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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第二十三章 聖山編〜 灼熱の聖火山の脅威を大前進⁉ 火山丸ごと氷漬けの大騒動⁉〜

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第193話 え、パパが勇者!? 三体のサラマンダーと規格外の極大ブレスで全員大ピンチの過酷な聖火山決戦!?

聖火山フェルナードの山頂付近。


乾燥しきった大気がビリビリと震え、またしても暴力的な熱風が吹き荒れる。


ゴォォォォォォォォッ -!!


ラウル「くっ、この熱波はさすがにヤバイな……。息をするだけで喉が焼けそうだぜ」


亮「うーん、これが温泉だったら、ちょうどいい湯加減で嬉しいのになー。みんなで足湯とか最高だよ」


あんな「ちょっとパパ」


みゆ「……現実を見て。ここは聖火山、温泉郷ではありません」


ベアトリス「温泉! それは素敵ですわ! パパ、わたくしも是非入りたいですわ!」


亮「よし、決まりだ! みんなで温泉巡りだー!」


あんな「だから、私たちは調査ですってば! 観光じゃないんだからね!」


みゆ「……窮地における、パパの安定のボケです。緊張感のデータが完全にゼロです」


もっふる「ピィー♪」


前を行くディオンだけは、鋭い眼光で周囲の岩陰を警戒していた。


ディオン「……ふっ、確かに場は和みますが、ルーク殿、ここからは本当に気を引き締めてください。これだけの魔力濃度だ、いつ何が飛び出してきてもおかしくありません」


ルーク「ああ。この熱気の元凶、異変の元凶が早く見つかれば良いのだがな」


ディオン「ええ。ここから先は、通常の生態系を外れた高位の魔物が現れてもおかしくはありません」


その時だった。


みゆ「……感知。これまでとは一線を画す、巨大な魔力反応」


みゆの淡々とした警告に、調査隊の全員がピタリと足を止めた。


ルーク「――総員警戒だ! 陣形を密にしろ!」


ルークの鋭い激が飛び、一同の表情が一瞬にして引き締まる。


次の瞬間。


ドォォォォォォン!!


凄まじい地鳴りとともに、足元の硬い溶岩原が大きく揺れた。

行く手を阻む巨大な赤茶けた岩陰の向こうから、陽炎を文字通り切り裂くようにして、圧倒的な巨大な影が姿を現す。


ディオン「なっ……サラマンダー!」


ラウル「マジかよ!? こんなところに!」


姿を現したのは、体長十メートルを超える巨大なトカゲ型の魔物、サラマンダーだった。

その硬質な鱗の隙間からは、絶え間なく炎が噴き出している。


しかも、それだけでは終わらない。


地響きはさらに続き、岩の裂け目から二体目、そして三体目と、凶悪な眼光を爛々と輝かせたサラマンダーが同時に姿を現した。


ルーク「同時に三体だと!?」


ラウル「おいおい、冗談だろ!」


だが、彼らの驚きはそれだけでは留まらなかった。


三体並んだサラマンダーのうち、中央の個体。

それは明らかに異質だったのだ。


左右の二体に比べて一回り以上も巨大な体。


そして何より、その全身を包む炎の色が違っていた。

まるで太陽の輝きをそのまま写し取ったかのような、神々しくも恐ろしい黄金色に近い炎。


みゆ「……Aランク。中央個体の魔力出力、完全に通常枠を逸脱しています」


ディオン「――サラマンダー・ロード……! まさか、こんな場所に……!」


ラウル「なるほどな。こいつがこの山を狂わせてる、今回の元凶のボスってわけか」


ディオン「ああ。聖火山でも滅多に見られる種ではありません。地脈の狂いが、こいつを呼び覚ましたんだ」


オスカー「……これは、嫌な予感しかしませんね。まともにやり合えば、こちらもタダでは済みませんよ」


エドガー「カリカリカリ……よし!『現地における Aランク冒険者の証言に基づき、過去に前例のない異常個体の出現』と……その旨を克明に記録!」


エドガーは恐怖に震えながらも、必死に羽ペンを走らせる。


グォォォォォォォォ――!!


サラマンダーの三体が、大気を激しく震わせながら同時に咆哮した。

押し寄せる音圧だけで、肌がじりじりと焼けるような熱風が叩きつけられる。


ルーク「――怯むな! 戦闘準備!」


全員が一斉に武器を構える。


ルーク「流星! 正面の最も危険なサラマンダー・ロードを頼めるか!」


ラウル「おう、任せろ! おいディオン、シェリル! Aランクの意地、見せてやろうじゃねえか!」


シェリル「ええ、任せて! 狙撃は外さないわ!」


ディオン「おー! 我が槍にて、あの王の首を討つ!」


ルーク「右は紅蓮の輪!」


ガルド「おー! よし、お前たち、確実に仕留めるぞ!」


レオン「(……くっ、サラマンダー相手にこの暑さは、マジで胃が痛いな……)」


セリナ「ふん、魔物ごときに遅れをとるもんですか!」


リュシア「私の水魔術の計算通りに、あのトカゲを沈めてあげますわ」


ミレイア「うふふ、皆さん、絶対に死なないでくださいね」


ルーク「そして左は神崎家!」


亮「よし、任せておけ!」


あんな「いくよ、みんな! 油断しないで!」


みゆ「了解です。速やかに無力化にします」


ベアトリス「お姉さま方、パパ、すべてこのベアトリスにお任せですわ!」


もっふる「ピィー!」


ルーク「よし! 騎士団は記録員二人を死守しつつ遊撃! 魔術師団員は後方からの全力支援! 俺とカイルは正面のロードの抑えに回る!」


一同「はっ!」


ルーク「各自、一瞬たりとも気を抜くな! かかれぇぇぇ!」


ルークの号令とともに、ついに過酷な聖火山での決戦の火蓋が切って落とされた。


ラウル「行くぞ、オラァッ!」


ディオン「我が一撃、受けてみよ!」


シェリル「――『ルミナス・アロー』!」


シェリルが先制の光の矢を放ち、大気が激しく爆発する。

だが、王はそれを意に介することなくブレスを放つ。


グォォォォォォッ!!


放たれたのは、

文字通りすべてを無に帰すような極大の炎のブレス。


ドォォォォォン!!


直撃を受けた地面が凄まじい音を立てて爆発し、溶岩の破片が四方に飛び散る。


オスカー「《ストーン・ウォール》(岩石障壁 )」


オスカーが瞬時に土の壁を立ち上げ、飛び散る破片を遮断しようとする。

しかし――。


ドォォォォォン!!


サラマンダー・ロードの放ったブレスの前には、熟練の防御壁すら一瞬で爆砕され、粉々に砕け散った。


オスカー「なっ!? 私の防御魔法を一撃で……!?」


ラウル「うおっ!? 熱気だけで消し飛びそうだぜ!」


ディオン「全員、まともに受けるな! 避けろ!」


やはり、Aランクの魔物は桁違いに強かった。

通常個体ですら十分に厄介な存在だというのに、あのロードの放つ破壊力は次元が違った。


ルーク「弱気になるな、押し切れ!」


カイル「はっ!」


「うおおおおっ!」


一斉に踏み込み、その巨体へ向けて刃を叩きつける。


ガキィィィン!!


ラウル「っ、硬ぇ!? 刃が弾かれやがる!」


ディオン「突きの威力が通らん! 鱗の一枚一枚が極上の防具並みだ!」


ルーク「何だこの異常な防御力は……!」


ロードの全身を覆う炎の鱗は、物理攻撃を半減させる驚異的な硬度を誇っていた。


一方、右側では――。


グォォォォォォッ!!


ガルド「チッ、こっちにもブレスがくるぞ! お前たち、下がれ!」


大盾を構えて踏みとどまるガルド。


セリナ「ちょっと、厄介ね……! このブレス、ただの炎じゃなくて魔力を削りにきてるわよ!?」


リュシア「ええ、本当に厄介ですね! 私の水の障壁が蒸発させられていきますわ!」


ミレイア「うふふ、私の加護を付与します。これで少しは耐えられるでしょう」


ガルド「助かる! よし、俺がこの盾でブレスを防いでる間に、一斉にかかれ!」


ミレイアが素早く強化魔法を付与。

リュシアの水魔法がサラマンダーに直撃する。

その隙を突いて、レオンとセリナが同時に鋭い踏み込みで横腹へと切りかかった。


セリナ「くっ、なかなかしぶといわね……! 私たちの攻撃を真っ向から耐えるなんて!」


これほどの連携をもってしても、サラマンダーにはあまり効果的なダメージを与えられていなかった。


そして、左側。

神崎家が受け持つエリアでは。


あんな「いくよ、ベアトリス!」


あんなとベアトリスが、息の合った動きでサラマンダーの足元へと鋭く切りかかった。


カキィーン、カキン!


あんな「うわ、意外と固い! ただのトカゲだと思ってたら、大間違いだね」


ベアトリス「本当に固いですわ、お姉さま! ですが、わたくしの刃の敵ではありませんわ!」


みゆ「……分析。サラマンダーの表面を覆う高密度の火属性魔力が、天然の防壁として機能しています。あの鱗が物理と魔法の双方の威力を大幅に減衰させている模様です」


グォォォォォォッ!!


あんな「ブレスがくるよ!」


みゆ「……熱量、限界値突破。直撃すれば即死です。絶対に受けないで」


ベアトリス「お姉さま、お任せですわ! このような火など、わたくしの誇り高き炎で切り伏せてみせますわ!」


ベアトリスが剣を天高く掲げると、その刀身に膨大な魔力が流れ込む。

彼女の放つ凄まじい魔力は、周囲の酸素を急激に巻き込みながら、まるで太陽の表面を切り取ったかのような、凄まじい超高温の白炎を剣に纏わせた。


ベアトリス「――受けてみなさい!《煉獄の熾炎剣》(インフェルノ・ブレイザー)!!」


凄まじい一閃が空間を薙ぎ払い、サラマンダーの放った赤黒いブレスを真っ向から相殺し、完全に掻き消してみせた。


あんな「ナイス、ベアトリス! 完璧! よし、みゆ、いくよ!」


みゆ「――任せて、お姉ちゃん。不快な熱源ごと、完全に思考を凍結させます」


みゆが杖を静かに構える。

その左手には形なく流麗に揺らめく「清流」の魔力、右手には鋭利に形を成す「氷晶」の魔力。

二つの高度な魔力が美しい螺旋を描きながら、一つの巨大な蒼い奔流へと混ざり合っていく。

その周囲だけ、火山の熱気が嘘のようにピキピキと空間ごと凍りつき、白い幻想的な霧が立ち込めた。


みゆ「――《サイレント・フリーズ》(静寂の凍てつく抱擁)」


バキバキバキバキバキィッ!!


解き放たれた蒼い光の抱擁がサラマンダーを優しく包み込んだ瞬間、その巨体が一切の抵抗を許されず、一瞬にして巨大な氷塊へと変わり果てた。


みゆ「……凍結完了。細胞の運動データ、完全に停止。お姉ちゃん、今です」


あんな「――《無拍剣》」


あんなの身体がフッと溶けてなくなるような錯覚の直後、氷漬けになったサラマンダーの巨体が、音もなく綺麗に真っ二つに両断された。


あんな「よしっ! まずは一匹目、討伐完了!」


みゆ「流石はお姉ちゃん。次は、中央の最大熱源たるボス個体の排除に移行します」


ベアトリス「素晴らしい連携ですわ、お姉さま方! わたくしも続いてあの王を倒しますわ!」


亮「お、おーい……みんな格好いいなぁ。ちなみに、パパの出番はどこかな……?」


もっふる「ピィー!」


まさにその時だった。


ゴォォォォォォォォッ――!!


グォォォォォォッ!!


神崎家が一体を瞬殺したことに激怒したのか、サラマンダー・ロードがこれまで以上の凄まじい熱波を放ち、全方位を焼き尽くさんばかりの規格外の極大ブレスを吐き散らした。


一同「うわあああーーーっ!?」


押し寄せる炎の壁。


こうして――

聖火山フェルナードで、調査隊とサラマンダーたちとの、文字通りの死闘が本格的に始まった。

だが、異常個体であるサラマンダー・ロードの実力は明らかに別格であり、調査隊はかつてない強敵との激戦へと突入していくのだった。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、

サラマンダー・ロードの放つ圧倒的な猛攻の前に窮地に立たされる。

総力戦となったこの戦いは、聖火山の熱気とともにさらに激しさを増していく。

死闘の末にサラマンダー・ロードを撃破。


ようやく勝利の喜びに沸く調査隊一行。

だが安堵も束の間、聖火山が不気味な地鳴りとともに沸騰し始め、さらなる異常熱波が襲いかかるまさかの大ピンチ!?


戦いが終わってパパの出番がないまま呆然とする中、「奴はただの前座」と言い放つみゆの超冷静な分析と、不気味な謎の怪しい影の正体とは!?


次回、第194話 え、パパが勇者!? 激戦の余韻を断ち切るみゆの超冷静な分析と謎の怪しい影!?


大地の底から響く不気味な鼓動、未曾有の危機のカウントダウンを生き延びろ!?


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