まされた技の極致だった。
シェリル「次は私。射抜く」
シェリルが静かに弓を構える。
視線はただ、空の頂点に一点集中。
放たれた無数の矢が、爆音を伴って空中で炸裂した。
ノエル「あの距離を、的確に……」
ディオン「ならば俺だ。一撃で貫く」
ディオンが槍を構え、重心を低く落とす。
周囲の空気が変わった。
ディオン「《穿牙》!!」
槍が光の軌跡となって一直線に伸びる。
黄金の炎を貫く一撃。
轟音と共に衝撃波が広がるが、ディオンは槍を引き戻し、表情を曇らせた。
ディオン「……浅いか」
ガルド「今度は俺達の出番だな! レオン、行くぞ!」
レオン「おう、紅蓮の輪、見せてやる!」
セリナ「足を引っ張らないでよ!」
ガルドが盾で正面を固め、レオンとセリナが両翼から切り込む。
リュシアが広範囲の魔法陣を展開し、ミレイアが絶え間なく支援を重ねる。
ガルド「紅蓮陣!!」
レオン「決めるぞ!!」
セリナ「斬り裂く!!」
リュシア「《フレイム・バースト》!!」
五人の攻撃が一点に集中し、巨大な爆炎が空を飲み込んだ。
これが――
紅蓮の輪が積み上げてきた連携陣形。
ルーク「見事な連携だ……」
ラウル「さすが言うだけのことはあるな」
煙が渦巻き、視界を覆い尽くす。
ガルド「どうだ……!」
誰もが祈るように煙の向こうを見つめた。
やがて、煙が薄れる。
そこに浮かび上がったのは、黄金の光をさらに強めて佇むフェニックスの姿だった。
シェリル「……そんな」
ノエル「嘘でしょ、無傷なんて……」
攻撃を受ければ受けるほど、その身を包む炎は先ほどよりも巨大化していた。
まるで火を燃料にして、より強く燃え上がっているかのように。
みゆ「結論」
張り詰めた沈黙の中、みゆの声が響いた。
全員が振り向く。
みゆ「炎のエネルギー量が増えています。攻撃を吸収してます。現状では勝ち筋がありません」
静寂が、戦場を支配した。
神話の災厄は、まだ本気ですらなかったのだ。
こうして――
調査隊が総力を挙げた連携攻撃は、決定的なダメージを与えるどころか、守護獣の活力を増す結果に終わった。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
戦えば戦うほど、希望は静かに削られていった。
最強クラスのAランクパーティが放った、一撃必殺の光輝く合体技すら平然と呑み込む神話の災厄!
あらゆる物理と魔法を吸収してさらに凶悪に膨れ上がる黄金の炎を前に、誰もが戦意を喪失しかける絶体絶命の大ピンチ!
そんな絶望の戦場で「次は神崎家の番だなー!」となぜか一人だけお祭り気分でやる気満々に拳を握りしめる、どこまでもブレないパパの超天然な大やらかし体質が今回も大炸裂!?
次回、第199話 え、パパが勇者!? Aランクパーティの最大大技でも無傷!? 絶体絶命の聖火山!?
絶対強者の視線が神崎家を捉える時、世界の命運を懸けた規格外の決戦が幕を開ける!




